ピアスの行方
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ピアスの行方
「まずい………どこだ……!?」
米花町を殺気立った女性が歩いていく。地面を満面なく睨みつける彼女は明らかに注目の的になっていた。
「あれ?おなまーえさん何してるんですか?」
「!」
周りが見えていなかったおなまーえは驚いて顔を上げる。小学生の集団5人が目の前に立っていた。
「少年探偵団のみんな……」
「何か探してるの?さっきからずっと地面見てたみたいだけど」
「………実は………」
遡ること3時間前。
ぱちっと目が覚める。デジタル時計は8:32を示していた。むくっと布団から起き上がり………また横になる。
(昨日は……波土さんが自殺して、帰りにナンパされて助けられて、それから………)
ボッと顔が熱くなった。
(そ、そうだ。キス、されたんだ……)
あくまで消毒。彼にとっては恋人にするような意味は持ち合わせていないはず。でもおなまーえはどうしても意識せずにはいられなかった。
何か考え事があるときや意識を逸らしたいとき、彼女は無意識に耳のピアスを触る癖があった。今も手を右耳に沿わせそっと触れる仕草をする。
「あ、あれ?」
あるはずのピアスが付いていなかった。昨日は帰宅してすぐ寝てしまったため、まだシャワーを浴びていない。いつ外したかと記憶を探り、ポケットに入れたことを思い出した。両手をポケットに入れる。
「………………ないっ………!!」
しかしポケットに入れたはずなのにピアスは見つからない。
「えぇ!?どこ!?」
家中をひっくり返す勢いで探した。けれど簡素な部屋はすぐに探し尽くしてしまい、彼女は途方にくれる。
(落ち着くんだ私……まずはタクシー会社に連絡……)
〜♩
軽快な着信音が部屋に響いた。おなまーえはビクッと肩を揺らしてスマホを確認した。『降谷さん』の文字を見て少し震える指で通話ボタンを押す。
『おはようございます、おなまーえさん』
「……おはようございます」
『もしかして起こしちゃいましたか?』
「いえ、さっき起きたので大丈夫です」
わざわざこんな朝に電話がかかってくると言うことは緊急の出動があるということ。おなまーえはスマホを肩に挟みながら慌てて荷物の支度をした。それを察知し彼は穏やかな声で話す。
『大した用事じゃないので慌てなくていいですよ。実はさっきお店でホテルの夕食券を頂いたのですが、僕一人ではいかないので今晩よろしければと……』
「はい、あ……いや、大丈夫です」
『何か不都合でもありましたか?』
「いや、そういうのじゃないので、大丈夫です」
『では17:30頃お迎えにあがります』
「はい、お待ちしております」
電話を切った彼女は暫く硬直する。
「………まずいよね!?これ!!」