このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

JOJOってGO!‐熊みたいな高校生に絡まれる日々‐


《はいもしもし》

聞いたのは昨日のことなのに、とても懐かしく感じる母の声にほんの少しだけほっとしつつ
これから説明しなければいけない事情に胃が痛くなる

「かぁさん、昨日ぶり」

《あーら!優李?どうしたの?もう登校してる時間じゃない?》

くすくすと困ったように笑いかけてくる声に、申し訳なさを感じながら口を開く
しかし言いたい言葉が上手く出てこない

「ん…」

《…また何かあったの?
怪我でもした?》

私の反応に母の心配の色が強くなる
違う違う、私は母さんを困らせようとしてるわけじゃないんだ
ちゃんと言わないと…

「え、エジプトに行くことになったんだ」

《エジプト?急ね…とうしてそんな遠くに?》

疑問はあるのだろうが、糾弾しないあたり理由があるとわかっているのかもしれない

「空条のおじいさんからの提案
ほら、私考古学者なるのが夢だったじゃん」

《えぇ、そうね…私は元気で暮らしてくれるならどんな仕事していても気にしないけど
あ!もしかして、留学みたいなものなのかしら》

「そう!そう…あの人1度決めると行動が早い人だったみたいで…今日のうちに行かなきゃいけなくなったんだ」

《そうだったの!もう、夜のうちに言ってくれればパスポート用意したのにぃ》

「ぅっ、正直冗談半分だと思ってたから」

《ふふ、あの有名な不動産王ですもの
優秀な学者見習いをほっとくもんですか
凄いことよ!いっぱい学んできなさい》

「う…ははは…
ありがとう、生きて帰ってくるよ」

《あらあら、怖がりさんね
そういえば飛行機、1度国内線乗ったきりだったものねぇ
あの時は大変だったのよ
パパにしっかりしがみついて落ちたらどうしようーって》

「む、昔の話だろ!蒸し返すなよぉ、恥ずかしいから!」

《ふふふ、何日くらいエジプトに?》

「1ヶ月から2ヶ月くらいだってさ」

《そう、今日は1度家に戻るかしら?》

「ああ、うん…荷物取りに行かなきゃいけないし」

《じゃあ、あなたの分のパスポート、用意しておくわね》

「ありがとう」

《いいのいいの、余裕があるなら手紙出してもらいたいけどそうもいかないでしょう?向こうは言葉も違うし》

「うーん、そうだな…着いたら後で聞いてみる」

《ふふ、そうして頂戴
あ、パパには事後報告になっちゃうわね
きっとあの人拗ねちゃうわ
エジプトはあまり行けなかったから》

「そこんとこは頼むよ母さん」

《おまかせあれー》

「ふふっ」

《ふふふっ》

「それじゃ」

《えぇ、切るわね》

「いいのか?」

一通り会話が終わると後ろからのそのそと空条が来る
スタプラ使って盗み聞きしてたな今
あ、あからさまに顔逸らしやがった

「おう、ちょっと家に戻ってパスポートと服とってくるわ」

「君のご家族は旅行が趣味なのかい?」

空条の隣をついてきたのだろう花京院くんが少し食い気味に聞いてくる

「どっちかって言うと母さんが福引を引くと高確率で1等当てるからよくイタリアとかヨーロッパの国には行ってる
父さんとだけど」

「てめぇは行かねぇのか」

「2人1組なんだよ」

「あー…なるほど」

そうそう、ペア物しか当たらないからいっつも留守番
まぁ私自身そこまで外出るようなやつじゃないしそれでいいんだけど…

「そんで昔自分も行きたいってダダこねたことがあって
いつか3人で旅行に行けるようにってパスポート作って貰ってたんだ
更新もしてるからバリバリ使えるマジモンのやつ
とはいえ未だに使えたことないんだけどな」

「こちら側の問題のはずなのに、君にまで迷惑をかけて申し訳ない」

あぁ、また青い顔して
別に強制とはいえ半ば自分で決めたことだから気にしなくてもいいんだけどなぁ

「いいって、悪いのはすべからく空条承太郎だ、そういう事でいいんだ」

そう、空条は厄病神なんだからな!

「はぁ」

「てめぇ」

「厄病神は黙ってろ」

「ちっ」

(…仲がいいのか悪いのか…よく分からないふたりだな)
「それじゃ、指定の時間に空条んちに集合ってことで」





「さて、そろそろ集合時間ですが…」

「おせぇな…優李の奴」

「悪い悪い!遅くなった!上着が見つからなくってよー」

ついでに言うと靴もだいぶ奥にあって探すの大変だった
サイズあってるといいけど
靴擦れはやだからな

「!みょ、明神さん!その服装は!」

え?なんでそんな驚愕の表情を浮かべてんだ?

「ん?なんかおかしいか?」

ただの改造長ランに模したコートにボンタンズボン、靴は靴擦れと足の疲れを極力無くせるようにと調節された革靴だぜ
これでもこつこつ貯めて改造を繰り返してるんでめちゃくちゃ愛着あるんだよ
まぁ、1度背が伸びすぎて元生地は変えざるを得なくなったけど

「い、いえ…ただその随分と…JOJOにシルエットが似ていたもので…」

まぁ、空条があの時のあいつならこれに憧れるのも分からんでもない
あの時はほんとヒーロー扱いされて困った

「あー、これ?確かにシルエットは似てる
てか真似してんじゃねーよ空条」

「うるせぇ、どんなかっこしようが俺の勝手だろうが」

視線を感じて空条の方を見ながらそういえば空条の奴そっぽ向きやがった
素直じゃないやつめ

「とりあえずもひとつパーカーは持ってきたからこれ検査に引っかかったら脱いでくつもりではいる
気に入ってるしさ」

「すごく似合っているよ、そうして一緒にいると兄弟みたいだ」

「花京院くん、絶対それ男兄弟みたいなニュアンスだろ」

「ははっ、バレてしまったか」

「てめぇと兄弟なんざ死んでも嫌だね」

「奇遇だな、私もお前と同意見だ」

「……」

「……」

「ふ、二人とも…早くしないと乗り遅れるぞ?」

オロオロと困惑した声音を聞いてこれ以上の睨み合いはやめることにする
花京院くんをしょうもない睨み合いに巻き込むのは申し訳ない

「そうだ!そうだ!花京院くん、君の言う通りだ
早く行こう」

「やれやれだぜ」

「それはこっちのセリフだ馬鹿め」

そうして私を含めた5人は空港へ向かい無事飛行機に乗り込むことが出来た

でもなんでだろうか…めちゃめちゃ嫌な予感がする

落ちたりしないよね…?








あれ?
ここ何処だ?
確かさっき飛行機に乗り込んで離陸したはずなのに…
真っ暗で何も見えん
あの夢の中なのかな
寝ちまったのか!なんてこった

「また貴様か…」

おぅ、DIOか
これも夢?

「いや、夢じゃない」

うん?どういうことだ

「少なくとも私は、夢の中にいる訳では無い」

???
何言ってんだこいつ

「理解できなくとも無理はない、私も驚いたのだ
君は今、半分霊体の形でここに居るのだよ」

………はい?

「二度も言わせるな、貴様は幽体離脱をしてここに居ると言っているのだ」

幽体離脱?私が?まさか?え?嘘だろおい

「嘘ではない、事実暗闇とはいえ本棚などは薄らと目に入るだろう」

よく目を凝らさないとみえないけど
確かになんかあるな

そうか…そうかー、幽体離脱かぁ
でもなんでそんなことが出来るんだろう

「貴様がスタンド使いならば理屈は簡単だ」

スタンド使いじゃないよ、多分ね

「だとしたら別の原因があるのだろう
…スタンドが目覚めたならここに来るといい」

目覚めなくても行くぜ、お前んとこには
1発殴らんと気が済まないからな

「ふん、なら好都合
どうせだ、土産にこれでも持っていけ」

あだっ!
???
なんで幽霊なのに実物がすり抜けねーんだよ

「それはスタンドで写し出したジョセフ・ジョースターとジョウタローだ
スタンドの影響があるゆえに
おそらくお前が触れることが出来るのだろう」

なっ!空条のじーさんと空条か!
お、おーー!すごい綺麗に写ってる
へー、2人のビビり顔とかレア中のレアじゃん
え?何これどうやるの?
今の私も写せんの?

「はしゃぐな、今写してやる」

凄いなーカメラ壊さないってことはちゃんと手加減してんだ
壊れたら買い換えるの大変だしな

「…ふむ」

どうした?

「貴様殺されるかもしれんな」

!?
どういう意味だよ!

「そのままの意味だ
タワーオブグレーがお前に狙いを定めたらしい
すぐに戻った方がいいのではないかね」

こんっの!お前がよこした刺客だろうが!
何面白がってんだか…
いや私をからかってるだけか?
半分マジで半分からかってると見た

「よく理解しているじゃぁないか」

うわーなんだろうものすごく腹が立つ顔をされてる気がする

「また会える時を楽しみにしているぞ
優李…」

お?おう

DIOの意味深な笑みを見ながら、また前のように眠気に襲われ瞼が落ちてくる
完全に眠りに落ちる前に髪の毛をくしゃりと触られた
金色っぽい腕だったから多分スタンドなんだろう…不思議と嫌な感じはしなかった

―波紋にはいろんな使い方がある、性質を幾多も変えることの出来る君の波紋の特性はもしかしたら僕なんかより数段凄いかもしれないね―

完全に意識が切れる寸前そんな言葉とちょっとした戦略を思いついたような気がした


「はっ!!」

「何ぼさっと寝こけてんだてめー」

「え?えっ?どうな…ん??」

なんで承太郎に担がれてんだ??

「よかった!目を覚ましたんですね」

「すまんちょっと状況が理解できない」

「だろうな、てめーずっとグースカ寝やがって、どんな根性してんだ」

「君がいくら揺すっても起きないので仕方なく承太郎に移動させてもらったんです
このスタンドと戦うのに人質なんて取られたらたまらないからね」

ひえ、2人がいなかったら今頃舌引っこ抜かれてあの世行きかよ…こえぇぇ

「…うっわ…あいつの言ってたことホントだったのかよ…そうそうに戻ってよかったわ」

「何言ってんだてめぇ」

「ちょいと棺桶に片足突っ込んだ状態だったから、保護してもらって助かった」

花京院くんにサムズアップ
ちょっと困った顔をされてしまった

「なかなか君も大変だったようだね」

「まぁな、ところでそのスタンド、タワーオブグレーって名前じゃね?」

「知っているのか!?」

やっぱ会ったら1発殴らせろやクソDIO

「…当たりかよ
まぁいい、私だって抱えられたままじゃぁどうしようも出来ないからな
承太郎、下ろしてくれ」

下準備はもうしてるけどこれじゃ行動に移せないし

「いいのか、殺されるかもしんねぇぞ」

「大丈夫、今は思考がスッキリしてる
何をすればいいのかは決まっているし…な!!」

床に足をつけた瞬間波紋の呼吸で急ぎエネルギーを床に充填させるように張り巡らす
うむむ、やっぱブランクがありすぎて綺麗に行かないや
まあまあだな、とりあえず当たれば吉か!

「ぎゃぁぁぁぁっ!!」

「な!なんだ!?」

「あの声!もしかしてご老人!?」

「何をしとるんじゃ!?一般人を巻き込むとは!」

メンバーから色々と非難の声が上がる
一般人気どって起きてるあの爺さんをどうして誰も疑わないんだろう

そういう自分も直感だったんで殺さない程度の威力にしといたんだけど 大当たりだな

「一般人?何言ってんだよ、寝ぼけてたらあんたにも1発かまそうか?」

「…そういう事か、てめぇそんな器用な技できるんなら最初から起きてりゃよかったぜ」

「正直いきあたりばったりだしさっき目が覚めた時に思いついたやつなんだ
成功率は半分だったからあまり期待できなかったけど…
“機体が金属で出来ている”なら話は別さ
私のスタンドに触れられるっていう特異な状況だからこそできたってとこかな」

正確に言えば私が触れているものや私の波紋もスタンドに接触できるってことなんだろうけど

空条と私を視線を合わせるとお互い頷く
察しが早いととても有難い

「一体何を言っているだ?二人とも」

あ、これ説明しないといけないやつか

「機体を通していくつかの場所から弾丸状の波紋エネルギーを流したんだ
因みに使用したのは使用済みホッカイロの砂鉄だったりする
波紋エネルギーの中でもこのエネルギーは電気などの磁力に近いんで金属を銃弾みたいに発射できるんだけど
鉄系を媒介にすると当たった時高圧電流並みの威力になんのよ
軽いヤツでも火傷するぜ
もいっちょ言うと、いつばらまいたかと言うとさっき空条に担がれてる時だ
下に落としてしまえば一気に広げられるからねん
そんでもってわざと散弾にすることで間違いなく当たるようにした
私にゃスタンドが見えないんでね
でもあんたも見えなかっただろう?私の波紋がな」

なんてったって、砂を下から打ち上げてんだから、スタプラくらいじゃないと目視はできないぜ!

「説明してる暇あったらさっさと逃げとけまだ倒せてねーんだぞ」

バチン!と近場で嫌な音と微弱な風を感じて慌てて空条の後ろに隠れる
フラフラしてはいるが老人はまだ意識があるらしい

「えぇー?あれで気絶してないとかどうなってんのさ
タフだなースタンド使いってやつは」

本気で殺すんならあと3倍の電流流さないといけないしこれ以上は調節無理なんだよな
あー、もう少し頑張って練習しとくんだった
出来るなら…このまま生かしてDIOについて聞きたいとこだが…

「殺すつもりはなかったんだね」

花京院くんの怪訝そうな声にウンウンとうなづく

「あーうん、どのみちこの飛行機墜落するし…ジョセフさんって悪運強そうだからあんま心配してないけど
とりあえず救助してもらう時に乗客まで人死んでたらなんかやばいじゃん」

やば、つい言っちゃった

「なっ!」

「どういうことだ!」

あ、これ今言うべきじゃなかったわ
完全にしくった

「さっき気体に波紋走らせたとき、操縦してる場所からかなりの電力が漏れてて
もしかしたら操縦機関が壊されてるじゃねぇかと…あと、人間っぽい生体反応がなかったっす
人間って生きてりゃ微弱な電気を帯びるんで波紋流すと感知できるんだけどさ
それがなかったもんで、多分こっちに攻撃しかける前に殺されたんじゃないかと…」

というかあれ完全殺されてる、ろくな殺され方してないぞー絶対

そう思うと少し気持ち悪くなってくる
うぇー
死体は見たくねぇなぁー

「そ、そんなことまで…」

「私の波紋は特性がコロコロ変わるもんだから扱いにちょっとした注意が必要なんだけど
それを除けばめちゃめちゃ有能」

ウンウン、思い出してき多分懐かしくなるなぁ
不意に間違えて使っちゃって友人気絶させたことがあったんだよ懐かしー
その友達から絶交宣言されたけど
はは……はぁ

「明神さん!危ない!」

「え?うわぁ!」

「ったく、詰めがあめぇんだよてめぇは」

あ、やばい体が勝手に攻撃態勢に入っちまった!
くっそ外れろせめて殺すなら即死させてやってください!
あ、ダメだなめっちゃ嫌な音が聞こえたバキって…ばきって…わ、私は何も悪くないし、悪いのは攻撃してきた方だし…

「………」

「おい、ぼさっとしてないで早くた…!?」

「ぐげぁぁぁぁ!!めが!目がぁあがががが」

あー、なんかすんません…申し訳ない片目潰しちゃった
ひぃー痛そー、直視したくないんだけどえぐいわ、単純に

「脳天狙ったつもりが外したか…見えないとなかなか当たんないもんだな」

そ、それっぽく言えば何とかなるか
…なるよね?過失でぶっ殺しちゃっても大丈夫?いや大丈夫じゃないけど
ええいくっそ!それもこれもDIOと空条のせいだー!もうどうにでもなれ!!!

「ぎざまーーー!」

「私があんたを殺さなかったのは、私がお前にDIOについて調べるための猶予だったんだけな
これ以上仲間に負担もかけたくないし
墜落する前になんとか不時着だけでもさせたいし
悪いんだけども、さっさと死んでくれや」

「やれるものならやってみろ!平和ボケした国の糞ガキがっっっ……ぁ……」

ほんとこれ以上苦しませたくないんでさっさとお休みさせてもらいますねー
…こっちの心臓が破裂しそうだぜ全く…
なんで私が殺人なんかせにゃならんのだ…

「言っただろ、高圧電流並みだって
最高出力でぶっぱなすことなんてなかなかないんだ、いい経験にさせてもらう
あと言っとくけど私は人を殺すことに対してそこまで抵抗は持ってないから
法律で決められてるからやらないってだけでね
そこんとこ理解しとけよ、って言っても…もう死んでるか」

はい完璧、これでよし、かっこはついたぞ
仲間内からひかれるかもしんないけど我慢しよう、縁切られるよりマシだ
たぶん……

「…優李」

「なんだよシケたつらしてんな!
わざわざ大火傷じゃなくて心臓麻痺に誤魔化してやったんだから有難く思えよ、あとコックピットに行くぞ!ほらほら!」

もうこれ以上何も聞かんでくれ私も何も考えたくない

「し、しかし」

「アブドゥルさんもモタモタしない!
このままじゃ私の頑張りも無駄になる
落っこちたら全部おしゃか!海の藻屑!OK?」

「あ、あぁ」

「明神さん…あの」

「今度は花京院くんか…」

「うそ、つかない方がいいですよ」

うぐ…しっかりとした目だ
うぅ、こういう人の目はちょっと苦手なんだよな
こういう人に限ってちゃんと本質見抜いてるから…

「……どっちに対して?」

我ながら随分曖昧な問いかけだなぁとは思うがしゃーない、こっちも正直発狂寸前なんだよとりあえずやらかしたことは全部忘れたい

「ぅ…貴女はその…優しいですから、無理して悪役気取らなくてもいいんです
辛かったら言ってください」

うぅ、花京院くんの善意が心臓に突き刺さる…
精神的にエメスプくらった気分だ…
それでもこうして引かれないだけ安心するんだよなぁ

「ありがとう」

「え?」

「なんでもない、さぁ行こう」

やば、なんか恥ずかしくて顔から火が出そうだよ





「なんてことだ…ユーリの言った通り…死んでいる」

うわぁ、猫の轢かれた死体よりえぐい

胃からせり上がってくるものをなんとか飲み下そうとするが吐き気はどんどん強くなっていく

「っ…うぇ」

「明神さん?」

「ごめんパス、気持ち悪い、無理だわこれは
もっと綺麗に殺せよな…ったく」

見てる方の精神状態がやばいわ
私だったら心臓麻痺が妥当だろうなぁ
なんでこんな気持ち悪い殺し方するんだか…
この手の奴らは理解出来ん

とりあえず仏さんに冥福を祈りつつここから出よう

「すみません私は明神さんを出させますね」

「ありがとう、花京院くん…」

「いいんだ、君はさっきのことといい
無理をしなくていいのに無理をして責任を背負い込もうとしてしまう
もう少し我々を信じて欲しい」

うんなんか豪快に勘違いされてる

「おい優李」

「なんだよ…うっ、お前もうちょい前来いよもう、お前の方に顔合わせると必然的に死体が視界に入るんだから」

やめてくれほんと吐くマジで吐く

「そんなことはどうでもいい」

「どうでもよかねぇよこっちは死活問題なんだよ…うっ…吐きそう」

「ちっ、さっさとここから出てこの機体の保護をしとけ」

何言ってんのこいつ

「何言ってんのこいつ」

あ、心の声が思わず出てしまった

「あぁ、それならわしが説明する―」

それから吐き気をなんとか堪えながら機体にくっつく波紋を流して機体が損壊しないようにと必死でした
普通ブランクあるやつにこんな責任重大なこと頼まんよな!
あいつら私をなんだと思ってんだよ!

もう嫌だ飛行機なんぞ二度と乗らん
帰りだって陸路で帰るもんねー!


「しんどい…落差酷くて気持ち悪い」

ほんと心臓に悪いわ、おかげで酔いそうだし…
思ってた以上にコントロールに集中しなきゃいけなかったから胃が痛くて痛くて

胃に穴空いてないといいけど

「大丈夫じゃなさそうだな…」

相変わらずにこりと笑顔を向けてくれるとこは素直に安心できるのでよく分かってんなこいつーって思ってしまう

正直大丈夫じゃないしそもそも大丈夫ってなんだ?元気なら大丈夫かっていうとやらかしてしまったことに精神的にもやられてるから大丈夫ではねぇよな
うん大丈夫じゃない…いや、でも大丈夫なのか…??

「大丈夫…か、なぁ花京院…」

「うん?」

「大丈夫…て、どこから大丈夫なんだろうな…」

思わず口走った言葉に花京院くんはちょっとこっちを見て首をかしげた

「哲学かな?」

「哲学だね」

とりあえず考えるのをやめた

「何やってんだ、さっさと行くぞ」

「うーす」

「今行く」

呆れた空条の声とだらけきった私の声につられるように花京院くんも凛とした声を出す

これからろくでもない旅になりそうなのは多分気の所為ではないだろう

どうかみんな無事に帰れますように!


……To be continued
5/5ページ
スキ