砂糖菓子の鳥籠 Ⅰ【君という名の鳥籠 予告中編 ♟】
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(よかった……カレッセン公は場合によっては秘薬を譲ってくださるんだ。
私の本当の弟ではないけれど、苦しんでいるあの方を救えるチャンスがまだあるんだね)
「そろそろお開きといきましょう。御手をどうぞ……アリエ殿」
『立てますか?』と恭しく差し伸べられる。
白くたおやかな指がふれ、なんの警戒心もなく手が重なる。
その手を引き寄せた。
「っ…… カレッセン公?」
その腕の中のなかで戸惑いに上ずった声がする。
驚いておもてを上げた、その唇を重ねた。
「「!」」
一同が驚いているのを場の空気で見止める。
ややあって解いた唇。その視線の先で、みるみるその頬が紅に染まった。
「———失礼。ワインの雫が、こちらに乗っているようでしたので」
「カレッセン公っ……。」
「どうやら、貴女は余程すれていない御令嬢のようだ」
そっ……と薔薇のコサージュにふれた指が払い落とされる。
彼女を守るように背にかばい、思い切り睨み付けた。
「公爵殿、戯れが過ぎるぞ」
「ボスウェル殿、わたくしなら大丈夫だから! 少し驚いてしまっただけよ」
その言葉に瞳のひかりを和らげる。
トク、トク……と二度の心臓の鼓動が打ち鳴らす程度の間があった後、ふいと顔を背けた。
私の本当の弟ではないけれど、苦しんでいるあの方を救えるチャンスがまだあるんだね)
「そろそろお開きといきましょう。御手をどうぞ……アリエ殿」
『立てますか?』と恭しく差し伸べられる。
白くたおやかな指がふれ、なんの警戒心もなく手が重なる。
その手を引き寄せた。
「っ…… カレッセン公?」
その腕の中のなかで戸惑いに上ずった声がする。
驚いておもてを上げた、その唇を重ねた。
「「!」」
一同が驚いているのを場の空気で見止める。
ややあって解いた唇。その視線の先で、みるみるその頬が紅に染まった。
「———失礼。ワインの雫が、こちらに乗っているようでしたので」
「カレッセン公っ……。」
「どうやら、貴女は余程すれていない御令嬢のようだ」
そっ……と薔薇のコサージュにふれた指が払い落とされる。
彼女を守るように背にかばい、思い切り睨み付けた。
「公爵殿、戯れが過ぎるぞ」
「ボスウェル殿、わたくしなら大丈夫だから! 少し驚いてしまっただけよ」
その言葉に瞳のひかりを和らげる。
トク、トク……と二度の心臓の鼓動が打ち鳴らす程度の間があった後、ふいと顔を背けた。