砂糖菓子の鳥籠 Ⅰ【君という名の鳥籠 予告中編 ♟】
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「大きなお城………。」
近づいてきた古城の姿を、馬車の窓から確認したヴァリスは、
茉白の吐息を吐きながらつぶやいた。
彼女たちが訪れたのは、この世界の最果てに位置する「月の廃園」。
薄汚れた白煉瓦の壁に、幾重にも咲く蔓薔薇が絡みつき、
とても美しいのにどこか不気味で。
その庭園も、不思議なことに紅薔薇で埋めつくされてる。
人気など全くないのに、奇妙なほどよく手入れされた庭園に、
ヴァリスの胸が不穏にさざめいた。
「主様、お疲れ様なのではありませんか?」
ベリアンの言葉に、「大丈夫よ」と笑いかける。
「それより……ここでは『アリエ殿』でしょう?」
ゆるりと咎めるように口にすると、はっとしたようにその瞳が瞬く。
「失礼いたしました、ある………アリエ殿」
くすりと彼女が笑う。その声はベリアンの耳に心地よく響いた。
「貴方がそんなに緊張しているのは珍しいね……ベリアン」
くすくすと微笑っていると、益々その頬が熱を宿す。
近づいてきた古城の姿を、馬車の窓から確認したヴァリスは、
茉白の吐息を吐きながらつぶやいた。
彼女たちが訪れたのは、この世界の最果てに位置する「月の廃園」。
薄汚れた白煉瓦の壁に、幾重にも咲く蔓薔薇が絡みつき、
とても美しいのにどこか不気味で。
その庭園も、不思議なことに紅薔薇で埋めつくされてる。
人気など全くないのに、奇妙なほどよく手入れされた庭園に、
ヴァリスの胸が不穏にさざめいた。
「主様、お疲れ様なのではありませんか?」
ベリアンの言葉に、「大丈夫よ」と笑いかける。
「それより……ここでは『アリエ殿』でしょう?」
ゆるりと咎めるように口にすると、はっとしたようにその瞳が瞬く。
「失礼いたしました、ある………アリエ殿」
くすりと彼女が笑う。その声はベリアンの耳に心地よく響いた。
「貴方がそんなに緊張しているのは珍しいね……ベリアン」
くすくすと微笑っていると、益々その頬が熱を宿す。