第5章 惑いの往く末
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けれどその回想のような思考は、叩扉にかき消された。
「主様、起きているか」
声の主はバスティンだった。
少し待って、と声をかけ、一度深呼吸してみずからの思考と表情を切り替える。
「どうぞ」
その声の直後扉がひらく。カツ……と長靴の踵を踏みしめ彼が姿をみせた。
「失礼する」
そう告げ、彼女の部屋へと足を踏み入れてくる。穏やかないろの瞳で彼をみつめていた。
「どうしたの、バスティン?」
彼を見上げる瞳。
そっとみつめる眼差しに気恥しくなったのか、彼女から視線を解きながら呟く。
「主様、俺と来てくれないか? その……主様の時間が許すならばだが」
みずからの後頭部に指をかけ、遠慮がちに口にする。
そのぎこちなさに微笑むと、瞬く間にその頬に朱が集った。
「っ……笑わないでくれ、」
少しだけ厳しくなった瞳。そのさまにも微笑ってしまい、ますます紅くなった。
「ご、ごめんなさい。少し……意外だったから、」
くすりと彼女が微笑う。その声は彼女自身の耳にも楽しげに響いた。
「俺がこういう事が苦手だって、もう知っているだろう」
拗ねた調子で呟かれ、漸く笑みを収めた。代わりにその唇に微笑を描き彼を見上げる。
「何処へつれていってくれるの?」
悪戯めいたいろを瞳に宿し彼をみつめる。その瞳の先で、バスティンはかすかな笑みを描いた。
「それはまだ秘密だ」
手袋に包まれた片手を差し伸べられる。そのさまに優しく微笑って、
白くたおやかな指がふれ、そして重ねあわせた。
わく、わく、と高鳴る胸を抱えて。
「主様、起きているか」
声の主はバスティンだった。
少し待って、と声をかけ、一度深呼吸してみずからの思考と表情を切り替える。
「どうぞ」
その声の直後扉がひらく。カツ……と長靴の踵を踏みしめ彼が姿をみせた。
「失礼する」
そう告げ、彼女の部屋へと足を踏み入れてくる。穏やかないろの瞳で彼をみつめていた。
「どうしたの、バスティン?」
彼を見上げる瞳。
そっとみつめる眼差しに気恥しくなったのか、彼女から視線を解きながら呟く。
「主様、俺と来てくれないか? その……主様の時間が許すならばだが」
みずからの後頭部に指をかけ、遠慮がちに口にする。
そのぎこちなさに微笑むと、瞬く間にその頬に朱が集った。
「っ……笑わないでくれ、」
少しだけ厳しくなった瞳。そのさまにも微笑ってしまい、ますます紅くなった。
「ご、ごめんなさい。少し……意外だったから、」
くすりと彼女が微笑う。その声は彼女自身の耳にも楽しげに響いた。
「俺がこういう事が苦手だって、もう知っているだろう」
拗ねた調子で呟かれ、漸く笑みを収めた。代わりにその唇に微笑を描き彼を見上げる。
「何処へつれていってくれるの?」
悪戯めいたいろを瞳に宿し彼をみつめる。その瞳の先で、バスティンはかすかな笑みを描いた。
「それはまだ秘密だ」
手袋に包まれた片手を差し伸べられる。そのさまに優しく微笑って、
白くたおやかな指がふれ、そして重ねあわせた。
わく、わく、と高鳴る胸を抱えて。