新たなハプニングだぜ!
キーンコーンカーンコーン。
チャイムが鳴って、俺はハッとする。
イノリが言ってたこと考えてたら、またボーッとしちまってた。
なんやかんやで、もう放課後。俺の測定の順番は、まだ来ていなかったりする。
とはいえ、さっき「前田」だったから。もうすぐだと思うけど。
先生の手伝いを終えて、教室に戻るとクラスメイトが寄ってきた。
「おい、これ捨てて来いよ」
出し抜けに、ゴミ袋を押し付けられて、目を丸くする。
とっさに受け取ったら、クラスメイトはすでに彼方へ去っていた。ちゃっかりしてるぜ。
ゴミ袋を背中でボンボン弾ませて、ゴミ捨て場を目指す。
天気がいいから、気分がいいなあ。
鼻歌を歌いながら、ゴミ捨て場の重い扉を押し開ける。
建物の中には、もっさりとゴミ袋が積まれてた。このゴミ捨て場は、教室で出るゴミばっかり集めてるんだって。それなのに、すげえ量だ。
一番高いところに、袋を放り投げる。
「よい、しょ――うわああ!?」
と、ゴミ袋タワーがぐらついて、ドドドドと袋が雪崩れてきた。
とっさに飛びのくと、足元にバフバフと砂埃をたてながら、袋が落ちてくる。
「はー。びっくりした。……ん?」
ふと、崩れたゴミ山の下に、ビニル紐で括られた本が積まれてるのが見えた。
なんとなく近寄ってみて、ハッとする。
「こ、これ――教科書!」
手に取って見れば、まぎれもなく一年の教科書だ。
しかも――教科書の束を裏向けて、確信する。
これ、俺の教科書じゃん!
油性マジックではっきりと「吉村時生」って、書いてあるもん。
隣にあるノートの束も、俺のだ。
「……うう、よかった、見つかった~!」
この際、捨ててあることは不問だ。
きつい結び目に爪をひっかけて、紐をほどく。なんとか全部を自由にして、一番上の一冊を手に取った。革張りでズシッと重い、魔法術式の教科書。
いやぁ、この教科、特にいっぱい書き込みしたからな。戻って来てくれてよかった。
笑顔で、ぺらっと一ページ捲る。
そんで、凍り付いた。
「ぇ……」
教科書の中身は、ペンキに漬けたみたいに真っ黒になっていた。
ひゅーっと北風が吹いて、ゴミ捨て場のフェンスをカタカタ揺らした。
真っ黒の教科書とノートを抱えて、とぼとぼ歩く。
どの教科書もノートも、全部同じように真っ黒になってて、とても内容がわかるもんじゃなかった。
それでも、あそこに置いとくのは忍びなくてさ。使えなくても、持ってきちまったけど……。
見つかって、嬉しかったのに。
まさかの二段構えなんて、そりゃねえよ。
「……にしても、どうしよう?」
これじゃ、「俺の教科書が、戻ってくるのに期待」って言う選択肢もなくなっちまったんだよな。
つまり、本格的に期末がやばいっ!
現実がドーン! と岩みてえに圧し掛かってきて、猫背になっちまいそう。
ああ、どうしよう。
ふーーとため息をついたとき、前から来た人にぶつかってしまった。
「あでっ!」
尻もちをついた拍子に、教科書がバサバサ散らばる。
「ごめんね、だいじょう――吉村くん?」
「あっ。すんません!」
ぶつかったのは、姫岡先輩だったらしい。
先輩もびっくりしたのか、手を差しだすポーズで、目を丸くしている。
慌てて立ち上がると、俺は教科書を拾い集めた。
すると、先輩も腰をかがめて、俺のノートを拾ってくれようとする。
「あ、待っ」
「っ! これは」
「しまった」と思っても、後の祭り。
ノートの状態に気づいて、先輩がハッとした顔で俺を振り返った。
俺は、慌ててノートを受け取って頭を下げた。
「ありがとうございました。では!」
「ちょっと待って」
くるっと踵を返した俺の肩を、姫岡先輩がガシッと掴む。
「あの――ちょっと話さない? ぶつかっちゃったお詫びにでも」
そう言って、親指で指示されたのは小さな温室だった。言うが早いか、そっちに引きずられて、俺は慌てた。
「あの、俺そろそろ測定が――!」
「すぐだから。ね? ちょっとだけ」
振り返って、にっこりとほほ笑まれる。
なんか、圧が強い! たじろいでいるうちに、連れ込まれてしまった。
チャイムが鳴って、俺はハッとする。
イノリが言ってたこと考えてたら、またボーッとしちまってた。
なんやかんやで、もう放課後。俺の測定の順番は、まだ来ていなかったりする。
とはいえ、さっき「前田」だったから。もうすぐだと思うけど。
先生の手伝いを終えて、教室に戻るとクラスメイトが寄ってきた。
「おい、これ捨てて来いよ」
出し抜けに、ゴミ袋を押し付けられて、目を丸くする。
とっさに受け取ったら、クラスメイトはすでに彼方へ去っていた。ちゃっかりしてるぜ。
ゴミ袋を背中でボンボン弾ませて、ゴミ捨て場を目指す。
天気がいいから、気分がいいなあ。
鼻歌を歌いながら、ゴミ捨て場の重い扉を押し開ける。
建物の中には、もっさりとゴミ袋が積まれてた。このゴミ捨て場は、教室で出るゴミばっかり集めてるんだって。それなのに、すげえ量だ。
一番高いところに、袋を放り投げる。
「よい、しょ――うわああ!?」
と、ゴミ袋タワーがぐらついて、ドドドドと袋が雪崩れてきた。
とっさに飛びのくと、足元にバフバフと砂埃をたてながら、袋が落ちてくる。
「はー。びっくりした。……ん?」
ふと、崩れたゴミ山の下に、ビニル紐で括られた本が積まれてるのが見えた。
なんとなく近寄ってみて、ハッとする。
「こ、これ――教科書!」
手に取って見れば、まぎれもなく一年の教科書だ。
しかも――教科書の束を裏向けて、確信する。
これ、俺の教科書じゃん!
油性マジックではっきりと「吉村時生」って、書いてあるもん。
隣にあるノートの束も、俺のだ。
「……うう、よかった、見つかった~!」
この際、捨ててあることは不問だ。
きつい結び目に爪をひっかけて、紐をほどく。なんとか全部を自由にして、一番上の一冊を手に取った。革張りでズシッと重い、魔法術式の教科書。
いやぁ、この教科、特にいっぱい書き込みしたからな。戻って来てくれてよかった。
笑顔で、ぺらっと一ページ捲る。
そんで、凍り付いた。
「ぇ……」
教科書の中身は、ペンキに漬けたみたいに真っ黒になっていた。
ひゅーっと北風が吹いて、ゴミ捨て場のフェンスをカタカタ揺らした。
真っ黒の教科書とノートを抱えて、とぼとぼ歩く。
どの教科書もノートも、全部同じように真っ黒になってて、とても内容がわかるもんじゃなかった。
それでも、あそこに置いとくのは忍びなくてさ。使えなくても、持ってきちまったけど……。
見つかって、嬉しかったのに。
まさかの二段構えなんて、そりゃねえよ。
「……にしても、どうしよう?」
これじゃ、「俺の教科書が、戻ってくるのに期待」って言う選択肢もなくなっちまったんだよな。
つまり、本格的に期末がやばいっ!
現実がドーン! と岩みてえに圧し掛かってきて、猫背になっちまいそう。
ああ、どうしよう。
ふーーとため息をついたとき、前から来た人にぶつかってしまった。
「あでっ!」
尻もちをついた拍子に、教科書がバサバサ散らばる。
「ごめんね、だいじょう――吉村くん?」
「あっ。すんません!」
ぶつかったのは、姫岡先輩だったらしい。
先輩もびっくりしたのか、手を差しだすポーズで、目を丸くしている。
慌てて立ち上がると、俺は教科書を拾い集めた。
すると、先輩も腰をかがめて、俺のノートを拾ってくれようとする。
「あ、待っ」
「っ! これは」
「しまった」と思っても、後の祭り。
ノートの状態に気づいて、先輩がハッとした顔で俺を振り返った。
俺は、慌ててノートを受け取って頭を下げた。
「ありがとうございました。では!」
「ちょっと待って」
くるっと踵を返した俺の肩を、姫岡先輩がガシッと掴む。
「あの――ちょっと話さない? ぶつかっちゃったお詫びにでも」
そう言って、親指で指示されたのは小さな温室だった。言うが早いか、そっちに引きずられて、俺は慌てた。
「あの、俺そろそろ測定が――!」
「すぐだから。ね? ちょっとだけ」
振り返って、にっこりとほほ笑まれる。
なんか、圧が強い! たじろいでいるうちに、連れ込まれてしまった。