Trickstar
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とある日の放課後──私は校内アルバイトを頑張ったご褒美に先生からプラネタリウムのチケットを貰ったのだけど……。
そのチケットは2枚あって、誰を誘えばいいのか教室で頭を悩ませていた。
「おーい、あんず~!なーにしてんの☆」
明るい声が聞こえて顔を上げると、明星くんが前の席に座って私を見ている。
「あれ、部活は?」
「今日はミーティングだけで終わったんだ♪それで?もう一回聞くけど、何してたの?」
「えっと……実は今日の校内アルバイトでね、ご褒美にプラネタリウムのチケット貰ったんだけど2枚あって」
誰を誘えばいいか悩んでたの、と私がそう言うと明星くんは「行きたい!」とばかりに目をキラキラさせていた。
「え~と……あの、明星くん。良かったら一緒に行く?」
「いいの!?やった!俺、一度は行ってみたいって思ってたんだ~☆」
そう言って無邪気に笑う明星くんは、本当に嬉しそうに教室の中ではしゃぎ回る……私たち以外に誰もいなくて良かったかも知れない。
(氷鷹くんとかいたら今ごろ絶対に怒られてるよね、明星くん……)
そんなことを思いながらも私は明星くんと帰ることになって、一緒に駅までの道を歩いていく。
「♪~♪♪~♪~」
「楽しそうだね、明星くん」
「まあね~♪だってこのあとあんずとプラネタリウムだもん。楽しみ~☆あんずは楽しみじゃないの?」
「私も楽しみだよ。あ、チケット無くさないでね?」
そう言って私が念を押すと明星くんは「もちろん♪」と、自信ありげに返事をした。
「じゃあ私は一回家に帰るけど、また駅前に集合ってことで」
「うん。また後でね~☆」
言ってヒラヒラと手を振って見送ってくれた明星くんに、私は手を振り返してから電車に乗り家路につく。
そして部屋で私服に着替え両親に出かけることを伝えて、再び駅まで向かった。
「明星くんは……まだ来てない、か」
いつもの駅で降りて外に出るけど、どこにも明星くんの姿は見当たらず時計を見る。
(ちょっと早かったかな?でも待たせるよりはいいよね)
そう思って駅前にある柱時計の下で、私は明星くんが来るのを待った。
けど
「明星くん、何かあったの?」
『あんず、ごめん……貰ったチケット、破れちゃった……』
「え!?なんで!?」
『俺、テンション上がりすぎて大吉に自慢してたんだ。そしたら飛びついてきてさ……』
その拍子にチケット破れた……と、そう言って謝る明星くんの声は明らかに落ち込んでいて、いつもの明るい彼は何処へやら、まるで覇気が感じられなかった。
「大吉なら仕方ないよ。ワンちゃんだもん。でも明星くん。とりあえず駅前には来て」
『え、でも……』
「大丈夫!プラネタリウムじゃないけど、他にもキラキラがいっぱい見れる場所、知ってるから」
『……わかった。ありがとう、あんず!じゃあすぐに行くから待ってて!』
そう言って電話を切った明星くんの声は少しだけ元気を取り戻したみたいで、ちょっとホッとする──やっぱり明星くんは元気なのが一番だ。
「あんず~!遅くなってごめん!寒かったでしょ?」
「大丈夫だよ。それより早く行こ」
「、うん」
そうして明星くんを連れて向かった先は、ナイトパレードが始まったばかりの遊園地。
「おお~!すごい!キラキラがいっぱいだ~☆」
「明星くん、完全復活?」
「うん!やっぱりあんずは救世主だね!」
ホントにありがとう!と言って心の底から嬉しそうに笑った明星くんの顔は、パレードの光の効果もあってか、私にはいつも以上に輝いて見えて……。
ちょっとドキドキしちゃったのは、私だけの秘密だ。
元気な君が好き
(やっぱり君には、笑顔が一番似合ってるよ)
2019.03.01