第4章 病魔 前編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「主様」
ふいに呼びかけられ彼のほうを見る。
そしてかち合ったのは、いつになく真剣な瞳。
「私達は、いついかなる時でも、貴女の支えであり続けます。
それだけは忘れないでください」
「うん」
指を伸ばす。さら……と白磁の髪にふれると、彼は瞠目した。
「っ………主様っ?」
戸惑いにすこしばかり上擦った声。
朱を散らしたおもてにくすりと微笑んで、ヴァリスは唇をひらいた。
「私……もらってばかりだね」
これまで様々なものを———大切なあらゆるものを喪ってきた。
宝物のように想っていたモノたちは、皆儚くも美しく、この手から零れ落ちていった。
無垢で残酷な、身を切り裂く痛みをともなって。
(正直戸惑っているの)
奪われることには慣れていた。痛みを抑えつけて微笑うことにも。
だからこそ、その逆はどうしていいかわからない。
かけられる気遣い、与えられる温もりや優しい感情———。
「主様………、」
唇をひらきかけたベリアンを、微笑いかけることで覆う。
みずからが心からの微笑を浮かべていることを、
思考の端で自覚しながら、再度唇をひらいた。
ふいに呼びかけられ彼のほうを見る。
そしてかち合ったのは、いつになく真剣な瞳。
「私達は、いついかなる時でも、貴女の支えであり続けます。
それだけは忘れないでください」
「うん」
指を伸ばす。さら……と白磁の髪にふれると、彼は瞠目した。
「っ………主様っ?」
戸惑いにすこしばかり上擦った声。
朱を散らしたおもてにくすりと微笑んで、ヴァリスは唇をひらいた。
「私……もらってばかりだね」
これまで様々なものを———大切なあらゆるものを喪ってきた。
宝物のように想っていたモノたちは、皆儚くも美しく、この手から零れ落ちていった。
無垢で残酷な、身を切り裂く痛みをともなって。
(正直戸惑っているの)
奪われることには慣れていた。痛みを抑えつけて微笑うことにも。
だからこそ、その逆はどうしていいかわからない。
かけられる気遣い、与えられる温もりや優しい感情———。
「主様………、」
唇をひらきかけたベリアンを、微笑いかけることで覆う。
みずからが心からの微笑を浮かべていることを、
思考の端で自覚しながら、再度唇をひらいた。