砂糖菓子の鳥籠 Ⅱ 【君という名の鳥籠 予告中編 ♟】
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違和感を覚えたのは、しばらく経ってからのことである。
「うぅん………、」
微睡みに沈み込んでいたヴァリスは、霞がかる意識の裾にかすかな「声」をとらえた。
くす、くす、………くす、くす。
ひそ、ひそ、………ひそ、ひそ。
嗤うように、………面白がるように。
客間に反響するいくつもの少女のような笑い声。
人目を憚る密やかな囁きあいが、四方八方から聞こえてきた。
それと同時に、彼女が感じたのは奇妙な痛み。
(誰……? それに………さっきから、)
眠りと覚醒のあわいをさ迷いながらヴァリスは眉を寄せた。
身体のどこかが痛んでいる。
キリキリと熱を持って、その身のある一点をわずかに締め付けている。
(何処なの……? 腕……?
違う、指……そう、………指が痛いんだ)
右手の指輪。それも指輪を嵌めた中指だ。
細い紐で締め付けられているような痛みはどんどん強くなっていく。
耐えきれなくなったヴァリスはうすく瞼をひらき、みずからの眼前にかざす。
そして、一瞬にして覚醒した。
「!」
帳を下ろした寝台のなかは真っ暗である。が、細い青の光が辺りを照らしている。
彼女の指の幽霊石———ブルークリスタルが夜明けの星のような光を発しているのだ。
「うぅん………、」
微睡みに沈み込んでいたヴァリスは、霞がかる意識の裾にかすかな「声」をとらえた。
くす、くす、………くす、くす。
ひそ、ひそ、………ひそ、ひそ。
嗤うように、………面白がるように。
客間に反響するいくつもの少女のような笑い声。
人目を憚る密やかな囁きあいが、四方八方から聞こえてきた。
それと同時に、彼女が感じたのは奇妙な痛み。
(誰……? それに………さっきから、)
眠りと覚醒のあわいをさ迷いながらヴァリスは眉を寄せた。
身体のどこかが痛んでいる。
キリキリと熱を持って、その身のある一点をわずかに締め付けている。
(何処なの……? 腕……?
違う、指……そう、………指が痛いんだ)
右手の指輪。それも指輪を嵌めた中指だ。
細い紐で締め付けられているような痛みはどんどん強くなっていく。
耐えきれなくなったヴァリスはうすく瞼をひらき、みずからの眼前にかざす。
そして、一瞬にして覚醒した。
「!」
帳を下ろした寝台のなかは真っ暗である。が、細い青の光が辺りを照らしている。
彼女の指の幽霊石———ブルークリスタルが夜明けの星のような光を発しているのだ。