2月6日
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早朝。
朝日が昇り、街かかった白い靄に反射して幻想的な景色を映し出している。
「……」
まだ誰もいない学校に、影が一つ。
コソコソとあたりを見回すのは、この学校の生徒、間桐慎二である。
彼はまだ閉まっている門を乗り越えようと柵に足をかけた。
「こんな朝早くから登校なんて、随分勉強熱心なんだね」
「っ!?誰だ!」
間桐慎二は振り返る。
光に反射し、青く光っているように見える髪。
色白を通り越して、病的なまでに白い肌。
スカートの裾から覗く、細過ぎる足首。
自分と年の変わらないほどの女が、そこに立っていた。
「で…」
「で?」
「ででででたーー!?!」
「…先に言っておくと幽霊じゃないよ?」
2月6日
慎二の言葉に反応して、ライダーが姿を現わす。
桃色の長い髪。
グラマラスなボディ。
昨日聞いた声の通り、とても魅惑的な女性だった。
「おいライダー!なんで勝手に実体化してんだよ!」
「…………」
「聞いてんのか!このグズ!」
この場において間桐慎二だけが、状況を理解していなかった。
ライダーはおなまーえが魔術師であることを見抜いていた。
「初対面の女性に対していささか失礼なんじゃない?ライダーさん、あなたからも何か言ってあげて」
「…………」
「あれ。昨日と違って饒舌じゃないんだね。」
ライダーは何も言わずに慎二とおなまーえの間に立った。
「ってかお前!昨日衛宮と一緒にいた奴だよな!?お前も聖杯戦争の参加者なのか!?」
「そうだよ。間桐慎二くん。」
「っ、名前まで調べ済みってことか」
「いや、カバンに名前書いてあるじゃん」
「あ」
正直なところ、ライダーのマスターが今日来るかどうかは賭けだった。
昨日、衛宮士郎は「腹いせ」で攻撃されたと言っていた。
この学校に設置された陣はライダーのもの。
協力関係を断られた程度で八つ当たりするような性格であれば、今日にでも結界を起動させようと下見に来ると張っていたのだが、予想は見事的中したようだ。
『――まぁ、マスターはともかく、この女も白兵戦は得意じゃあなさそうだ』
『昨日セイバーが出てきてすぐに撤退していったから、闇討ちとか障害物のあるエリアが得意なんだと思う。』
『にしてもあの目隠しはあいつ自身の趣味か?それともマスターの趣味か?』
『…ランサー、あーゆーの好き?』
『いや?俺はありのままが一番だな』
間桐慎二は魔道書を持ち出した。
「チクショウ、こんなところで邪魔されてたまるか!!一応聞いてやるぜ。お前、どこの家系のもんだ。」
「苗字はないよ。私、魔術師の家系じゃないもの。」
「は!なんだよ、無銘の魔術師かよ。そんなんでこの僕に喧嘩売りにきたわけぇ?」
とは言うものの、間桐の血筋が既に途絶えている話はおなまーえも知っている。
間桐慎二自身に魔術の才はないし、教わってもいないだろう。
それでも魔道書を握り締めながら、震える体を押さえつけておなまーえを睨む彼が哀れに見えた。
「……慎二くん」
「気安く呼ぶなよな!」
「…慎二くんは、なんで聖杯戦争に参加したの?私利私欲のため?それとも間桐代表として参加しただけで、何も望んでない?」
おなまーえは彼の返事を待った。
間桐慎二は一歩後ずさりする。
「……どうしてお前にそんなこと言わなくちゃならないんだよ」
「ちょっとくらい付き合ってよ。ただの聖杯問答なんだからさ。それとも人に言えないような望みなのかな。」
喧嘩を売られた自覚はちゃんとあるのだろう。
彼はわなわなと震えた。