こがらしの記憶
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突っ立って耳に入るのはコガラシを揺らす風の音。
その音に飽きた頃に踏み出した足音は一人分。
もう慣れた。慣れた。慣れすぎた。
退屈だ。すごく。
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………珍しくこの場所で自分以外の生き物の音がした。
気配は一つだけ。迷った猪かイタチあたりだろうか。それなら狩場まで向かう手間が省けて好都合だ。
獲物代わりの枝と蔓で作った弓と竹製の鏃(やじり)を持ち出すと、おれは足音を立てないように獣に近づいた。
(……あれ?)
気配を辿って進んだ先に居たのはなんと人だった。
丸腰の、胴着を着た女性だった。
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