純黒の悪夢
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純黒の悪夢
『昨夜、首都高速湾岸線で大規模な停電がありました。しかし、警察も現在調査中とのことで詳しい情報は入っておりません。』
近所の喫茶店で朝食を食べながら、おなまーえは店内に設置されていたテレビを見ていた。上司である安室に休養を言い渡されてから早一週間。おなまーえには公安の仕事はもちろん、組織の仕事も回ってきていなかった。こうやって外食をして散歩をして1日が終わる。そんな日々を過ごしていた。
(湾岸線で事故………。情報が出てないところを見ると、公安関係な気がする………。)
それでも出来る限り世間のことは把握していた。おなまーえはモーニングセットのスープを飲み干す。
『続きましてはテンタメニュースです。』
立ち上がり、カバンから財布を取り出す。
「お会計お願いしまーす」
「はーい」
ゾクッ
一瞬背筋が凍りついた。おなまーえは強張った顔で振り返る。誰かに見られた気がしたが、店内に疎らに座った客は誰一人としてこちらを見てはいなかった。
(………気のせいか)
『東都水族館はリニューアルオープンのため昨年度から……』
****
今日も今日とて当て所なく歩いていた時、おなまーえの組織用の携帯が鳴った。画面にはジンの二文字が表示されている。ハッと息を飲んですぐに道路脇の細い道に入った。
「ウィ、カルーア」
『よぉカルーア。休暇は満喫してるか?』
やはりバーボン(安室)がおなまーえに休暇を言い渡したことは周知の事実となっているようだ。
「おかげさまで。少し暇なくらいだよー」
『じゃあそんなお前に朗報だ。東都水族館に来い。』
「水族館?デートでもするの?」
『あぁ。誰にも尾行されんじゃねぇぞ。』
「大丈夫よー」
プツンと通話の途切れたスマホを耳から外す。ジンが遊びで水族館に行くだなんて言うわけがない。何かしら裏があることは明白だった。おなまーえは上司に報告するべきか少し迷う。
「ん?メール?」
公安用のスマホの通知にメールが入っていることに気がついた。差出人はコナン。『情報通のおなまーえさんならこの人について何かしらない?』という文字と添付画像が送信されていた。画像を開き、おなまーえは目を見開いた。
「キュラソー!なんで……!?とにかく急いで返事しなくちゃ。」
キュラソーはおなまーえの友人だった。数少ない記憶能力仲間として親しくしていた。彼女がラムに付く前まではよく2人でランチなどもしたものだ。
メールが送られてきたのは1時間前。早急に返信を書いた。『キュラソー、ラム』まで打ったときに、突然画面が暗転した。
「え!?うそ、バッテリー切れ……!?」
カチカチとサイドのボタンを何度も押すが反応は得られなかった。いかに重要な情報であっても、組織の携帯からコナンに連絡するわけにはいかない。おなまーえはコンビニに入りモバイルバッテリーを買った。
「あぁ、もう!遅い!」
初期起動のためのエネルギーを蓄える、僅か3.4分の間がとても長く感じた。
「やっとついた!」
おなまーえは電話をかけたが、通話中のため連絡がつかない。舌打ちをし、再度メールを開きコナンに返信を送った。結局安室には連絡しなかった。