月嗤歌【All Character(別邸組)♟】
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踵の高い靴を履き、フルーレの手で華やかに彩られたヴァリス。
「大丈夫ですよ、主様。商人の真意がどうであれ、俺達がお守りしますから」
結い上げた髪に青薔薇の髪飾りを留めながらフルーレが告げる。
慎重な手付きで、その指が細い肩に添えられる。
その温かさに安心するとともに、ヴァリスの胸のうちで染みが広がった。
(! 誤解されているの……?)
「皆を信用してない訳じゃないの、………ただ、」
「? 主様」
不思議そうな鏡ごしの瞳に、悪戯な笑みを向ける。
「皆……、普段着ている魔導服とは雰囲気が違うから少しドキドキする」
「!?」
みるみるうちにその頬に朱が集う。
くすりと微笑んでしまうと、彼は少しだけ睨んできた。
「な、なぜ笑うんですかっ」
「ご……ごめんなさい。でも……何だか、」
楽しげに響く微笑。その心からの笑みをみて、フルーレは小声で呟いた。
「主様のそういうところ、本当にずるいなぁ」
(そんなに楽しそうに笑われたら、これ以上怒れないじゃないですか)
胸のなかで付け加える。
その仄かな声をとらえられなかったヴァリスはそっと彼をみつめた。
「………? なあに?」
さら……と肩に垂らされた後れ毛が艶やかに流れる。
「何でもありません」
ブローチを手にして古リネンの布で磨く。
キラリと蝋燭の灯りを反射させながら胸元に留めると、漸く満足そうにその瞳を解いた。
「……ありがとう」
微笑みかけた直後、叩扉の音をとらえる。
「主様、御準備は宜しいでしょうか?」
声の主はユーハンだった。
メイドのひとりに目配せすると、静かに扉がひらく。
「……失礼いたします」
コツ……と長靴を踏みしめて、彼が室内へと足を踏み入れる。
その背後にはテディとハナマルもいて、紅をのせた唇をひらいた。
「あなた達も支度を終えたんだね」
赤と白。
その二色を基調としたグロバナー家の従者の制服を纏った三人は、普段より大人びて見えた。
柔らかく解けた紺碧色の瞳。
緩やかな弧を描いた唇は林檎のように瑞々しく、優しい笑みを浮かべている。
「大丈夫ですよ、主様。商人の真意がどうであれ、俺達がお守りしますから」
結い上げた髪に青薔薇の髪飾りを留めながらフルーレが告げる。
慎重な手付きで、その指が細い肩に添えられる。
その温かさに安心するとともに、ヴァリスの胸のうちで染みが広がった。
(! 誤解されているの……?)
「皆を信用してない訳じゃないの、………ただ、」
「? 主様」
不思議そうな鏡ごしの瞳に、悪戯な笑みを向ける。
「皆……、普段着ている魔導服とは雰囲気が違うから少しドキドキする」
「!?」
みるみるうちにその頬に朱が集う。
くすりと微笑んでしまうと、彼は少しだけ睨んできた。
「な、なぜ笑うんですかっ」
「ご……ごめんなさい。でも……何だか、」
楽しげに響く微笑。その心からの笑みをみて、フルーレは小声で呟いた。
「主様のそういうところ、本当にずるいなぁ」
(そんなに楽しそうに笑われたら、これ以上怒れないじゃないですか)
胸のなかで付け加える。
その仄かな声をとらえられなかったヴァリスはそっと彼をみつめた。
「………? なあに?」
さら……と肩に垂らされた後れ毛が艶やかに流れる。
「何でもありません」
ブローチを手にして古リネンの布で磨く。
キラリと蝋燭の灯りを反射させながら胸元に留めると、漸く満足そうにその瞳を解いた。
「……ありがとう」
微笑みかけた直後、叩扉の音をとらえる。
「主様、御準備は宜しいでしょうか?」
声の主はユーハンだった。
メイドのひとりに目配せすると、静かに扉がひらく。
「……失礼いたします」
コツ……と長靴を踏みしめて、彼が室内へと足を踏み入れる。
その背後にはテディとハナマルもいて、紅をのせた唇をひらいた。
「あなた達も支度を終えたんだね」
赤と白。
その二色を基調としたグロバナー家の従者の制服を纏った三人は、普段より大人びて見えた。
柔らかく解けた紺碧色の瞳。
緩やかな弧を描いた唇は林檎のように瑞々しく、優しい笑みを浮かべている。