君の好きな味
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カランカランと鈴の音を鳴らせ、バーの扉が開いた。
カウンターの端の席に2人で並んで座った。
出されたお通しを食べながら、何を頼もうか並んでいるお酒を眺めた。
「幸村、決まった?」
雰囲気のせいか、いつもより艶やかな微笑みが俺を見た。
誘ったくせにこういう所に来たことがなくて、少し困っていた所だった。
まだ決まってない、と言うと私と同じのにしようかとマスターを呼んだ
「ビューティスポットで」
聞いたことのない名前だ。
オレンジジュースやベルモットを入れるカクテルらしいけど、そこで俺は疑問に思ったことがあった。
確かなずなは炭酸はあまり得意ではなかったはずだけど、マスターが入れたのは炭酸飲料に他ならない。
やがて、俺となずなの前に完成したカクテルが差し出された。
グラスを手に取り、少し揺らしてみせるなずながカクテルと相まって妖艶さを増幅させた。
「幸村はこのカクテル知ってた?」
「いいや、知らないよ」
「じゃあ、教えてあげてようかな」
なずなは持っていたグラスを頬に寄せた。
そのまま目を閉じ少し口角を上げた。
「ビューティスポットって言うのはつけぼくろって意味なの。」
「へぇ」
「底にシロップが沈んでるのが分かるでしょ?これが口元のほくろを連想させるんだって。本で読んだの」
へぇ………
………
…え?
「私炭酸苦手じゃない?…けど、何故か飲みたくなるの。何でだと思う?幸村」
…俺の被害妄想が行き過ぎてなければ、そういうことだと思うんだけど。
口元のほくろなんてさ、思い当たるのは1つしかないだろ?
何でなずなはそれを、俺に面と向かって言うのだろう。
俺の気持ちを知った上で言ってるの?
そうなのだとしたら、これ以上に残酷なことなんてない。
「好きだからでしょ」
「カクテルが?それとも---」
「なずな。あのさ、」
その言葉の先を聞きたくなくて、思わず遮った。
…けど、何を言うかなんて考えてなかったからただただ沈黙が流れだした。
暫くの沈黙の後、空になったグラスをそっとカウンターの端に寄せ、なずなはふぅ、と一つ息をついた。
「幸村」
「何?」
「…ううん。やっぱりいいや」
マスター、カミカゼお願いします。となずなは注文。
その間もずっとなずなの横顔を見つめていた。
けど、俺の方を向こうとしない。
本当に向かないのか、視線に気づいていながらわざと向かないのか。
後者だろうとは思うけど。
なずなの頼んだカクテルが出来上がる頃、俺のグラスも空になっていた。
「何か飲む?」
「なずなの好きなのでいいよ」
「そっか。…マスター、スクリュードライバーを」
あ、それなら知ってるよ。
確かオレンジジュースで割るカクテルだったはず。
すぐに出てきたそれをすぐ手にとって口にした。
隣からなずなのかすかに笑う声が聞こえた。
「…もう。」
「…なずなが好きなんでしょ?」
「好きだよ。」
そこでどうして俺の目を見て言うのかな?
そんなに慌てて飲んだ俺が可笑しかった?
俺を見てるようで見てないその目が憎くて、でもやっぱり--
「俺も好きだよ」
「カクテルが?それとも--」
「なずなが」
テーブルの下でぶらぶらとしていたなずなの右手を捕まえてみると、少し驚いて見せた。
「好きだよ。なずな」
ずっと前から、君に心を奪われているんだよ。なずな。
そう言う意味なんでしょ、コレは。
→あとがき。
カウンターの端の席に2人で並んで座った。
出されたお通しを食べながら、何を頼もうか並んでいるお酒を眺めた。
「幸村、決まった?」
雰囲気のせいか、いつもより艶やかな微笑みが俺を見た。
誘ったくせにこういう所に来たことがなくて、少し困っていた所だった。
まだ決まってない、と言うと私と同じのにしようかとマスターを呼んだ
「ビューティスポットで」
聞いたことのない名前だ。
オレンジジュースやベルモットを入れるカクテルらしいけど、そこで俺は疑問に思ったことがあった。
確かなずなは炭酸はあまり得意ではなかったはずだけど、マスターが入れたのは炭酸飲料に他ならない。
やがて、俺となずなの前に完成したカクテルが差し出された。
グラスを手に取り、少し揺らしてみせるなずながカクテルと相まって妖艶さを増幅させた。
「幸村はこのカクテル知ってた?」
「いいや、知らないよ」
「じゃあ、教えてあげてようかな」
なずなは持っていたグラスを頬に寄せた。
そのまま目を閉じ少し口角を上げた。
「ビューティスポットって言うのはつけぼくろって意味なの。」
「へぇ」
「底にシロップが沈んでるのが分かるでしょ?これが口元のほくろを連想させるんだって。本で読んだの」
へぇ………
………
…え?
「私炭酸苦手じゃない?…けど、何故か飲みたくなるの。何でだと思う?幸村」
…俺の被害妄想が行き過ぎてなければ、そういうことだと思うんだけど。
口元のほくろなんてさ、思い当たるのは1つしかないだろ?
何でなずなはそれを、俺に面と向かって言うのだろう。
俺の気持ちを知った上で言ってるの?
そうなのだとしたら、これ以上に残酷なことなんてない。
「好きだからでしょ」
「カクテルが?それとも---」
「なずな。あのさ、」
その言葉の先を聞きたくなくて、思わず遮った。
…けど、何を言うかなんて考えてなかったからただただ沈黙が流れだした。
暫くの沈黙の後、空になったグラスをそっとカウンターの端に寄せ、なずなはふぅ、と一つ息をついた。
「幸村」
「何?」
「…ううん。やっぱりいいや」
マスター、カミカゼお願いします。となずなは注文。
その間もずっとなずなの横顔を見つめていた。
けど、俺の方を向こうとしない。
本当に向かないのか、視線に気づいていながらわざと向かないのか。
後者だろうとは思うけど。
なずなの頼んだカクテルが出来上がる頃、俺のグラスも空になっていた。
「何か飲む?」
「なずなの好きなのでいいよ」
「そっか。…マスター、スクリュードライバーを」
あ、それなら知ってるよ。
確かオレンジジュースで割るカクテルだったはず。
すぐに出てきたそれをすぐ手にとって口にした。
隣からなずなのかすかに笑う声が聞こえた。
「…もう。」
「…なずなが好きなんでしょ?」
「好きだよ。」
そこでどうして俺の目を見て言うのかな?
そんなに慌てて飲んだ俺が可笑しかった?
俺を見てるようで見てないその目が憎くて、でもやっぱり--
「俺も好きだよ」
「カクテルが?それとも--」
「なずなが」
テーブルの下でぶらぶらとしていたなずなの右手を捕まえてみると、少し驚いて見せた。
「好きだよ。なずな」
ずっと前から、君に心を奪われているんだよ。なずな。
そう言う意味なんでしょ、コレは。
→あとがき。
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