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ナルトと愉快な仲間たち

そこは木の葉隠れの里。緑が多く存在し、そして忍び達が大国の依頼を受け持ち任務として仕事をこなす者達の一つの里。

「うーむ…今日も平和みたいじゃのう…」

里を守り皆を導くその里の大黒柱、三代目火影。平和主義な爺さんだが、結構強い。今はお茶を飲みながら今日最後の書類に印を押し終え一息ついていたのだが…

バン!

「火影様!大変です!!」

ドアを壊さんばかりに開け払ったあげく、キンキン声でこれでもかと言わんばかりの大声で入ってきた一人の女忍。名をカズハ

「カズハ、色々言いたい事はあるが…まぁいい。何が大変だ?」

すると大声で報告をする。

「またあのクソガキが…おっと、あの黄色のバカがアホなイタズラを!!」
「大声出さんで良い。ちゃんと聞こえてるんじゃ。」
「あれ、そうだったんですか?最近、火影様のお耳が遠くなってしまったと風の噂でお聞きしたもので。」
「誰じゃ?!そんな噂立てたの誰なのじゃ?!」
「まあ、そんな事は置いといて…」
「置いとくのか?!影で一体どんな言われようなのじゃ?!ちょっと心配になってきたぞ?!」
「火影様、とりあえず落ち着いてください。ああ、もう。メンドクサイな!」
「本音が聞こえたぞ?」

パコン!

見るとカズハが巨大ハリセンで爺の頭を叩いていた。

「いい加減にしてください。遊んでないで報告させてください。」
「いやあ、すまんすまん。ちと退屈だったのでな。」

そう、この爺さん、ワリと人で遊ぶ癖があったりして扱いが本当に難しい。カズハはそんな所も良く理解していて対処に困らないが。

「して、何事だ?」
「ですから、チビヒマが火影の顔岩にいたずら書きを!」
「ああ、それならイルカに任せとればいい。あの子のイタズラは単に人の注意を自分に向けさせるための物…寂しがってるんじゃよ…あの子は…」

そして少し遠い目をする三代目火影。

「今夜辺りまたナルトの所へ行くんじゃないでしょうね?」

ギク!

「させませんよ?火影様…」

見ればカズハの周りにドス黒いオーラが立ち込めていた。

「いや、べつにナルトの所ではなく…」
「嘘をつけ。昨日あんたが仕出かしたナルトへの悪事!聞かせてもらいましたから!なんたる不埒な事を…火影様と言えど追放しますよ?いえ、私が成敗してやります。」

後ずさる三代目火影。汗だくだ。

その数分後、もの凄い悲鳴と共に爆音が聞こえ、やれ敵の襲撃かと火影の部屋へ行った皆は

「なんだ、またカズハが三代目にお灸をすえてる所か。」

と、さも何事も無かったかのようにその場を後にする。どうやらこの光景は日常茶飯事らしい。
一方、ナルトはイルカに捕まりいたずら書きを処理していた。ご褒美に一楽ラーメンをご馳走になり、次の日の下忍収穫へのテストに向けて頑張る事をイルカに話していた。

「やっほう!チビヒマ!元気してるぅ~?」

そう言いながら二人の間にねじ込んで入ってきたのは…

「カズハ姉ちゃん!!一ヶ月ぶりだってばよ!!」
「?ナルト、この方は?」

イルカはいきなり割って出てきた不思議な忍びをどう対処していいか見ながら知り合いであろうナルトに聞いてきた。

「うん、俺がチッサイ頃から世話になってるカズハ姉ちゃんだってばよ!良く遊んでくれたり修行見てくれたりしてくれるんだ!」
「そうなのか…あ、俺はナルトの担任のうみのイルカと言います。」
「どうも~!いやー、ナルトが生徒で色々大変でしょう。この子はいたずら好きだし、アタマ悪いし、口は悪いし、態度はバカ丸出しでしょうがない子です…」

イルカは苦笑いしながら、ナルトは不貞腐れながら

「ハハ…」
「酷いってばよ!姉ちゃん!!」

しかし、ヘラヘラ笑っていたカズハがいきなり優しい眼差しで微笑みだしたので二人は黙り込んでしまった。

「そんな子ですが…心は誰よりも強く優しい、皆を思いやれる凄い子なんです。これからもこの子を宜しくお願いしますね。」
「て、照れくさいってばよ姉ちゃん…」
「ええ、解ってます。俺もそう思いますし、これからもナルトとは仲良くやっていきたいと願ってます。」
「イルカ先生…」

二人が、いや、あの若干スケベな三代目を含めて三人がナルトを認めている事に気がつき嬉しいやら、恥かしいやらでナルトは赤くなりながら涙目だった。そんなナルトを見た二人は

「な、ナルト?どうした?」
「やだっっ!ものっそ可愛いぃ!!」
「ありがとだってばよ!俺ってば二人に認められてて嬉しいんだってばよぅ!!」

ガバリ!とイルカとカズハに抱きつくナルト。

「明日の試験を合格したらまた一楽おごってやるよ。」
「ほんとかぁあ!?イルカ先生大好きだってば!!」

またもイルカに抱きつくナルトを無理やり引き剥がしながらカズハはニコヤカに言い放った。

「じゃ今夜は修行ね!チビヒマ!!」

その言葉でナルトが固まった。

「え…?」
「あら、何その青い顔?試験のために頑張るんでしょ?久々に私がシゴイテあ・げ・る♡」

その日の夜、もの凄い悲鳴やら何かの爆発音や凄まじい地響きが起こり、そしてその中で黄色い何かが一生懸命その中を駆けるのを皆は見つめていた。

黒髪で目が金色に輝く何かは誰も見なかった事にしたと言う。

「オラオラ!こんなものなのー?チビヒマぁ!!」
「ひぃ~!!」

と聞こえたとか…
そしてテストの日。お題は分身の術。

「はぁ~テストなんてメンドクセー」
「そんな事言うなってばよシカマル。お前、アタマ良いんだろ?俺と違ってこんなの楽勝だろうが。」
「お前さ、自分で言うなよ。まったくメンドクセー奴だよな。お前だって何か昨日凄い事やらされてたじゃねーか。案外合格すんの楽勝なんじゃねーの?」

それを聞いてナルトはアハハと苦笑い。そう、あの出来事はビックリして駆けつけた人々で溢れかえっていたのだ。その中にシカマルもいたのだろう。そこへポッチャリしている男の子が来た。手にはポテチの袋。チョウジだ。

「て言うかさ、良く生きて出られたよね。僕なら絶対死んでたよ。あの漆黒の影さんに。」
「漆黒の影??誰だってばよそれ?」

バリバリと食べるチョウジ。

「ナルトは知らないんだ?火影様直々の特上上忍の数楽(すうらく)カズハ。今は里にこもりっぱなしだけど、影では大いに大活躍してる人だよ。なんでも昔、反乱の国にいって一国を一人で落としたとか…父ちゃんが言ってたんだけど、あの人任務で一度も怪我してないらしいよ?与えられた任務は本人が気が向き次第で解決するとか。」
「なんじゃそりゃ?えらくめちゃくちゃな自由人だな?」
「初耳だってばよ…カズハ姉ちゃん自分のこと何も言わないもんな~…」

その言葉にチョウジとシカマルは顔を見合わせ驚きながらナルトを見る。

「ちょっと待てナルト…カズハ姉ちゃんって…どう言うことだよ?」
「そんなに親しいの?」
「ああ、言ってなかったっけ?俺ってば姉ちゃんに小さい頃から面倒見てもらったり修行したり…」
「特上上忍と修行…」
「そうか、お前がイタズラし終わった時に無性に逃げ足が恐ろしく速かったのはそいつとの修行の成果っつーわけか…」

二人とも妙に納得していた。

その日はナルトを含めて全員が合格。庭に沢山の子供達が溢れ返り、どれも親に見せ付けていた。そんな中、ナルトは皆の嬉しそうな顔を眺めて一言ポツリ。

「親、か…」

自慢するにもナルトは友達が少なく親もいない。自分だって合格したのに何だか一人孤立しているみたいで居心地はよくなかった。溜息をしながらいつもの木陰に腰を下ろす。寂しさ紛れに歌を歌った。
余談だが、ナルトは歌が好きだ。三代目やカズハ、チョウジとシカマルの親も色々な歌を教えてくれる。
そしていつしか歌は、ナルトにとってとても大切なモノになっていった。
あまり上手ではないけれど。でも、歌をうたうと心なしか気分が晴れてくる。勇気付けてくれる。

寂しい時も
悔しい時も
苦しい時も

ナルトは歌を歌うようになった。
今日のはナルトが作った歌の中のモノで、ひとしきり寂しい時に歌うやつ。

黒い猫が暗闇で 目を覚ます。
光は見えず 走り出す。
一人宛も無く 彷徨い続け
いつしか全てを恨み

けれども愛しむ心を抱いて
前へ行こうと歩き出す。
何をしても無力な自分を
見てくれる人を探す

そう歌い終わったときだ。木陰の木の裏から寝息が聞こえた。不思議に思ってそーっと除いて見ると、そこには同年代の黒い髪でうちはマークを背負った男の子がいた。

「なんだ、いつもチヤホヤされてたムカつくサスケかよ。」

安心しつつナルトは食い入るようにサスケを見つめる。整った顔つき、少し不健康な白い肌に整った体つき...ハンパじゃない修行をしてきた証だ。

「ふーん。もててただけあるってばよ。たしかにかっこいいな。」
「キモいんだよバカズラ。」

スッとサスケの目が開く。

「てっめー!寝てた振りしてただけかよ!!」
「うるせーいいかげん離れろウスラトンカチ。」

グイッと手で押してナルトと距離をとるサスケ。

「あれ?そう言えばサスケは何でこんなとこに居たんだ?」

ナルトには目を合わせずサスケは無愛想に言った。

「昼寝。」
「家でねりゃーいいじゃん。」
「そんな気分だった。」
「友達とどっか行けばいいじゃねーか。あ、お前の場合、彼女でもさそっていけばいいってばよ!もてるしさ。」

その言葉を聞いてサスケがもっと機嫌悪くなり、何も言わなくなった。しかしナルトはそんなのお構い無しで返事を聞こうとまたも質問してくる。

「ねぇってばよー!なんでお前ってばー、友達とーどっかいか...」
「だぁーもう!うっせぇーな!!友達なんて俺には必要ない!!ましてや女なんて足手まといにしかならねぇ!」

その大声を聞いたナルトは少し寂しそうに悲しそうな顔をした。それを見たサスケは意味が解らなくなり、ナルトを見つめ返す。
そして、ナルトが悲しそうにフフフと笑った。

「お前も一人か。俺と一緒だな...」

その笑顔が何だか切なくて、同時に自分と同じ孤独を味わう唯一の理解者だと言う事が解り、しばしナルトに釘付けになった。

「お前は何者なんだ。」

静けさを打ち破ったのはサスケだった。その言葉にキョトンとしていたナルトは元気良くニカっと笑いながら言い放った。

「俺はうずまきナルト!木の葉隠れの下忍だってばよ!!」

その笑顔から目をそらしたサスケは仏教面でポツリと言った。

「てめぇなんて、ウスラトンカチで十分だ。」
「はぁ?!何だってばよそれ?!意味解んないけど無性に腹立つ!!」

二人がケンカモードへ突入する前にカズハが割ってはいってきた。

「はい、落ち着こうねー。チビヒマ、このツンデレ君には一切近ずかないこと!」
「え?何で?いやま、別に親しくないからそこまでは接近しないけど...あれ?カズハ姉ちゃん、もしかして怒ってる?」

カズハは笑顔だが黒いオーラを放っていた。

「せっかく私と三代目がチビヒマに合格のお祝いに一楽おごったげようとしたってゆーのに、当の本人はこんなとこで一人黄昏てさー!」

一楽おごりと聞いてナルトは一目散に少し離れた所の三代目へいき、後で行くからさきいっててと二人に伝え終わったカズハだったが、木陰からその様子を見つめていた人物の背後へと周り...

「おい、ツンデレ君。」
「!な、何モンだてめぇ?!俺の背後に回るとは...ただモンじゃねーな?」
「はいはい、お褒めの言葉ありがとう。でさ、チビヒマ見てたでしょ?」
「...誰だチビヒマって?」
「ナルトの事。でさ、聞きたいんだけど...何であの子を見張るがごとく食い入るように見つめてたの?」

図星だったのかサスケが肩を揺らす。ドキって音もしたぞ。

「...あんなウスノロなんて見て...」

言い終える前にサスケの喉元にクナイがつけられる。

「嘘つくな。ナルトが寂しく歌歌ってた時そっと近ずいて聞き入ってただろ。見てたんだよお前の不振な行動!私を甘く見るな。ツンデレが。」
「...俺も一つ聞きたい。なんでナルトに俺に一切近ずくなと言った?」

それを聞いてカズハはクナイを下ろし、サスケの束縛を解きながら溜息交じりに頭を振った。

「気に食わないんだよね。ナルトに『かっこいい』なんて言わせやがって。これから背後には気を付けな?ナルトを傷つかせたり、触ろうとしたりしたら...いえ、ナルトに何かあったらアンタを私がコテンパンにぶちのめすから。」

そう言ってサスケを脅した後にカズハはソソクサと歩いていった。
後に残されたサスケは顔を赤らめながらうつ伏せていた。

「...マジかよ...最初から見られてた...」

ナルトが歌う歌詞やその声そのものに自分が聞き入ってしまっていた所を、あの女は見ていたのだ。

「本当に、何者なんだよ...ナルト...」
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