第3章番外編
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エロ本騒動! part.2
5年生の寒い寒い日。ジェームズ・ポッターがトイレから出てくると、偶然に同じく5年生、スリザリン寮であるユキ・雪野が通りがかった。
「やあ、ユキ」
『あ!ジェームズ良かった』
「ん?どうしたんだい?」
『リリーに教科書を借りていたの。次の時間変身術でしょ?返しておいてくれないかな?』
「リリーに!もちろん引き受けるよ。リリーと話すきっかけが出来るならなんだってしたいくらいさ」
『リリーにありがとうって伝えておいて。宜しくね、ジェームズ。ありがとう』
「こちらこそありがとうだよ、ユキ」
じゃあねと別れた2人。ユキは薬草学の教室へと足早に歩いて行き、ジェームズはルンルンと鼻歌でも歌いそうな様子で変身術の教室へと歩いて行く。
いつものメンバーはまだ来てなく、リリーも教室にいない。ジェームズは一番前の机にと行ってニコニコと後ろを振り返って教室の入り口を見ていた。すると、やってきたのはこの教室の主であるミネルバ・マクゴナガル。
「おはようございます、先生」
「おはようございます、Mr.ポッター。教室の1番前に座るとは珍しいですね」
「今日はMs.エバンズの横で授業を受ける予定なんです」
「Ms.エバンズも承知の上ですか?」
「えぇぇ~マクゴナガル教授ったら厳しいなぁ」
いつもリリーの尻を追いかけて逸脱した行動をするジェームズに対してピリッとした言葉を言うマクゴナガルにジェームズはカラカラと笑い、そして教科書を目線に掲げてウインク。
「今日は話すきっかけがあるから邪険に扱われませんよ」
自分で邪険に扱われているとか悲しいことを言っているジェームズは今のところ置いておこう。それよりも、マクゴナガルの視線の先を見て見よう。
「ポッター」
重い声が教室に響く。
ギロッとマクゴナガルがジェームズが掲げている本からジェームズに視線を移し、漸くここでジェームズは異変に気が付いた。何だろうと目をパチパチしながら目線に掲げている本に視線を持っていくとそこにあったのは――――
「どええええええ?!?!」
エロ本だった。
バイーンと胸の大きなお姉さんがマイクロビキニを着てポーズを決めており、今にも赤い水着を脱ぎそうなところ。しかも、赤毛のその女性はどこかリリーに似ていてジェームズはあんぐりと顎を落とした。
「ポッター!!!」
「ひいいっ。誤解なんですマクゴナガル教授、嵌められたんです!」
授業の始まりそうな教室にはほぼ全員の生徒が教室に入ってきていて教室の前で行われている面白そうなやりとりを見物していた。その中で一番楽しそうに笑っているのは悪戯仕掛人だ。
「エバンズにエロ本をプレゼントするとはセンスねーぞ、ジェームズ!」
「う、うっさい、シリウス!」
ジェームズはハッとして教室の中からリリーを探し出す。しかし、ジェームズは探し出さなければ良かったと後悔した。虫けらでも見るような目で見られていて、エメラルドグリーンの瞳には軽蔑の色が浮かんでいる。あわわわわわ。
「ジェームズったら最低ね」
「やだ。あの女の人リリーと同じ赤毛よ。あいつの頭の中どうなっているのかしら!」
「考えたくないわ!変態!」
リリーの友人たちの言葉にジェームズは更に大慌て。誤解を解こうと一歩踏み出した時だった。椅子に躓いてしまい、ジェームズは派手にずっこける。
バサリ
宙に飛ぶエロ本のページが勝手に捲られて、その本からは金色の粉が吹き出して下にいたジェームズに降り注いだ。キラキラとした粉を浴びたジェームズがどうなったかというと、こうなった。表紙のお姉さんのように赤いマイクロビキニ姿。乳首は赤い水着でギリギリ隠されているのだが、こちらはどうでもいい。問題は下だった。
「「「「「「きゃあああああああ!!!!」」」」」」
「ひええっ!!」
男性陣の爆笑と女子生徒の悲鳴が教室を満たす。赤いマイクロパンツはジェームズの大事なあそこをパンパンにしていて際どい状態になっていた。
「僕の息子が零れ落ちるッッッ!!!」
シリウスは床に崩れ落ちて笑い、リーマスはヒーヒー言いながら涙を拭っている。ピーターは笑い過ぎて呼吸困難だ。笑われているが本人は必死。どうにかして誤解を解きたいと股間を両手で抑えながらリリーの方へと猛スピードでスタスタスタスタッと走って行く。
「聞いてくれっ、リリー!!」
「きゃああああ、あっちへ行って!!」
「誤解なんだ!ユキから君の教科書を返して欲しいと言われてこうなったんだっああああ僕の息子がはみ出てしまった!もうお嫁に行けないよおおおっ」
「きゃあああああああああ!!」
目を覆って友達と一緒に教室の端へと走って行くリリーと蹲るジェームズ。マクゴナガルは盛大な溜息を吐き、額に手をやって杖を一振り。
「ジェームズ・ポッター、冷静になりなさい」
「おおおっ!服がもとに戻った!流石は僕らの寮監ですねっ。ありがとうございます!」
「直ぐに席におつきなさい。ベルはとっくになっています。グリフィンドールからは20点減点します。それから、後ほど罰則を言い渡しますので授業が終わったら居残りなさい」
「ええっ!これはユキのせいですよ!」
「教室を大混乱に陥れた罰です。もちろん、Ms.雪野の方にもキツく言うつもりでいます」
「思いっきり重い罰則を課して下さいね!」
鼻息荒く怒るジェームズが拾ったエロ本を怒りに任せて頭上で振り回す。
「「「「「「「きゃああああああ」」」」」
再びジェームズはマイクロビキニ姿になり、マクゴナガルは呆れて首を振ったのだった。
『最高!』
中庭の端。そこには珍しい組み合わせの3人がいた。
ユキ、セブルス、そしてリーマスである。ユキとセブルスが中庭の端で呪文の練習をしているとそれを見つけたリーマスがやってきて、ジェームズのマイクロビキニ事件の一部始終を話して聞かせたのだ。
「今頃、ジェームズは必死にユキのことを探していると思うよ。気を付けてね。決闘するって息巻いていたから」
『返り討ちにしてやるわ!』
元気よく拳を空へと突き上げるユキを見てリーマスはクスリと笑う。
「いつもいつもユキには笑わせてもらっている。ありがとう」
『悪戯は笑ってもらえるのが一番嬉しい。ふふ、やったー』
笑顔弾けるユキと温かい目でユキを見るリーマスを面白くなさそうにして見ているのはセブルスだ。不機嫌そうな顔で立ち上がりながらユキの腕を引っ張った。
『セブ?』
「場所を移動しよう。決闘するにしてもここは場所が悪い」
『そうだね。いつものブナの木の下に行こうか』
ユキは足元に置いていた魔法のランタンを手に取った。それは真冬の今でも周囲を春のような温かさにしてくれるランタンで、これはセブルスの得意な魔法。
温かく柔らかな熱を放つランタンに微笑を向けるのを面白く思わないのはリーマス。
「そういえば」
きゅっとユキの反対の手を握るリーマス。
「マクゴナガル教授にユキを見つけたら連れてきなさいって言われていたんだった」
『ええっ!』
「驚くことじゃあないだろう?あの悪戯が誰の仕業かバレるって分かっていたはずだよ?」
『そうだけど……うぅ』
「僕が責任を持ってユキを連れて行く。じゃあね、Mr.スネイプ」
ずりずりと引きずられていくユキをセブルスは黙って見ているしかなかったのだが、急なブリザードに咄嗟に杖を振った。
「アクシオ 、ユキ」
『ぬおお!?』
ポーンと飛んでいったユキの体は積もっていた雪の中にダイブした。
『ぶへえっ。セブったら何するのよ』
「どっかの馬鹿からの呪文から守ってやったんだ。感謝しろ」
『呪文?』
殺気のない攻撃にユキは気づかなかったのだが、前を見れば悪戯仕掛人の残りがジェームズを先頭にやってくるところだった。
「ユキ!漸く見つけたぞ!」
『やあ、ジェームズ・ポッターくん。リーマスから聞いたわよ。息子が“こんにちは”したらしいじゃないの。リリーはなんて言っていた?』
「むむむむむむ!!決闘だ!」
『ふっふっふっ。受けて立つわよ。アグアメンティ』
「オーキデウス」
『オーキデウス?』
花よ出よの呪文に首を傾げるユキ。頭上ではヒラヒラと色とりどりの美しい花が舞い落ちてくる。
「オーキデウス、オーキデウス、オーキデウス!」
『さっきから何をやっているの?ジェームズ。頭がお花畑なの?』
ジェームズの意図が分からず目をパチクリしていたユキは反応が遅れた。大量の花の中からスッと現れたのは件のエロ本だった。
パラパラとページが捲られるエロ本からは金色の粉がたっぷりとユキの頭上に降り注ぐ。あっいう間に変わってしまったユキの体は先ほどのジェームズと同じ、赤いマイクロビキニ姿。
『あらら』
「ハッハッハッ!お返しだ!ぶへえっ」
バーン
ジェームズの体が吹っ飛んで、3度バウンドして漸く止まった。
呪文を放ったのはセブルスとリーマスで、2人共真っ赤な顔をして杖をジェームズに突きつけている。
「ジェームズ、女の子相手にやっていいことと、やっちゃいけないこととの区別が付かないのかな?」
「ひいっ。リーマス。そんな怖い顔をして怒らなくてもいいじゃないか」
杖を持ったままジリジリとジェームズとの距離を詰めるリーマスに横で見ていたピーターは真っ青。シリウスはポカンと下顎を間抜けに落としままユキを見ており、それにハッと気が付いたセブルスは急いで自分の着ているローブを脱いでユキの体にかけた。
「早く前を合わせろ」
『セブの脱ぎたてのローブ温かい。あと良い匂い』
「馬鹿。嗅ぐな変態。それより、この呪文はなんだ?」
『変身術と幻影術を掛け合せたもの』
「自分で解けるよな?」
『うん。直ぐに』
「馬鹿、ローブを脱ぐな。ここでその……姿を晒すのはまずい」
中庭は人が多く、皆何ごとかとこちらを見ていてユキの変化に気づいた者も多く、特に男子生徒は嬉々とした目でこちらを見ていることにセブルスは気が付いた。
はあ。もう少し羞恥心というものを持てばいいものを……と思いながらユキの手を引いて行く。
「ルーピン、お前に頼みごとをするのは癪だがポッターを宜しく頼むぞ」
「僕も君にユキを預けるのは癪だけど、寮まで送り届けて欲しい。ジェームズのことは……うん。任せてくれていいよ」
「え……リーマス?え、え、えっ」
バーーーン
「ぎゃーーーー」
黒いオーラを背負うリーマスからジェームズは必死に逃げ回ることになるのだった。
スリザリン寮は地下にあるが、寮の中は暖炉で踊っている火が談話室を暖かくしていて寮生が集まっていた。
『手伝いはいらないな?』
「うん」
「それなら部屋に戻って呪いを解くんだ」
『何故ここじゃ駄目』
「駄目だ。誰かに見られたら大変だろう」
『確かに』
「……」
『…………』
「…………なんだ?」
『ちょっと見る?』
「ば、ばか。見ない!」
『え?』
「なんで不思議そうな顔しているんだよッ」
『だってエロ本の実体だよ。おかずに出来るよ?』
「お、お前どこでそんな言葉を覚えてきたんだ!」
『ジェームズ』
「2度とあいつと口をきくな!」
『まあまあ。そんなに怒らずに』
「誰のせいだと思っているんだ?まあいい。さっさと部屋へ戻れ」
『本当に「見ない」……』
セブルスは手を伸ばし、しっかりとローブを合わせてユキに行くように頭を振って指示した。何故だろう。ユキは少し面白くなかった。セブルスは全くもって自分の姿に動揺していないように見えると思ったからだ。
少しくらいドキドキしてくれてもいいのに。
不満に思いながらローブの裾を引きずらないようにたくし上げたユキは思う。いつの間にこれだけの体格差が出来たんだ。
『セブ、慎重伸びたよね』
「そうだな」
『ふふ』
「なんだ。気持ち悪い」
『セブの中にすっぽり入っているような気がして嬉しいだけ』
「っ。この変態」
『ドキドキした?』
「ユキ相手にするもんか」
『そうか……』
「なんだその顔は」
『なんでもないよ。ローブは洗ってから返すね』
寂しそうに微笑むユキに勇気を出してセブルスは口を開く。
「別に構わない」
『え?』
「嫌じゃない」
『そう、なの?素肌に着ちゃったんだよ?』
「あぁ」
ユキは嬉しそうに口元を緩めて女子フロアへと走り去って行く。
「……ハァ。僕って最低だ……」
裸の上に羽織られた自分のローブ。
ドキドキした?
セブルスは自分自身に対して大きな溜息を吐いたのだった。