砂糖菓子の鳥籠 Ⅰ【君という名の鳥籠 予告中編 ♟】
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彼女たちは綺麗な所作で頭を垂れると、その唇をひらいた。
「主人がいらっしゃいました」
さっと左右にわかれた侍女たちの背後から、その人物がテーブルへと静かに近づいてくる。
………これは侍従かなにかなのだろうか。
そう思考に載せその背後に視線を這わせても、入室してきたのはその人物ただ一人で。
エーファンが「旦那様」と呼んでいたのだからカレッセン公その人であるのは相違ないのに、
ヴァリスは胸の内で渦巻くとまどいと動揺をかき消した。
「……アリエ殿」
ゆっくりとした足取りでこちらへとつま先を目指してきたその人物は、
ヴァリスに向かって頭を垂れ、
右手を胸の前に置き、もう一方の手を大きく広げる対貴族のお辞儀をした。
「ようこそおいでくださいました。
わが月の廃園に、貴女様をお迎えできたこと、心より嬉しく思います」
ヴァリスはうなずき、しばしの間を置いてから立ち上がった。
「どうぞ、お好きなだけこの城にご滞在ください。
私達は、貴女様を心から歓迎いたしましょう」
(? 私「達」……?)
妙な含みを持たせた物言いに引っかかりを覚える。
問うようにみつめれば、その唇が美しい弧を描いた。
「いえ、こちらの話ですよ」
にっこりと微笑んだその表情に、一抹の冷たさを感じる。
けれどそれは一瞬のことで、すぐにその瞳が柔らかく和んだ。
「主人がいらっしゃいました」
さっと左右にわかれた侍女たちの背後から、その人物がテーブルへと静かに近づいてくる。
………これは侍従かなにかなのだろうか。
そう思考に載せその背後に視線を這わせても、入室してきたのはその人物ただ一人で。
エーファンが「旦那様」と呼んでいたのだからカレッセン公その人であるのは相違ないのに、
ヴァリスは胸の内で渦巻くとまどいと動揺をかき消した。
「……アリエ殿」
ゆっくりとした足取りでこちらへとつま先を目指してきたその人物は、
ヴァリスに向かって頭を垂れ、
右手を胸の前に置き、もう一方の手を大きく広げる対貴族のお辞儀をした。
「ようこそおいでくださいました。
わが月の廃園に、貴女様をお迎えできたこと、心より嬉しく思います」
ヴァリスはうなずき、しばしの間を置いてから立ち上がった。
「どうぞ、お好きなだけこの城にご滞在ください。
私達は、貴女様を心から歓迎いたしましょう」
(? 私「達」……?)
妙な含みを持たせた物言いに引っかかりを覚える。
問うようにみつめれば、その唇が美しい弧を描いた。
「いえ、こちらの話ですよ」
にっこりと微笑んだその表情に、一抹の冷たさを感じる。
けれどそれは一瞬のことで、すぐにその瞳が柔らかく和んだ。