1.時期外れのはじまり
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護れ、とだけ言った。
生き延びろなどと余計な事は言わなかった。きっと察してくれたのだ。残される思いを。
生きて欲しいとも思っていてくれたはずだ。一緒にいたいと思ってくれていたのかもしれない。きっと、わたしを最後まで気遣ってくれたがゆえの言葉。
本当に器用な人。器用すぎるから本心まで上手に隠してしまう。そんな所までこの上なく愛おしい。
振り返ればあっという間だったけれど、沢山の事を経験した。彼の事も沢山知れたと思う。
だからこそ彼の望みに沿ってわたしは発揮され、ここで使い果たす覚悟は出来ている。
何が何でも果たしてくれる。そんな確信をしてくれただろうか。
やってみせる。決して潰えさせはしない。あなたの分まで望みを叶える。望みはこの生を以て繋ぐ。
託された思いを形見代わりに重ね、わたしは往く。
「ごめん、朱音………さいごなのに、」
「今更ですよ」
「ヤバい相手なんだよ、マジで」
「はい、お任せください」
「旦那を、護って。……俺の、代わりに」
「はい、あなたの分まで絶対に果たします。信じてて、さすけ」
「……頼もしいこって、」
「でしょう。どれだけあなたを追いかけて来たと思っているんですか」