降りし日は、貴女と。【All Characters(別邸1階組) ✉】
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何とか宿を見つけた三人は、急いで室内へと滑り込んだ。
「ふーーー、………近くに空いてる宿があってよかったな」
ぽた、ぽた、と髪から身体から雫を伝わせながらハナマルが呟く。
大判の手ぬぐいを渡すと、暖炉の前に座り込んで薪をくべたユーハンも頷く。
「えぇ。………主様、いま火をつけますのでお待ちを」
懐から火打石を取り出して、かち、かち、と打ち付ける。
「うん、………くしゅ、」
ふる、ふる、と少しだけ濡れた髪を震わせていると、彼女にも手ぬぐいを渡してきた。
「宜しければこちらを。………御髪が濡れたままだと、お風邪を召してしまいます」
「え? でも………、」
そう言うユーハンのほうが濡れている。
肩口が雨で湿っていて、魔導服の布地が少しだけ肌に貼り付いている。
それに気づいた彼女が受取りを躊躇していると、その薄い唇に優しい笑みを描いた。
「私のことはお気になさらず。………それに、」
暖炉に視線を向ける。パチ、パチ、と鳴る炎に、何かを見出していた。
「こうしていると、私の幼い頃を思い出すのです」
その瞳は懐かしさに煌めき、穏やかで優しいひかりを纏っている。
もう焼けてなくなった故郷のことを思い出しているのだと悟り、その指にみずからのそれを重ねた。
「!」
みひらく瞳の先に優しい瞳。彼女は唇をひらいた。
「亡くなったユーハンの家族のぶんまで、私が傍にいるよ」
だから、もっと私を頼ってね、と告げる。
そのさまに心が揺さぶられた彼が重ねあわせた指を絡めてきた。
「ふーーー、………近くに空いてる宿があってよかったな」
ぽた、ぽた、と髪から身体から雫を伝わせながらハナマルが呟く。
大判の手ぬぐいを渡すと、暖炉の前に座り込んで薪をくべたユーハンも頷く。
「えぇ。………主様、いま火をつけますのでお待ちを」
懐から火打石を取り出して、かち、かち、と打ち付ける。
「うん、………くしゅ、」
ふる、ふる、と少しだけ濡れた髪を震わせていると、彼女にも手ぬぐいを渡してきた。
「宜しければこちらを。………御髪が濡れたままだと、お風邪を召してしまいます」
「え? でも………、」
そう言うユーハンのほうが濡れている。
肩口が雨で湿っていて、魔導服の布地が少しだけ肌に貼り付いている。
それに気づいた彼女が受取りを躊躇していると、その薄い唇に優しい笑みを描いた。
「私のことはお気になさらず。………それに、」
暖炉に視線を向ける。パチ、パチ、と鳴る炎に、何かを見出していた。
「こうしていると、私の幼い頃を思い出すのです」
その瞳は懐かしさに煌めき、穏やかで優しいひかりを纏っている。
もう焼けてなくなった故郷のことを思い出しているのだと悟り、その指にみずからのそれを重ねた。
「!」
みひらく瞳の先に優しい瞳。彼女は唇をひらいた。
「亡くなったユーハンの家族のぶんまで、私が傍にいるよ」
だから、もっと私を頼ってね、と告げる。
そのさまに心が揺さぶられた彼が重ねあわせた指を絡めてきた。