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第1話 あの日の出来事

お姉さんの話を聞いた後、心にぽっかり大きな穴ができた気がした。僕は愛の意味は知ってる。でもどういうものかわからない。そうだ。。わからなくていいんだよ。。そんなもの。ただ散るだけなんだから。。。そう。

だから僕はヒマワリを見つめながら話しかけた、、、

「ねぇ、愛って奴隷とか束縛とかって思うからキミの花言葉キライ。ってなに、独り言いってるんだろ、僕は。。。」

お姉さんはうらやましいな。。。
きっと両親に恵まれたんだろう。。
僕だって普通に生きて自分らしい人生歩んでたハズなのに。。。
「Ω」という性別でなければ。。。

どうしてどうして僕ばっかり。。。あっ、そっか。現実は変わらない。

僕は涙が止まらず、その場で泣いていた。
外で一人になりながら。
しばらくして、、、、

(木綿季くん、今日は仕事あがる?)
「明日の下準備してから仕事あがりますね。」
(じゃあ、鍵かけよろしくね)
「はい!お疲れ様です!星乃さん。」
(…無理してない?)
「…え。なんですか?」
(さっきのお客様帰ってから様子が変だったから。)

この人は、店長の星乃さん。僕が児童養護施設にいた時から頻繁に会いにきてくれた命の恩人。あの頃は、絶望していた、生きる気力もなく同じ毎日、そして差別されるだけの。

ちゃんとしゃべれた相手が星乃さんだった。今は、恩返ししたくて星乃さんの仕事を手伝っている。

だから僕のことはすべて知ってる。ごまかせないのだ。。。

「お姉さんの話きいてたら、昔のことがよぎってしまって。。。オメガじゃなかったら僕も普通の人生歩んでた。考えてたら、悔しくて、、、」

(性別は関係ないんだよ、木綿季くん。あなたは何も悪くない。だってこんなに優しい心を持ってるんだから。)

「…星乃さん、本当にごめん。弱気になっちゃって…」

(苦しくなったら言って。悩んじゃだめよ。
ちゃんと言ってちょうだいね。わかったー?)

「…ぷぷ。星乃さん、変顔しながらそれは…
アハハッ!」

(やっと笑ってくれたわね。あなたにはまだ人間らしい感情がある。だから大丈夫。怖くない。)

「…はい。星乃さん、本当にありがとう。
絶望していた僕に生きる勇気を与えてくれて。」

(そんな…たいしたことしてないよ、私…
これからも応援してるから自分らしく頑張って!)

「はい!!」

肩を叩かれた僕。
本当に僕のことはお見通しってわけか。

それから僕は、過去を忘れかけていたハズ…だった。

知らない運命の相手に出会うまで。。。


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