第4章 病魔 前編
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午後四時頃。かた、かた、と馬車が揺れている。
帳をしめた硝子に映る、みずからのおもてはわずかに強張っていた。
(……馬車に乗ってから胸騒ぎが加速したみたい)
唇をかんで散らしていると、ルカスの指が伸びてくる。
さら……と髪を撫でられ、その仕草にはじめて彼のほうをみた。
「大丈夫ですよ、主様。私があなたのお傍にいますから」
「!」
その視線の先に、優しい眼差し。
と同時に、瞳に宿っていた、霞のような邪念のヴェールがさっと消え去った。
ルカスはただにこにこと微笑んでいる。
その表情にヴァリスの胸に広がる、染みのような惑い。
(あの夜と同じ……。)
微笑んだ唇に、何処か別の思惑が滲んでいる。
ざらつく心中を見透かされたように感じて、そっと瞳を伏せた。
きゅ、と膝の上で重ねあわせた指を握り、睫を震わせる。
(どうして、こんな風に感じるの)
彼にみつめられると、何もかもを見透かされそうで。
それが何だか落ち着かなくて、さっと視線を解いた。
(主様、)
そんな彼女のさまに、ゆらめくナックの瞳。
長い睫の影に隠した双眸は、彼には図り知れない混沌を映していた。
知らず指を伸ばしかけた時、カタン、と馬車が止まる。
「主様、御到着でございます」
御者台からベリアンが告げる。
馬車の扉があいて、彼が手を差し伸べてきた。
「っ………。」
彼女が馬車から降り立った時、ふいに感じた何者かの「視線」。
思わずさっと瞳を巡らせ、そして気づく。
黒曜と臙脂 色を基調とした軍服を纏った男達———おそらくはグロバナー家に連なる近衛隊騎士だろう———が彼女を見ていた。
帳をしめた硝子に映る、みずからのおもてはわずかに強張っていた。
(……馬車に乗ってから胸騒ぎが加速したみたい)
唇をかんで散らしていると、ルカスの指が伸びてくる。
さら……と髪を撫でられ、その仕草にはじめて彼のほうをみた。
「大丈夫ですよ、主様。私があなたのお傍にいますから」
「!」
その視線の先に、優しい眼差し。
と同時に、瞳に宿っていた、霞のような邪念のヴェールがさっと消え去った。
ルカスはただにこにこと微笑んでいる。
その表情にヴァリスの胸に広がる、染みのような惑い。
(あの夜と同じ……。)
微笑んだ唇に、何処か別の思惑が滲んでいる。
ざらつく心中を見透かされたように感じて、そっと瞳を伏せた。
きゅ、と膝の上で重ねあわせた指を握り、睫を震わせる。
(どうして、こんな風に感じるの)
彼にみつめられると、何もかもを見透かされそうで。
それが何だか落ち着かなくて、さっと視線を解いた。
(主様、)
そんな彼女のさまに、ゆらめくナックの瞳。
長い睫の影に隠した双眸は、彼には図り知れない混沌を映していた。
知らず指を伸ばしかけた時、カタン、と馬車が止まる。
「主様、御到着でございます」
御者台からベリアンが告げる。
馬車の扉があいて、彼が手を差し伸べてきた。
「っ………。」
彼女が馬車から降り立った時、ふいに感じた何者かの「視線」。
思わずさっと瞳を巡らせ、そして気づく。
黒曜と
