15.当日、夕暮れ時
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「真面目だなぁ。本当に見回りしてたのかい?」
「………ええ。ここはもんだいなし……、ぜひもなし、です」
怖かったけど楽しかったなぁ、まつ!
ええ、犬千代様と一緒なら何処までも楽しめまする!
そんなあつあつのやり取りを背後から聴きながら、しゃがみ込んでいる朱音の背中を慶次は撫で続けている。
慶次の隣で人並みに怖がる反応を披露していた朱音は、それでも巡回の体を全うしようとしたせいで、目をつぶってやり過ごすといった防衛行動は出来なかったようだ。
縋り付きこそしなかったが、ずっと慶次の制服の端を握り続けていたため、皺が残ってしまった。
「学園長と明智先生のコスプレはなかなかの仕上がりでしたね…」
「あれやっぱそうだったよな!面白かった〜!って、まだ脚震えてるじゃないか、大丈夫かい?」
「誰のせいですか!」
「わあわあ、ごめん、ごめんて!あっちの天文学部のプラネタリウム展示の方が良かったかな!?」
絶対そっちの方が楽しめた、と朱音の顔面に書いてあった。
「もし…、あなた方はお化け屋敷内の模型について話しておられたか?」
物静かな声色に話しかけられ、そちらを振り向くと、学外の来訪者と思しき少年が佇んでいた。
色白の肌に切り揃えられたおかっぱ。やや感情が伺えない青白い表情から朱音は先程までの光景を思い出したらしい。
本来はお客さんに応対すべき場面なのだが、ぐったりと慶次にもたれかかってしまった。それを察した慶次が朱音に申し訳なく思いながらも少年に応えた。
「おう!そうだよ。ここの学園長と保健の先生の格好してたんだ」
「そうでしたか……いや、あの装いは素晴らしかった…!赤い月を背景に魔王の如き鎧を纏った人体模型には威厳すら覚えた…!天井から降ってきた白髪の餓者髑髏も臨場感があり…!」
「う、うん…!それは良かったねぇ。けどこの子がまた思い出しちまうから…俺企画店の人呼んでくるから、その人に直接感想教えてあげなよ!」
「承知した…!心遣いに感謝申し上げる…!」
雰囲気とは対照的に興奮を露わにする少年に追撃を食らう 朱音を何とかすべく、慶次はお化け屋敷担当の生徒を直ぐに呼び、場を収める事に成功した。