第4章 病魔 前編
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しばらくして。
彼女の部屋を辞したベリアンは、一人地下1階へと続く階段を降りていた。
(主様……。)
先程、彼女が口にした言葉が、胸のなかで混沌と化して渦巻いている。
『マリスはまだ見つからないの?』
この世界のことを語ったのち、彼女はそう訊ねてきた。
『はい、私やナックくん、
他にも数名の執事が街や森を探しておりますが、芳しくは………、』
不安と心細さにゆれる瞳に、安心させるように微笑みかける。
『主様。マリス殿のことは、私達が必ず見つけ出しますから、
そのようなお顔をなさらないでください』
『お願い……きっとよ』
そう言って見上げる瞳に、心にわずかな棘が宿った。
『マリス殿のこと……心から大切なのですね』
そうつぶやいた途端、そのおもてを彩ったのは自嘲の笑み。
『……私が大切に思っても許されるのはマリスだけだから』
哀しみに瞳を翳らせて、その唇を歪ませる。
深く淀むその双眸は、
ベリアンではなく遠い、彼女には手の届かないなにかを視ているようで………。
『主様……?』
けれどそれは一瞬で、すぐに常の表情に戻って。
どうしたのかと問う隙さえ与えられず、胸のなかの混沌だけが膨れ上がった。
『何ででもないの。………気にしないで』
そう呟いて、微笑って見せたのだった。
彼女の部屋を辞したベリアンは、一人地下1階へと続く階段を降りていた。
(主様……。)
先程、彼女が口にした言葉が、胸のなかで混沌と化して渦巻いている。
『マリスはまだ見つからないの?』
この世界のことを語ったのち、彼女はそう訊ねてきた。
『はい、私やナックくん、
他にも数名の執事が街や森を探しておりますが、芳しくは………、』
不安と心細さにゆれる瞳に、安心させるように微笑みかける。
『主様。マリス殿のことは、私達が必ず見つけ出しますから、
そのようなお顔をなさらないでください』
『お願い……きっとよ』
そう言って見上げる瞳に、心にわずかな棘が宿った。
『マリス殿のこと……心から大切なのですね』
そうつぶやいた途端、そのおもてを彩ったのは自嘲の笑み。
『……私が大切に思っても許されるのはマリスだけだから』
哀しみに瞳を翳らせて、その唇を歪ませる。
深く淀むその双眸は、
ベリアンではなく遠い、彼女には手の届かないなにかを視ているようで………。
『主様……?』
けれどそれは一瞬で、すぐに常の表情に戻って。
どうしたのかと問う隙さえ与えられず、胸のなかの混沌だけが膨れ上がった。
『何ででもないの。………気にしないで』
そう呟いて、微笑って見せたのだった。