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杏②

 このような微笑ましい光景は、日に1刻もありませんでした。

寝たり起きたりの生活を送っていたお嬢さまが、遂に起き上がることも難しくなってしまわれたのです。

冬にはお産を控えていらっしゃったというのに、それまで持つか持たぬかの瀬戸際を綱渡りする毎日でありました。

お嬢さまの目が黒いうちに、郭奉孝さまがお帰りになるのか──わたしは来る日も来る日も落ち着きませんでした。
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