月嗤歌【All Character(別邸組)♟】
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「ふ、ふたりとも……?」
何処か針のような鋭さを持った視線を結びあう二人に、ヴァリスが戸惑ったような声を上げる。
そんな二人の胸に手を置き、やんわりと割って入ったのはテディだった。
「おふたりとも、主様が戸惑っていますよ」
その言葉に互いの視線の棘が抜け落ちる。
ばつの悪そうに彼女をみつめるハナマルと、胸に手を置き一礼するユーハン。
「大変失礼いたしました、主様」
詫びる彼に「大丈夫」と笑って見せる。
「この頃のあなた達……どこか前と違っていたから安心したよ」
そう言って微笑うおもてに胸がさざめく。
(……先程の視線の意味に気づいておられないのですね)
胸のなかで乾いた風が吹いた。
それが歯痒さとほのかな恨めしさを伴ってユーハンの内を満たしはじめ、その瞳をみつめる。
「………?」
穏やかな眼をして見返すその双眸に、思わず指を伸ばしかけた時。
「アリエ様、商人が到着しました」
叩扉の後とらえたのは従者の声。
「えぇ、………今行くわ」
普段の彼女より少しだけ低めた声。
一瞬にして『アリエ・グロバナー』へと成り代わったように、
瞳の温かな光が無機質な冷たさへと変貌った。
「参りましょう、アリエ様」
差し出された手にみずからのそれを重ねる。
「えぇ」
何処か針のような鋭さを持った視線を結びあう二人に、ヴァリスが戸惑ったような声を上げる。
そんな二人の胸に手を置き、やんわりと割って入ったのはテディだった。
「おふたりとも、主様が戸惑っていますよ」
その言葉に互いの視線の棘が抜け落ちる。
ばつの悪そうに彼女をみつめるハナマルと、胸に手を置き一礼するユーハン。
「大変失礼いたしました、主様」
詫びる彼に「大丈夫」と笑って見せる。
「この頃のあなた達……どこか前と違っていたから安心したよ」
そう言って微笑うおもてに胸がさざめく。
(……先程の視線の意味に気づいておられないのですね)
胸のなかで乾いた風が吹いた。
それが歯痒さとほのかな恨めしさを伴ってユーハンの内を満たしはじめ、その瞳をみつめる。
「………?」
穏やかな眼をして見返すその双眸に、思わず指を伸ばしかけた時。
「アリエ様、商人が到着しました」
叩扉の後とらえたのは従者の声。
「えぇ、………今行くわ」
普段の彼女より少しだけ低めた声。
一瞬にして『アリエ・グロバナー』へと成り代わったように、
瞳の温かな光が無機質な冷たさへと変貌った。
「参りましょう、アリエ様」
差し出された手にみずからのそれを重ねる。
「えぇ」
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