奕
「旦那さまも生活力がおありとは言えませんが、美帆さまもなかなか行動派と言いますか、まあ…」
「それで? 母上は、父上と冀州に行かれたのか?」
「いいえ。冀州に行く道で何か起きたらどうする、帰り道で産気づいたらどうする、と郭奉孝さまは散々お悩みになって、結局お嬢さまが眠っておられるうちに出立されました」
「そんなことをして、母上はお怒りにならなかったのか?」
僕の知る母は優しいが、僕が失敗を取り繕うために嘘をつくと烈火の如く怒る人だった。
また、僕が学問所に通う姿を御覧になることはなかったが、書物を読んだり書簡を送ることが好きな教養溢れる人でもあった。
杏の回想の中のお転婆で、男勝りで滅茶苦茶な感じは解らない。
「それが案外大人しかったのですよ」
「それで? 母上は、父上と冀州に行かれたのか?」
「いいえ。冀州に行く道で何か起きたらどうする、帰り道で産気づいたらどうする、と郭奉孝さまは散々お悩みになって、結局お嬢さまが眠っておられるうちに出立されました」
「そんなことをして、母上はお怒りにならなかったのか?」
僕の知る母は優しいが、僕が失敗を取り繕うために嘘をつくと烈火の如く怒る人だった。
また、僕が学問所に通う姿を御覧になることはなかったが、書物を読んだり書簡を送ることが好きな教養溢れる人でもあった。
杏の回想の中のお転婆で、男勝りで滅茶苦茶な感じは解らない。
「それが案外大人しかったのですよ」