第2章 主人として
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「主様のお好きな色は?」
問いかけると、冷たいひかりを嘘のように消して。
「青……それから菫色かな」
「では、こちらのドレスはどうでしょう?」
クローゼットから、一着のドレスをとり出す。
「素敵………。」
藤色を基調としたドレス。
ほどよくひらいた胸元は茉白で菫の花の刺繍が施され、華やかな印象で。
肩口から二の腕にかけてはふわりと曲線を描き、
肘から手首を伝う袖は身体の線にぴったりと添っている。
腰から下は霞のようなオーガンジーが重ねられ、
ところどころに縫い込まれた水晶の粒が煌めく。
すこし淡い色合いのそれから透けるのは、藤色のアンダースカートだ。
膝上ほどの丈のそれには、
ドレスの共布のリボンで編み上げた長靴を合わせる意匠となっている。
「お気に召していただけたようで、俺も嬉しいです。——さぁ、主様」
『お着替えのお手伝いをいたします』。その言葉に。
「ひ……一人で着替えられるよ、」
急いた様子で彼の手をつかむ。否応なく、みずからの頬が熱くなった。
「? 恥ずかしがる必要はありませんよ。俺は衣装係ですから」
「醜い傷痕があるの。きっと気分を害するから、」
そう言ってリボンを結びなおす手に、みずからのそれを重ねる。
「大丈夫ですよ、主様。そんな事にはなりません。だから、さぁ——」
そっとその手を外されて、根負けした彼女はおずおずと従った。
「誰にも、言わないで」
しゅるりとリボンを解くと、真っ白な肌が顕になる。
その身をみて、彼の瞳が痺れたようにゆれた。
シュミーズの紐を解くと、なるほど彼女の言った通り、背に大きな傷痕があった。
問いかけると、冷たいひかりを嘘のように消して。
「青……それから菫色かな」
「では、こちらのドレスはどうでしょう?」
クローゼットから、一着のドレスをとり出す。
「素敵………。」
藤色を基調としたドレス。
ほどよくひらいた胸元は茉白で菫の花の刺繍が施され、華やかな印象で。
肩口から二の腕にかけてはふわりと曲線を描き、
肘から手首を伝う袖は身体の線にぴったりと添っている。
腰から下は霞のようなオーガンジーが重ねられ、
ところどころに縫い込まれた水晶の粒が煌めく。
すこし淡い色合いのそれから透けるのは、藤色のアンダースカートだ。
膝上ほどの丈のそれには、
ドレスの共布のリボンで編み上げた長靴を合わせる意匠となっている。
「お気に召していただけたようで、俺も嬉しいです。——さぁ、主様」
『お着替えのお手伝いをいたします』。その言葉に。
「ひ……一人で着替えられるよ、」
急いた様子で彼の手をつかむ。否応なく、みずからの頬が熱くなった。
「? 恥ずかしがる必要はありませんよ。俺は衣装係ですから」
「醜い傷痕があるの。きっと気分を害するから、」
そう言ってリボンを結びなおす手に、みずからのそれを重ねる。
「大丈夫ですよ、主様。そんな事にはなりません。だから、さぁ——」
そっとその手を外されて、根負けした彼女はおずおずと従った。
「誰にも、言わないで」
しゅるりとリボンを解くと、真っ白な肌が顕になる。
その身をみて、彼の瞳が痺れたようにゆれた。
シュミーズの紐を解くと、なるほど彼女の言った通り、背に大きな傷痕があった。