2月6日
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間桐の血統の始まりは間桐臓硯という男で、彼は今もなお存命している。
魔力をほとんど持たない間桐慎二が、家でどのような扱いをされているかなんて想像に難くなかった。
「そういうお前はどうなんだよ。聖杯に叶えて欲しい願いがあるから参加してるんだろ。」
「…大した望みは持ち合わせてないよ。慎二くんと一緒でね。」
「っ!じゃあ僕の邪魔なんてしてないで、さっさとくたばれよな!」
見透かしたような彼女の目が気に入らなかった。
「行け!ライダー!」
慎二は乱暴に命令を下した。
「…承知」
ライダーは真っ直ぐにおなまーえに武器を投げた。
鎖のついた短剣は昨日と全く同じものだった。
迫る短剣に対し、おなまーえは避けない。
――ジャラッ
あと少しでおなまーえに剣先が届くというところで、その短剣はぽとりと地面に落ちた。
「…………」
「は?え?」
間桐慎二は混乱する。
「悪りぃな、小僧。生まれついての体質で、俺に飛び道具は効かねぇんだわ。」
おなまーえの前にランサーが実体化した。
矢避けの加護。
クー・フーリンの保有する、飛び道具に対する防御スキルだ。
狙撃手を視界に捉えた状態であれば、どのような投擲武装であっても肉眼で捉え、対処できる。
余程のレベルでないかぎり、このスキルの所有者に対して投擲タイプの攻撃は通じない。
「おまえ…!」
間桐慎二はランサーの姿は見たことがあるようだ。
おそらくアーチャーと初めて対峙したとき戦闘シーンを覗き見していたのだろう。
「っ、戻れ!ライダー」
白兵戦に特化したランサーに敵わないと悟ると、間桐慎二はライダーを下がらせた。
「あ?なんだ、こねぇのか。つまんねぇな」
「状況を的確に判断できる程度にはちゃんとマスターしてるみたいだね」
「……一体何をするために僕のところに来たんだよ。ただお喋りしに来たってわけじゃないだろ。」
おなまーえは鋭く慎二を睨みつけた。
「昨日の借りを返しに…と言いたかったけど、その前にこの学校に張った結界をなんとかしてほしくて」
「結界?おまえ別にここの生徒じゃないだろ?」
「うん」
「なら関係ないじゃないか」
「まぁそうなんだけどさ、私のお気に入りの子たちがここに通ってるみたいだから、危害を加えないであげてほしいなって」
「……一応聞くけど、そいつって衛宮士郎とかいう名前じゃないだろうな」
「ご名答」
「……お断りだね。僕には僕の考えがある。おまえなんかに邪魔されてたまるか!」
「はぁ…」
おなまーえはため息をつくと、くるりと背を向ける。
ランサーとライダーは今日初めて出会った。
故に、二つ目の令呪のせいでライダーにとどめを刺すことはできない。
説得に成功すれば共闘も考えていたが、これではおなまーえも協力はできない。
「ハッ!怖じけずいたのかよ」
「……一般人を巻き込むなんて、魔術師としては三流。それがわからないようじゃ、放っておいても自滅するだろうから。」
間桐慎二は井の中の蛙。
聖杯戦争は冬木全部が舞台だというのに、彼はこの学校のことしか頭にない。
「うるさい!おまえに!僕の何がわかる!!」
「…次は見逃さないからね」
おなまーえは朝靄の中に消えていった。
「令呪をなかったことにするのって、それもまた令呪が必要だよね」
「まぁな」
「あーあ、無駄遣いしなきゃよかった」
《2月6日 終》