Chapter.3
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2日ぶりにあのガラクタだらけの部屋に入ると、ハウルから上着を預かりハンガーにかける。
「手、見せて」
「…大したことないさ」
「冷や汗かいてる。いいから見せて。」
彼の右手をグイッと引っ張ると、やはり禍々しい焼印がそこに掘られていた。
「…時間かかりそうだね」
「治らないわけではないから」
「でも早く治したいでしょ」
おなまーえは細くて骨ばった手のひらを口元に寄せた。
焼印の後を上書きするかのように繊細に舐めていく。
「んっ…っ…」
呪いのせいで舌先がピリピリする。
一生懸命に舐めるおなまーえをハウルは何の感情も持たない目で見つめていた。
二人きりの寝室にぴちゃぴちゃと水音だけが響く。
「……はい。これで少しはマシになると思う。」
結局のところこういったものは自分で治さなければならない。
おなまーえが今行った行為はその自然治癒を促進させるための魔力注入だ。
いつもの方法より患部に直接送り込んだ方が効率は良いのだ。
「で、いつもの供給も?」
「うん。さっきソフィーの解呪に結構使っちゃったからね。」
「あの短時間でやったの?天才は違うねぇ」
おなまーえは落ち着いた表情でスカートを脱いだ。
ワイシャツのボタンを外そうとすると彼の手で止められる。
「そのままでいい」
「そ?」
第4ボタンまで開いただらしのない格好だが、彼が急ぐよう要求してきたので、そのまま下着を脱いでベットに四つん這いになった。
「んっ、もういいよ。多分今日は慣らさなくても入る。」
ハウルは瑞々しい尻をひと撫ですると、自身も下半身だけ脱いで一気に突き刺した。
「んんんっ」
まだ中途半端にしか濡れていなかったため若干の痛みが伴う。
それを察してハウルも動かずに、そのまま後ろから覆い被さるようにおなまーえの体を抱きしめた。
「はっ…っ…」
おなまーえの体はすっぽりとハウルに覆われてしまった。
「あったかい…」
「…それはよかった」
「動かしてもいい?」
「んっ?いいよ」
ぐちゅぐちゅと小さな水音が鳴る。
ハウルはおなまーえの細い腰を掴んで小刻みに動いた。
「っ、ハウル…」
「どうしたの?」
「なんっ、で……ソフィーさん、うちにっ、入れたの?」
カルシファーもマルクルも彼女を引き入れてはいないと言っていた。
おなまーえももちろんそんなことはしていない。
とするならば、引き入れたのは紛れもなくハウル自身だ。
それに彼女の名前は『ソフィー』。
ハウルがよく寝言で呼んでいた名前だった。
「……何でだろうね」
「はっ…あんっ…」
ハウルは質問には答えず、おなまーえの首に甘噛みをした。
****
――ゴトン
――ドタドタドタ
――パシャ
――ドン……ドンッ
(………なに?)
何かが暴れる音でおなまーえは起きた。
下着は直され、スカートまでキッチリと履かせられている。
ハウルがやってくれたようだ。
キィと寝室の扉が開いた。
ハウルだ。
「起きた?」
「うん………この音、なに?」
「ソフィーが掃除してるんだ。女性って綺麗好きなんだね。」
「私が女じゃないみたいな言い方しないでよ」
「おなまーえの工房だって綺麗じゃないか」
湯上りのハウルは髪型が変わっていた。
パッツリとした前髪は出会った頃の幼い姿を彷彿させる。
「…仕事?」
「偵察。おなまーえも行く?」
「んー…そうだね…。今回の戦争は酷いみたいだし、様子くらいは見に行こっかな。」
「じゃ支度して」
「はいはい」
支度と言っても、服は着させてくれたので乱れた髪を直す程度だ。
念のため靴紐を固く結び直し、おなまーえはハウルとともに寝室を出た。
****
リビングは見違えるほど綺麗になっていた。
虫の気配すらせず、床もピカピカに磨き上げられていた。
暖炉の灰も無くなっていて――あれ、カルシファーは?
そこに居るはずの、そこから動けないはずのカルシファーの姿が見えなかった。
「あれ?ハウル…」
「ちょっと待ってて」
彼は薪を数本置くと、端に置いてある鍋の中から青い炎を取り出した。
ふぅと優しく息を吹きかけると、徐々に元の赤い色に戻って行く。
外にゴミを捨てに行ったソフィーが戻ってきた。
彼女は姿の変わったハウルに目を剥いている。
「友人をあまり苛めないでくれないか」
「薪はなるべく定期的にあげてね」
キョトンとしているソフィーとマルクルの横を通り過ぎ、ハウルは玄関の階段を降りた。
「ハウルさんもおなまーえさんも、お出掛けですか?」
「ちょっとね」
彼は扉を一度閉めて黒のドアノブに変える。
おなまーえは彼の腰に掴まった。
「マルクル、掃除も大概にするように掃除婦さんに言っといて」
「行ってきますね」
そして2人は燃え盛る闇の中に消えて行った。