20. 貴方が私にキスをするたび私の心は苦痛に喘ぎました
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Everytime you kissed me, my heart was in such pain.
貴方が私にキスをするたび私の心は苦痛に喘ぎました
ナイトレイ邸は鬱蒼としていた。
おなまーえはそっと気配を消して忍び込む。
屋敷の中に入るとパンドラの構成員がふらふらと廊下を歩いていた。
(この人たちはどうしたんだ…?操られている…?)
その時、背後で気配がした。
「……誰ですか」
「あれ?なんで糸絡まないの?」
振り向いた先にいたのは――
「……エコー?」
「いいや、違う。私はノイズ。エコーみたいな愚図と一緒にしないでほしいね。」
エコーのような外見をした少女がこちらを見て首を傾げていた。
彼女は赤いマントを纏っている。
彼女がこの人たちを操っているのは明白だ。
「不思議なやつ。ヴィンスからは侵入者は殺すなって言われてるけど、操れないんじゃ仕方ないよね!!」
「ちょっ…!」
おそらく操れない理由は赤の騎士の無効化能力が働いているからなのだが、こちらに飛びかかってきたノイズは聞く耳を持たない。
「待ってって!」
自身の腰に下がっている刀に手をかけ、すんでのとこで避けた。
立っていた場所に小さなクレーターができている。
「私は、バスカヴィルの民に会いにきたんです!シャルロットって人を訪ねろって!」
シャルロットと言う名の貴族は聞いたことがないが、ルーファスがそう言ったのだ。
間違いない。
「あ…?なんだ、ロッティの客か」
効果は存分に発揮したようで、ノイズは攻撃の手をやめた。
「ロッティなら門のところにいる。ほらさっさと行け。」
興醒めと言わんばかりの表情で彼女は下を指差す。
四大公爵家の地下にはそれぞれアヴィスへとつながる門がある。
そこにいるということだろう。
「……さっさと行けよ愚図!殺してやろうか?」
「ヒッ!行きます行きます!ありがとうございます!!」
おなまーえは脱兎のごとく地下を目指した。
……こんな調子でバスカヴィルの人たちとやっていけるのだろうか。
一抹の不安を抱えながらおなまーえはシャルロット、もといロッティと対面した。
****
結論から言うと、一応おなまーえは無事バスカヴィルの民と行動を共にすることができた。
どうやらおなまーえはお近づきの印にということで差し出された、いわば手付金のようなものらしい。
今回ばかりはルーファスに物申す権利があると彼女は憤慨した。
合流してロッティとダグ、そしてリリィに自己紹介をした。
ファングの名を出せば彼らは一様に顔をうつむかせた。
リリィに至っては帽子屋に復讐すると息巻いている。
「でも良いわけ?」
「何が?ロッティ」
魅惑的な女性のロッティがこちらに訪ねてきた。
「私の見立てだと貴女、帽子屋さんのこと好きでしょう。このままだと彼と敵対することになるわよ。」
なるほど、このセクシーな女性は人の恋心にも敏感なようで、おなまーえの心をピタリと当てた。
(いや、私がわかりやすいからかな)
おなまーえは苦笑すると首を縦に振った。
「好きだよ。ブレイク様…ブレイクのこと。でも、私には私の願いがあるから。」
「へぇ?一応聞くけど、それは私たちを裏切る結果にはならないわよね?」
「安心して、私そこまで尻軽じゃないから…貴女と一緒でね」
「……」
ロッティは少しムッとした表情をした。
おなまーえからしてみればロッティこそグレンのことが好きなように見えた。
「まぁいいわ。グレン様の指示の通り動くわよ………封印の石を解きに。」
彼女の言うグレンはサブリエの悲劇の当事者のことではない。
その魂は百の巡りをしたのち、とある少年の魂となった。
その少年とは友を喪い、半ば自暴自棄になっているリーオ。
「行きましょう、パンドラへ」
ロッティの掛け声とともに一行はパンドラへと歩みを進めた。