『青服の日常』より
「アンノウンさんー、トリックオアトリート」
「はいはい」
机の上の箱からお菓子を出してバイヤーに渡す。
「あれ?」
「何だよ」
「これロディバの新作じゃないッスか?」
「ん?」
「買ったんスか?」
「さあ……」
「さあって何スかさあって」
「おいしければ何でもいいだろ」
「はあ、よくわからないッスけど、もらっていいんスよね」
「うん」
「やった。実はオレこれ気になってたんスよね」
「へえ……」
「人気すぎて通販受付停止になってたのによく買えたッスね」
「まあね」
「なんか今日のアンノウンさんいつもに増してつれなくないッスか?」
「そんなことはない」
「なんか……トリックがよかったッスか?」
「なっお前馬鹿何言って、いいわけないだろ!」
「冗談ッスよぉ、そんな照れないでくださいって」
「照れてない!」
「オレには言ってくれないんスか?」
「照れてな……って何を?」
「トリックオアトリートって」
「え? 言う流れ?」
「言う流れっしょ」
「じゃあ言うけど……トリックオアトリート」
「よし! じゃあアンノウンさんにはこれをあげまーす!」
バイヤーが懐から包みを出し、渡す。
「え、あ、ありがとう……?」
「じゃあオレはこれで」
「んー?」
「何納得いかなさそうな顔してるんスか? トリックしたかったんスか?」
「いや……」
ものすごく上等そうな包みにこれめっちゃ高いんじゃないのか? と訊きたかったが訊けるはずもなく。
「時間かかる案件がね~、あるんスよね。せっかくのハロウィンなんだからもうちょっと羽伸ばしたかったッスよね~それじゃ」
ひらひらと手を振って去るバイヤー。
羽を伸ばす?
どこで?
ここで?
よくわからないまま机の上の包みを……乱暴に開けるのが怖くて事務用ハサミを使って開けた。
チョコだ。
箱を開け、一つ口に入れる。
「む、……」
何か食べたことない味がした。
つまりこれが「美味しい」なのか?
めっちゃ高そうじゃないか?
いつもの通販で買って余ったやつなのか?
こんな丁寧にラッピングがしてあるやつを?
釈然としないまま俺はチョコを咀嚼した。
ふわふわした気分になった。
今回はそんな話。
「はいはい」
机の上の箱からお菓子を出してバイヤーに渡す。
「あれ?」
「何だよ」
「これロディバの新作じゃないッスか?」
「ん?」
「買ったんスか?」
「さあ……」
「さあって何スかさあって」
「おいしければ何でもいいだろ」
「はあ、よくわからないッスけど、もらっていいんスよね」
「うん」
「やった。実はオレこれ気になってたんスよね」
「へえ……」
「人気すぎて通販受付停止になってたのによく買えたッスね」
「まあね」
「なんか今日のアンノウンさんいつもに増してつれなくないッスか?」
「そんなことはない」
「なんか……トリックがよかったッスか?」
「なっお前馬鹿何言って、いいわけないだろ!」
「冗談ッスよぉ、そんな照れないでくださいって」
「照れてない!」
「オレには言ってくれないんスか?」
「照れてな……って何を?」
「トリックオアトリートって」
「え? 言う流れ?」
「言う流れっしょ」
「じゃあ言うけど……トリックオアトリート」
「よし! じゃあアンノウンさんにはこれをあげまーす!」
バイヤーが懐から包みを出し、渡す。
「え、あ、ありがとう……?」
「じゃあオレはこれで」
「んー?」
「何納得いかなさそうな顔してるんスか? トリックしたかったんスか?」
「いや……」
ものすごく上等そうな包みにこれめっちゃ高いんじゃないのか? と訊きたかったが訊けるはずもなく。
「時間かかる案件がね~、あるんスよね。せっかくのハロウィンなんだからもうちょっと羽伸ばしたかったッスよね~それじゃ」
ひらひらと手を振って去るバイヤー。
羽を伸ばす?
どこで?
ここで?
よくわからないまま机の上の包みを……乱暴に開けるのが怖くて事務用ハサミを使って開けた。
チョコだ。
箱を開け、一つ口に入れる。
「む、……」
何か食べたことない味がした。
つまりこれが「美味しい」なのか?
めっちゃ高そうじゃないか?
いつもの通販で買って余ったやつなのか?
こんな丁寧にラッピングがしてあるやつを?
釈然としないまま俺はチョコを咀嚼した。
ふわふわした気分になった。
今回はそんな話。