Chapter.5
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Chapter.5
賑やかな街。
カラカラとクルマが通った。
どの通りも人で溢れ、栄えている。
この街の人々は空爆の危険なんてこれっぽっちも感じていないのだろう。
王室付き魔法使い様のご加護にによって、ここには落ちないよう結界が張られているから。
でもその代わりに、爆弾はここではなく別の街に転送される。
魔法とはそういうものだ。
以前来た時となんら変わらない、王宮へと続く階段をおなまーえは見つめていた。
「やっぱりまた歩かせるのね」
「規則ですので」
横に控えている兵隊は淡々と答えた。
魔力を半分失ったことで少しくらくらする。
おなまーえは溜息を一つついて階段に足をかけた。
登った先には小姓がいた。
おかっぱ金髪の、サリマンに付いている少年達だ。
「お待ちしておりました。どうぞ中へ。」
相変わらず優雅な暮らしだ。
植物園のようになっている一画がサリマンの仕事場であり、自室であった。
「おなまーえ様をお連れいたしました」
どうやらサリマンは誰かと話をしているらしい。
木の陰に隠れてその相手は見えなかった。
「出直しましょうか?」
「そのままで結構。あなたには話があります。」
「ちょっと待って!なんでおなまーえがここにいるの!?」
「ん?」
聞いたことのある声。
ひょこっと顔をのぞかせれば驚いた顔のソフィーが奥に立っていた。
「あら、ソフィーさんじゃない。あなたこそなんでここにいるの?」
「ソフィー?この方は魔法使いハウルの母君のペンドラゴン夫人ですよ。」
「…あー、そゆことね」
ハウルの代わりにここに来たとすぐに悟った。
「ハウルが誓いの破棄を求めて来ました」
「魔法は国に搾取されるってやつですか?」
「言葉を慎みなさい、おなまーえ」
「あはは、すみません」
床に仕掛けてある地雷式の魔法(おそらく自分らを捉えるためのものだろう)を避けて、おなまーえはサリマンの車椅子の前に立った。
「で、話って?ハウル関連ですか?」
「えぇ。間接的にはそうなるでしょう。入学時の契約が破棄される以上、あなたとのツーマンセルも解除されます。」
「あぁ、まぁそうですね」
「おなまーえ、あなたには魔力こそあれどそれを行使できるほどの実力はありません」
「…おっしゃる通りで」
「ですので、あなたはこの国にその魔力を献上することでその魔力を生かすすべきです」
「うーん、そう来ましたか」
つまり端的に言えば、王室に仕えている魔法使いに魔力を補給せよということだ。
もっとあからさまな言い方にすれば、体を重ねろと。
ストレートな物言いに苦笑してしまった。
「流石にそんな露骨な言い方されるとは思ってなくて、今すぐにはお返事できませんよ。」
「何を言っているんです。最初からあなたに拒否する権利は作っていませんよ。」
「どういうこと?」
「…あなたは床のトラップには気づいたようだけど、天井までは気が回らなかったみたいね。」
「っ!?しまっ…!!」
天井から黒い雷のようなものが落ちて来た。
それはおなまーえの頭に直撃し、彼女は力なく倒れる。
結界を張る間もなかった。
「ぐっ…あぁっ!!」
「っ!何を!?」
ソフィーがおなまーえに駆け寄った。
額からは汗が吹き出て、酷く唸っている。
しかし彼女の目はぴっちりと閉じられていた。
「その夢は三度心が折れるまで覚めることはありません。一つは抵抗する心。一つは助けを乞う心。そしてもう一つは生に対する執着。」
「そうまでしてハウルとおなまーえを引き剥がしたいわけ!?」
「あの子はとても危険です。心を無くしたのに力がありすぎるのです。このままでは、ハウルは荒地の魔女のようにこの子の心臓まで欲しがるでしょう。」