Chapter.5
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(……あれ……私、確か王宮に向かって…サリマンと会って……それから……)
ぼんやりとする意識の中、誰かに呼ばれた気がした。
「おなまーえ!」
「ハッ」
ハウルの声で目を覚ました。
どうやら夢を見ていたようだ。
辺りを見渡せば、いつものベットといつもの彼。
うなされていたおなまーえを気遣って、ハウルは起こしてくれたようだ。
「大丈夫?」
「うん……ちょっと嫌な夢みてたみたい」
もぞもぞとハウルに擦り寄れば、彼は抵抗せずおなまーえの背中をポンポンと叩いてくれた。
それに酷く安心する。
「…ねぇおなまーえ、話があるんだ」
「なに、ハウル」
「もう、僕と君のこの関係は終わりにしないか?」
「…えっ」
いきなり何を言いだすんだろうとおなまーえは彼を見上げた。
ハウルは穏やかに笑っていて、本当になんてことのない世間話をするかのような口調で話す。
「そろそろおなまーえの体にも飽きてきたかなーって」
「えっ…、待って…」
縋るように彼のシャツを握る。
「飽きたって……ま、魔力供給!魔力供給のためなら飽きても別に問題ないんじゃ…」
「うーん…それもできないかな。あのね、僕にも大切な人ができたんだ。ソフィーだよ。」
「っ…!」
心臓の血流が逆回りしだしたかのように痛かった。
そんな気はしていた。
彼がソフィーを見守る目はいつだって慈愛に満ちていた。
心のない彼が唯一心を許せる相手であった。
「……じゃあ…私は、もう用済みなの…?もうここにはいられない…?」
生きているうちの半分近くを彼とともに過ごしてきた。
ハウルの元を離れて、私はどう生きていけばいいのだろうか。
ただただ彼のそばに居たくて、おなまーえは震える声で強請った。
「ああ、ここから追い出すとかはしないから安心して」
よかった。
履き違えた安堵をして、おなまーえは彼のシャツを握る手を緩めた。
「だから、おなまーえの魔力、全部ちょうだい?」
「ぇっ…」
次の瞬間首から血が勢いよく溢れ出た。
頚動脈を切られたのだ。
あまりに突然のことで、痛みを認識するのが遅れた。
「ぁ…あぁ…ゔああぁぁああ!!」
「静かに。ソフィーが起きちゃう。」
ハウルは血の吹き出ているところに舌を這わせ美味しそうに飲みだした。
「うん……やっぱり、おなまーえの魔力は美味しいね」
いやだいやだいやだいやだ!
こんなの嫌だ!
私はまだ、死にたくない!!
ハウルに嫌われたくない!
ハウルの側にいたくない!
ハウルにどこにも行ってほしくない!
恐怖。
ただそれだけがおなまーえの体を支配していた。
意識が遠のく。
死期が近いのだろう。
(…あれ…私確か王宮に向かって、サリマンと会って……それから……)
おぼろげな意識の中でおなまーえはサリマンの顔を思い出した。
「おなまーえ!」
「ハッ」
ハウルの声で目を覚ます。
どうやら夢を見ていたようだ。
辺りを見渡せば、いつものベットといつもの彼。
うなされていたおなまーえを気遣って、ハウルは起こしてくれたようだ。
「大丈夫?」
「うん……ちょっと嫌な夢みてたみたい」
ハウルに要らないと言われ、殺される夢。
もぞもぞとハウルに擦り寄れば、彼は抵抗せずおなまーえの背中をポンポンと叩いてくれた。
それに酷く安心する。
そうして夢は何度でも続く。
彼女の心が三度折れるまで。
****
ソフィーの前には悶えながら床に転がるおなまーえと、魔力を完全に搾取された荒地の魔女と、この国の王様の姿をした誰かが目の前に立っていた。
「…ハウル、久しぶりね」
「先生もお元気で何よりです」
その誰かとは、ハウルのことである。
あろうことか、彼はこの国の国王に変装してここまで来たのだ。
「初めから分かっていましたよ?」
「誓いは守りました。先生と戦いたくはありません。母とおなまーえを連れて行きます。」
ハウルはおなまーえを姫抱きにし、ソフィーに自身の腕を掴むようにさせた。
「逃がしませんよ」
サリマンは持っていた杖で床を叩いた。
そこから広がる彼女の固有結界。
幻覚とはいえ視界も音も、肌に伝わる冷たい水でさえもとてもリアルだった。
あたりは瞬く間に上空に変わる。
気を抜けば下に落ちてしまいそうになる恐怖。
「下を見ないで。すごい力だ。」
ハウルは胸で荒い呼吸をしているおなまーえをぎゅっと抱きしめ、魔法をかけた。