『青服の日常』より
クリスマスイブにサンタが来る。
そんなことは子供の頃だけの話で、大人のもとにはサンタは来ない。
そう思っていた。
「アンノウンさ~ん」
何だこの状況は。
「アンノウンさんジュース足りないんじゃないスか~?」
「え、えーと」
「足りないんじゃないスかぁ~?」
「じゃあもらおうかな……」
「ジュース一杯入りました~! はーい!」
バイヤーがにこにこ笑いながら俺のグラスにサイダーを注ぐ。
もしかしなくてもこのソフトドリンク祭りみたいなチョイスは酒に弱い俺への配慮の結果なのか? そうなのか?
よくわからなさすぎる状況にいっそ酒で頭をぼやけさせられたらよかったのだが、目の前には普通にバイヤーがいてマイグラスでビールを飲んでいる。
クリスマスイブにパーティをしようということでナイトとバイヤーと俺とでなぜか俺の部屋で宅飲みをしていたのだが、ナイトは夜更しはお肌の敵ですからと言って早々と就寝、酔ったバイヤーが俺に延々と絡むという図ができあがっている。
こいつこんなにお酒弱かったっけ?
ふにゃふにゃのバイヤーを見ているとバイヤーがこちらをへにゃりと見て、
「今日はバイヤーサンタッスから」
と言った。
「バイヤーサンタって何?」
「バイヤーサンタはバイヤーサンタッスよ」
「ええ……?」
「アンノウンさんとこにもサンタが来たってことッス!」
きらりんと星を飛ばすバイヤーには異議を差し挟む箇所がなさそうだったので少し早いが俺は諦めることにした。
「バイヤーサンタさん」
「そうッス!」
「バイヤーサンタさんかあ……」
サンタコスをするバイヤーを思い浮かべてヒゲバイヤーなかなかかわいいのでは? と思いかわいい? かっこいい? とよくわからなくなってからなんか俺結構頭ふわふわでは? 酒飲んでないのに? みたいなぐるぐるを回していると、
「プレゼントは何がいいッスか?」
「何って」
「サンタは良い子にプレゼントをあげるんスよぉ。アンノウンさんは何がいいんスか、プ・レ・ゼ・ン・ト」
「えっ」
「今一番欲しいものを言ってくれていいんスよぉ」
「えっそれは、えっと、いやそれは」
ぐるぐる、ぐるぐる。
「俺の一番欲しいもの? 何だろう、わから……」
「わからない?」
「え」
「本当に?」
◆
「朝!」
身体が痛い。どうやらソファで寝てしまっていたようだ。膝の上には寝息をたてるバイヤーがいる。
「いや何で膝の上にいるんだ!?」
「こらこらアンノウン、バイヤーが起きてしまうでしょう」
「だって俺の……膝の……」
どうやら朝食の支度をしてくれていたらしいナイトが「何か不思議なことでも?」みたいな目で見てくるから俺は何も言えなくなった。
昨日の晩のことを思い出す。
あれどこからが夢だったんだ?
っていうかこいつほんとにそんな酒弱かったっけ、
「ミソスープ!」
「うおっ」
がばっとバイヤーが身を起こし、俺はのけぞった。
「急に動くのやめろよ」
「オレ最近ミソスープにハマってるんスよね! なんでミソスープあるんスか?」
「買い出しのときに買ったんですよ。二日酔いにはミソスープが良いとの噂を聞きまして」
「あっ……そうだった、オレ二日酔いなんスわ。頭痛いわー超痛いわー」
眉間に皺を寄せる俺。
ふふふと笑うナイト。
クリスマス当日はそんな感じで、サンタの真意は俺にはやっぱりわからない。
そんなことは子供の頃だけの話で、大人のもとにはサンタは来ない。
そう思っていた。
「アンノウンさ~ん」
何だこの状況は。
「アンノウンさんジュース足りないんじゃないスか~?」
「え、えーと」
「足りないんじゃないスかぁ~?」
「じゃあもらおうかな……」
「ジュース一杯入りました~! はーい!」
バイヤーがにこにこ笑いながら俺のグラスにサイダーを注ぐ。
もしかしなくてもこのソフトドリンク祭りみたいなチョイスは酒に弱い俺への配慮の結果なのか? そうなのか?
よくわからなさすぎる状況にいっそ酒で頭をぼやけさせられたらよかったのだが、目の前には普通にバイヤーがいてマイグラスでビールを飲んでいる。
クリスマスイブにパーティをしようということでナイトとバイヤーと俺とでなぜか俺の部屋で宅飲みをしていたのだが、ナイトは夜更しはお肌の敵ですからと言って早々と就寝、酔ったバイヤーが俺に延々と絡むという図ができあがっている。
こいつこんなにお酒弱かったっけ?
ふにゃふにゃのバイヤーを見ているとバイヤーがこちらをへにゃりと見て、
「今日はバイヤーサンタッスから」
と言った。
「バイヤーサンタって何?」
「バイヤーサンタはバイヤーサンタッスよ」
「ええ……?」
「アンノウンさんとこにもサンタが来たってことッス!」
きらりんと星を飛ばすバイヤーには異議を差し挟む箇所がなさそうだったので少し早いが俺は諦めることにした。
「バイヤーサンタさん」
「そうッス!」
「バイヤーサンタさんかあ……」
サンタコスをするバイヤーを思い浮かべてヒゲバイヤーなかなかかわいいのでは? と思いかわいい? かっこいい? とよくわからなくなってからなんか俺結構頭ふわふわでは? 酒飲んでないのに? みたいなぐるぐるを回していると、
「プレゼントは何がいいッスか?」
「何って」
「サンタは良い子にプレゼントをあげるんスよぉ。アンノウンさんは何がいいんスか、プ・レ・ゼ・ン・ト」
「えっ」
「今一番欲しいものを言ってくれていいんスよぉ」
「えっそれは、えっと、いやそれは」
ぐるぐる、ぐるぐる。
「俺の一番欲しいもの? 何だろう、わから……」
「わからない?」
「え」
「本当に?」
◆
「朝!」
身体が痛い。どうやらソファで寝てしまっていたようだ。膝の上には寝息をたてるバイヤーがいる。
「いや何で膝の上にいるんだ!?」
「こらこらアンノウン、バイヤーが起きてしまうでしょう」
「だって俺の……膝の……」
どうやら朝食の支度をしてくれていたらしいナイトが「何か不思議なことでも?」みたいな目で見てくるから俺は何も言えなくなった。
昨日の晩のことを思い出す。
あれどこからが夢だったんだ?
っていうかこいつほんとにそんな酒弱かったっけ、
「ミソスープ!」
「うおっ」
がばっとバイヤーが身を起こし、俺はのけぞった。
「急に動くのやめろよ」
「オレ最近ミソスープにハマってるんスよね! なんでミソスープあるんスか?」
「買い出しのときに買ったんですよ。二日酔いにはミソスープが良いとの噂を聞きまして」
「あっ……そうだった、オレ二日酔いなんスわ。頭痛いわー超痛いわー」
眉間に皺を寄せる俺。
ふふふと笑うナイト。
クリスマス当日はそんな感じで、サンタの真意は俺にはやっぱりわからない。