第4章 病魔 前編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「早速だが、本題といこう。——テディ」
「はい、フィンレイ様」
彼の傍らに控えていた若い男性——テディと呼ばれたその青年は、
ヴァリスと目が合うと軽く微笑んだ。
彼女も微笑を返すと、彼はさっと視線を解いた。
その瞳はわずかにゆらめいていて、霧が胸を満たしていく。
(? どうしたのかな……。)
思わずじっと見つめると、彼はその視線から逃れるように、
手にしていた書類を主人に差し出した。
それを受けとりながら、再度唇をひらく。
「——この度は、お集まりいただき感謝いたします」
涼やかな声で切り出す。ヴァリスは穏やかな瞳で彼をみていた。
「此度の同盟はこの世界を統治する我々と
悪魔執事とその主に協定を定め——忌まわしき天使たちを根絶する共通の理想を見据え締結するということを、
まず知っていただきたい」
彼は一度そこで声を止めて、四人の当主と視線を交えた。
探りあうように結ぶその眼差しに、彼女はすこしばかりその身を震わせる。
(……お互いに心から信用してはいないみたい)
身の置き場がなくなったように感じて、その瞳が混沌を映し出した。
瞳を伏せかけて、はっとする。
(圧倒されてはいけないよ。——私が堂々としていなければ、
皆の顔に泥を塗ることになる)
視線を上向けば、ちょうどこちらを見ていたフィンレイと眼が合う。
その眼差しを解くことなく静かに見返すと、彼は少し驚いたように瞠目した。
………けれどそれは一瞬のことで、すぐに透明なヴェールに覆われる。
それはあまりに鮮やかな変容で、こちらの視たものが幻だと錯覚してしまうほどだった。
「はい、フィンレイ様」
彼の傍らに控えていた若い男性——テディと呼ばれたその青年は、
ヴァリスと目が合うと軽く微笑んだ。
彼女も微笑を返すと、彼はさっと視線を解いた。
その瞳はわずかにゆらめいていて、霧が胸を満たしていく。
(? どうしたのかな……。)
思わずじっと見つめると、彼はその視線から逃れるように、
手にしていた書類を主人に差し出した。
それを受けとりながら、再度唇をひらく。
「——この度は、お集まりいただき感謝いたします」
涼やかな声で切り出す。ヴァリスは穏やかな瞳で彼をみていた。
「此度の同盟はこの世界を統治する我々と
悪魔執事とその主に協定を定め——忌まわしき天使たちを根絶する共通の理想を見据え締結するということを、
まず知っていただきたい」
彼は一度そこで声を止めて、四人の当主と視線を交えた。
探りあうように結ぶその眼差しに、彼女はすこしばかりその身を震わせる。
(……お互いに心から信用してはいないみたい)
身の置き場がなくなったように感じて、その瞳が混沌を映し出した。
瞳を伏せかけて、はっとする。
(圧倒されてはいけないよ。——私が堂々としていなければ、
皆の顔に泥を塗ることになる)
視線を上向けば、ちょうどこちらを見ていたフィンレイと眼が合う。
その眼差しを解くことなく静かに見返すと、彼は少し驚いたように瞠目した。
………けれどそれは一瞬のことで、すぐに透明なヴェールに覆われる。
それはあまりに鮮やかな変容で、こちらの視たものが幻だと錯覚してしまうほどだった。