25. 夏の憂鬱の中で私にキスをして
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Kiss me in the summer day gloom, my love.
夏の憂鬱の中で私にキスをして
何時間休んだだろうか。
ロッティが呼びに来る時まで、おなまーえは呆然と窓の外を見ていた。
時間だから広間に来るように言われ、エミリーを連れて急いで向かう。
彼女が到着したのと同時にダグがブレイクを広間に運び込んで来た。
彼はどさっとブレイクを地面に投げ捨てる。
「……何が始まるのですか?」
「あら、聞いてないの?」
隣にいたロッティがこちらをチラリと見て教えてくれた。
彼女は眉間にしわを寄せて何か思い悩んでいる様子だった。
「処刑よ」
「…そう」
勤めて冷静に答えたつもりだが、顔から血の気が失せるのを感じた。
まさか処刑の日取りがこんなに早かったなんて。
オズが逃げ出したからだろうか。
いずれにせよ、どうにかして彼を助けなければ。
たとえ構うなと言われたとしても、みすみす彼を見殺すことはできない。
おなまーえは冷や汗をかいた。
「ブレイク!」
ピンクの髪の少女がブレイクに駆け寄った。
おなまーえも今すぐ駆け寄りたい気持ちを抑える。
「これで全員か?」
「ああ」
ブレイクの他にシャロンとレインズワース女公爵の姿が見えた。
流石に2人は手荒な拘束はされていなかったが、それ故にブレイクの扱いが一層ひどく見えた。
「イカレ帽子屋に一角獣、梟それから我々に従うことを拒んだ者達だ」
「…処刑方法は決まっているのですか?」
おなまーえの発言で全員がこちらを見た。
一か八かの勝負。
なんとか3人を守らなければ。
きっとルーファスはそのために自分をここに置いていったのだろう。
「赤の騎士か」
「はい」
「……処刑方法は我々に一任されている」
「なら是非、彼の処刑は私にやらせてください。借りを返したいから。」
「……信用しろと?」
大男のダグがずいっとおなまーえに詰め寄った。
彼の影が覆いかぶさってきてたじろいだが、すぐに口を開いた。
「好きなように見張っててくれて結構です」
「どうする、ロッティ?」
ダグは視線をおなまーえの隣に動かす。
「……構わないわ。ただし少しでも変な素振りをしたらバルマ共々裏切りと判断するわよ。」
「ありがとう」
ロッティにはもしかしたら心の内が見透かされているかもしれない。
だが彼女は渋い顔のまま、処刑人の立候補を許可してくれた。
「おなまーえさん…」
「……」
シャロンが縋るようにこちらを見上げた。
ここで彼女に優しい言葉も視線も送ってはいけない。
務めて冷徹におなまーえはシャロンとブレイクを見下ろした。
赤いフードを深くかぶった男がブレイクを壁際に蹴飛ばした。
彼は大きく頭を打ち付けた。
シャロンの悲鳴とおなまーえの心の叫びが重なる。
「おい…」
「指定の時間まで待つ必要はないだろう。この男は今すぐ殺しておかなければ危険だ。」
「ま、まだ指定の時間でないのであれば猶予を与えても良いのではないですか?」
「お前に口を出す権利はない」
「そうだな…何人もの仲間が帽子屋にやられている」
「っ!ファングを!ファングを殺したのもそいつだよ!!」
ダグは辛うじて仲間を止めようとしてくれてはいるが、周りの人やリリィはもう今すぐにでもブレイクを排除したいと望んでいる。
「っ、わかりました…。今すぐにやればいいんですね。」
蹴られるブレイクを見ていたくなくて、おなまーえは処刑を宣言した。