砂糖菓子の鳥籠 Ⅰ【君という名の鳥籠 予告中編 ♟】
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「ベリアル殿、ナルス殿……立てるかしら………っ、
………まだ眠っているのね」
「エーファン、皆様を客間へご案内して差し上げてくれ」
「畏まりました。———では……アリエ様、どうぞ……こちらへ」
「アリエ殿、貴女にひとつだけお願いをしたいのです」
コツ……と踵の高い靴の音が止まる。
振り返ったその先で、彼は鍵束のうちの一つを掲げて告げた。
「この金の錠前の扉には、近づかないでいただきたい。
その時は、貴女を——————、」
真意を探すように見交わす瞳。その視線の先で彼女は微笑んだ。
「承知しましたわ……わたくしの友人にも、よく言い聞かせておきますわね」
コツ、コツ……といくつもの靴の音が遠ざかっていく。
誰もいなくなった私室で、彼は胸元の細い鎖を引き出した。
そこにはムーンストーンの指輪が通されている。
燭台の灯りにゆらめく茉白の宝石に、みずからのすみれ色の瞳が映った。
(……彼女は、どんな顔をみせてくれるのだろうか)
浮かべた笑みは月しか知らない。
………蝋燭の灯りが彼の心を映すようにゆらめいていた。
………まだ眠っているのね」
「エーファン、皆様を客間へご案内して差し上げてくれ」
「畏まりました。———では……アリエ様、どうぞ……こちらへ」
「アリエ殿、貴女にひとつだけお願いをしたいのです」
コツ……と踵の高い靴の音が止まる。
振り返ったその先で、彼は鍵束のうちの一つを掲げて告げた。
「この金の錠前の扉には、近づかないでいただきたい。
その時は、貴女を——————、」
真意を探すように見交わす瞳。その視線の先で彼女は微笑んだ。
「承知しましたわ……わたくしの友人にも、よく言い聞かせておきますわね」
コツ、コツ……といくつもの靴の音が遠ざかっていく。
誰もいなくなった私室で、彼は胸元の細い鎖を引き出した。
そこにはムーンストーンの指輪が通されている。
燭台の灯りにゆらめく茉白の宝石に、みずからのすみれ色の瞳が映った。
(……彼女は、どんな顔をみせてくれるのだろうか)
浮かべた笑みは月しか知らない。
………蝋燭の灯りが彼の心を映すようにゆらめいていた。