ナルトと愉快な仲間たち
「シナさん! 幾人かの忍びが、この屋敷に侵入しました!!」
「…もう? あと少しでこの術解けるのに…」
「私が…なんとかします」
サクラは戦闘態勢に入った。直後大爆発が起きる。
彼女はチッと舌打ちをした。
「今度こそ、ナルトには指一本触れさせないわ…」
クナイを両手に持ち、目前に立つ幾人かの忍びを睨みつける。
「よう。あの時のガキじゃないか。」
「お前は…似非紳士!!」
容赦なくカズハがつけた嫌味にしか聞こえないあだ名で呼んだ。
「てめぇ…あいつならともかく、お前までもその名で言うかっ!」
似非紳士は飛び上がり、サクラめがけて手裏剣を何十枚も放った。
しかしサクラは両手に持ったクナイで次々破壊していく。
もちろん、跳ね返ってシナやナルトに当たらない為だ。
まぁ、もっとも結界がある内は、当たる筈がないが、念のためである。
「俺の名前はエニシだっ!! 紳士希望だが似非なんてつけられるよりかは、こっちの名で呼ばれたほうがまだマシだ!!」
エニシは飛び上がり杖を出し、サクラ目掛けて杖を振ると、そこから幾つもの煙玉が出てきた。
サクラは一瞬クナイで弾き返すか切り裂こうとして、スンでの所で止めて避けた。
次の瞬間、その煙玉が破裂し、手裏剣やクナイ、千本などが飛び出してきた。
「ちっ」
「あぶなーい」
「てめぇ。よく今のが煙玉に扮した破裂玉だとわかったな?」
「女の勘よ。」
「…末恐ろしいなてめぇ。本当に下忍か?」
そして今度はサクラの番。印を組み、懐から巻物を取り出した。
「解!!」
そう叫ぶと巻物の封が解け、勝手に宙に浮きながら開いた。その中の文字が輝く。
そしてそこら一帯、サクラの花弁が舞った。
「幻術…か? いや、なにかが違う…なんだこの奇妙な感覚は…」
「なぁに? どうしたの急に大人しくなっちゃって。怖気づいたの?」
「…いんや? ただ…」
エニシはニヤリと笑うと手をかざし、何もない所から大きな布を取り出した。
「ここで終わるのは少し勿体無いと思っただけだ」
そしてそこから大勢の敵が押し寄せた。
「残念だよ。お前はきっと伸びていた。」
「転移召喚の術式?! そんなものどこに…! あの布の裏側に?!」
「ご名答。よく見破ったな。俺はエニシ。紳士希望だが…元は転移や召喚術に特化した一族の末裔だ。」
「そうか。だから、手品師のように物を出したり引っ込めたり出来るのね。ナルトを浚ったあの時もその応用でカズハさんを目茶目茶にしたのもその術だったのか」
「あらかじめ、この屋敷に侵入したときに罠がそこらじゅうにあったことは分かっていた。だから、あえてこいつらには待機してもらい、俺が敵を見つけ次第呼び寄せるという作戦。」
敵陣が迫ってくる。
掛け声がうるさい。
ああ、なんて面倒な場面なのかしら。
顔を伏せていたサクラの顔が上がる。
その瞬間、敵陣がピタリと動きを止めた。いや…止められたのだ。
サクラの緑色のジェダイトのような瞳の色がキラリと光り、エメラルドのように輝きだした途端に、敵は動きを封じられた。
皆が驚き、また目線を前に戻し、サクラを見た途端、彼らは背筋が凍った。そこには、顔を上げ、静かにそこに立ちふさがるピンクの髪の女子。
顔には影がかかり、目は見開かれている。ギラギラ睨みつけるその女子はまるで…あの恐怖の女王の面影を思い出させる。
「ホント、面倒なのよね。」
サクラはまた懐から二つ巻物を取り出した。
「暑っ苦しい奴も」
片手づつ持ち替えて一気に同時に広げる
「何もかも」
煙が立ち篭った
「私の大切なものを壊そうとする奴ら」
そこには、召喚された二つの影
「ウザイのよ」
桜の花弁が舞うその空間で、サクラが呼び出したのはなんと青鬼と赤鬼。
青鬼は女らしく、綺麗な豪華な緑色の着物に、水色の長い髪。
赤鬼は男でガタイ良く、朱色の着物に髪は短髪でオレンジ。手には金棒のような刀。
「なんだ? もう俺らを呼び出したんか」
「絶対に二度と呼び出さないと言ってたのにねぇ」
「うるさい。状況が変わったの。護りたいものがあると、何にでも縋りたくなるの。まぁ、あんたらには縋ってないけど。」
「おいおい、春野一族といってもミックスのお前を評価しているから俺らはお前に従ってるんだぜ?」
「そうよサクラさん? 努力が人一倍で、ミックスなのに春野一族の才を誇るのだから、ちょくちょく私達を出してくれたっていいじゃない?」
「…一言も二言も多いのよあんたたちは。いくわよ。春野一族の主として戦うのは不本意だけど、嫌だけど嫌いだけど!!」
二匹の鬼はサクラの前へ出た。
「…何なんだお前は? 春野一族など、聞いたことがないぞ」
「あたりまえよ!! 力封印して、争わないように普通の市民として暮らしてたんだから!!」
「はぁ?! 隠れてたのか??」
「そうよ。世界のバランスが~とか煩い事を言われてるの。でも、私は護るものがあるのに護れないのはもうヤなの。だから覚悟しなさい。」
それに、今はシナさん以外誰もいないし、戦いが終わった後、幻術の応用で記憶変更しとけばいいし。
結果オーライ!!
「いけ!赤桜 !!」
赤鬼がイエッサー! といいつつ前へ走る。が、目の前の鬼が消えて、気がつけば敵陣全て切り刻まれていた。
「なんなんだこいつはぁ!!」
エニシが杖を振り上げ、今度は相棒の言文も召喚
「え?! こ、言文…どうしたんだその傷?!」
相棒はすでに虫の息だった。
「…けっして…侮っていたわけでも、油断していた分けでもない…」
だが、敵わなかった…
「おいおい…お前はあの文字一族だろ? 数楽一族に劣らないのに…」
「…どうやら…お前もヤバイ状態らしいな…」
そう呟くと彼らの周りに文字が大量に発生し、二人を囲んだ。
「防御だ。その間、お前は転送のじゅんびを」
「させるとお思いで?」
いつの間にかそこには青鬼。
たちまち文字は凍ってしまい、そしてその中の二人も…
「サクラの花が早々に散る時…それはその木に住まう鬼が、魂を呼ぶために起こす現象と言われているのですよ。そうして、魅入られたものたちは不運にも死に、そして鬼の下へと吸い寄せられてしまう…」
「最初のサクラが封印をといたのはただの幻術とかそういうんじゃねぇ。あれは俺らの力を封じていた巻物だ。あまりにも強力で危ねぇために、春野一族は自ら力を封じて戦いから身を引いたが…本当に護るべき戦いのとき、その力は復活する」
桜の花弁はいつの間にか消えていた。
「ホント…使う気まったくなかったのにな…」
「残念がるなよ。お前のようなガキ、本当は捻りつぶして俺らは開放されて自由にもなれるんだぜ? それをどうして俺らはしないで、お前に付き従っていると思ってんだ?」
「あなたを認めているからですよ?」
「…うん。ありがとう。」
元気出せよ。
そう言って赤鬼は消えていった。
また何かあったら、呼び出してくださいね
青鬼も消えていった。
その瞬間結界が解かれた。
「やっとできたわ。これでナルトくんは大丈夫。」
「シナさん…あの」
「私はなにも見てないわ」
「え?」
フフフと、優しくシナは笑った。
「だから、今のは貴方の実力で倒した。凄い戦いだったけど、私は最後で大詰めだったからどうなったかまでは見届けられなかった…」
見ていなかったわけはない。だが、これは…
「黙っていてくれるって…いうこと?」
「ふふふ。だから、私はなにもみてないってばね。あ」
「え? 今のはどっかで聞いた事あるような口癖…」
「サクラーー!!」
「シナーー!!」
サスケが急いで走ってきた。その隣のカズハもだ。
「よかったー無事で! どうなることかとおもっ…あれ。ここに一定の時間で物凄い巨大なチャクラの渦を感じたんだけど…なにもいないし」
「な、なんでこいつら凍ってるんだ?!」
サスケの驚いた声で他にゾロゾロとついた皆もそちらを見た。
「…この氷、チャクラで出来てるぞ…しかも人間には不可能な精密さだ。一体何があったんだサクラ?」
カカシが写輪眼を出しながら解説、そして質問してきた。
サクラは言葉に詰まった。言いたくない。こんな力のことなど知れたら一族の迷惑になりかねないし、なによりペナルティをかされる。
面倒な事になりそうだし…第一あの力は一族の力だ。そんなものにサクラは縋ったことを後悔していた。
自分の力じゃない。
彼女はそういうのが最悪てきに嫌いなのだ。
それにバレたくない。
「わかりません。」
「あのね、サクラ。そんな唇突き出して悔しそうな顔しても無駄。本当のこと言ってみな?」
「が…」
「「「が?」」」
皆がサクラに注目している。苦手なんだよこういうシチュエーション。
「がんばったら…できました。」
「「「はぁ?!」」」
「でも覚えてません」
「なにいってんのよ…サクラ~。先生の目見て言って。」
「い、いやです。先生の目、なんかキモい」
「ええ?! なにそれ何気に傷つく!!」
「キモいしウザい」
「トドメ刺さないでぇぇええ!!」
わーわー騒いでいるあちら側とは打って変わって、カズハとカズキ、シナはナルトの容体を確かめていた。
「うん。もう大丈夫。しっかり術は解いてある」
「ふぅ。よかったぁ。でも、本当は何があったの? シナは見ていたんでしょ? どうやってサクラがあの強敵を倒したのか」
シナは困ったような顔で笑った。
「いくらカズハでも、今回ばかりは私は言わないわ。その内、時が来ればあの子から言ってくるでしょうし…なにより、今はそっとしておいたほうがいいと思うの。あの子自身、嫌がっている能力のようだったし…今回は無理に使ったとしか」
「そう…シナがそう言うんだったら…追求しないけど」
「ところで」
カズキが指を窓のところへ指した
「あれは…?」
「「…」」
「あはは。やぁ。なんとかなったみたいだね。間に合わなくってごめん。敵の攻撃結構強くてさ」
「「…もしかしてミト…のつもり?」」
「へ?」
その時、グットタイミングでわーわー騒いでいた皆が振り返る。
その中でもっとも目を見開き驚き固まったのは…カカシ。
「…せんせい…?」
「へ?」
そこにいたのは、金髪の輝く髪に、ブルーサファイアのような深い海の色の瞳、スラっとした身長にキリッとした顔立ちの、微笑が素敵なお兄さんてきな誰かが居た。
「あ」
「あちゃー…」
「へ、変化したんだよ。敵を欺くために」
ボンと、煙が上がり、そこに現れたのはあの老人ミト。
「なぁんだ。もれなく誰かに似ていたからひょっとしたらって思ったけど、そんな事ありえないわよね!」
サクラがほっと胸を撫で下ろしながら言った。
「…」
カカシは無言でミトを透視。やがて、何かを考え始めたのか目をずらし、座れる所を探して座った。
「…」
そのカカシを見て何かを考えるサスケ。
場は変な沈黙が支配した。
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
「ん…」
やがてナルトが目を覚ました。
「…あれ。何で皆ここにいるんだってばよ?」
彼が発した一言はそれだった。
「カズキさんと、お前を手助けして来いと任務がきてな。それより身体は大丈夫なのかナルト?」
「シカマル! うん。もう平気。それに、なんかわかんねぇけど、わかったからさ!!」
「は?」
「なんか知んねぇけど、もうすぐで里に帰ってくるから、あと少しの辛抱だって言ってた」
「誰がだよ?」
シカマルに聞かれて、はた。と考え込み、そしてニッカと笑ったナルト。
「わかんねぇ。」
無駄に笑顔だった。
「お前なぁ。」
「なぁんかさ、夢の中で誰かがいっぱい話してくれたんだけどさぁ。俺ってば目覚めたら忘れてて。あ、でも優しい感じは覚えてる。懐かしいポカポカする暖かさだった。」
そして、もう真っ暗な夜にポカンと浮かぶ月を見た。
「会えたら、思い出すって言ってたような気がしたな…早く会えねぇかなぁ…」
一人黄昏ながらぼ~とするナルトを他所に、カカシもまた、何かを考えていた。
「…もう? あと少しでこの術解けるのに…」
「私が…なんとかします」
サクラは戦闘態勢に入った。直後大爆発が起きる。
彼女はチッと舌打ちをした。
「今度こそ、ナルトには指一本触れさせないわ…」
クナイを両手に持ち、目前に立つ幾人かの忍びを睨みつける。
「よう。あの時のガキじゃないか。」
「お前は…似非紳士!!」
容赦なくカズハがつけた嫌味にしか聞こえないあだ名で呼んだ。
「てめぇ…あいつならともかく、お前までもその名で言うかっ!」
似非紳士は飛び上がり、サクラめがけて手裏剣を何十枚も放った。
しかしサクラは両手に持ったクナイで次々破壊していく。
もちろん、跳ね返ってシナやナルトに当たらない為だ。
まぁ、もっとも結界がある内は、当たる筈がないが、念のためである。
「俺の名前はエニシだっ!! 紳士希望だが似非なんてつけられるよりかは、こっちの名で呼ばれたほうがまだマシだ!!」
エニシは飛び上がり杖を出し、サクラ目掛けて杖を振ると、そこから幾つもの煙玉が出てきた。
サクラは一瞬クナイで弾き返すか切り裂こうとして、スンでの所で止めて避けた。
次の瞬間、その煙玉が破裂し、手裏剣やクナイ、千本などが飛び出してきた。
「ちっ」
「あぶなーい」
「てめぇ。よく今のが煙玉に扮した破裂玉だとわかったな?」
「女の勘よ。」
「…末恐ろしいなてめぇ。本当に下忍か?」
そして今度はサクラの番。印を組み、懐から巻物を取り出した。
「解!!」
そう叫ぶと巻物の封が解け、勝手に宙に浮きながら開いた。その中の文字が輝く。
そしてそこら一帯、サクラの花弁が舞った。
「幻術…か? いや、なにかが違う…なんだこの奇妙な感覚は…」
「なぁに? どうしたの急に大人しくなっちゃって。怖気づいたの?」
「…いんや? ただ…」
エニシはニヤリと笑うと手をかざし、何もない所から大きな布を取り出した。
「ここで終わるのは少し勿体無いと思っただけだ」
そしてそこから大勢の敵が押し寄せた。
「残念だよ。お前はきっと伸びていた。」
「転移召喚の術式?! そんなものどこに…! あの布の裏側に?!」
「ご名答。よく見破ったな。俺はエニシ。紳士希望だが…元は転移や召喚術に特化した一族の末裔だ。」
「そうか。だから、手品師のように物を出したり引っ込めたり出来るのね。ナルトを浚ったあの時もその応用でカズハさんを目茶目茶にしたのもその術だったのか」
「あらかじめ、この屋敷に侵入したときに罠がそこらじゅうにあったことは分かっていた。だから、あえてこいつらには待機してもらい、俺が敵を見つけ次第呼び寄せるという作戦。」
敵陣が迫ってくる。
掛け声がうるさい。
ああ、なんて面倒な場面なのかしら。
顔を伏せていたサクラの顔が上がる。
その瞬間、敵陣がピタリと動きを止めた。いや…止められたのだ。
サクラの緑色のジェダイトのような瞳の色がキラリと光り、エメラルドのように輝きだした途端に、敵は動きを封じられた。
皆が驚き、また目線を前に戻し、サクラを見た途端、彼らは背筋が凍った。そこには、顔を上げ、静かにそこに立ちふさがるピンクの髪の女子。
顔には影がかかり、目は見開かれている。ギラギラ睨みつけるその女子はまるで…あの恐怖の女王の面影を思い出させる。
「ホント、面倒なのよね。」
サクラはまた懐から二つ巻物を取り出した。
「暑っ苦しい奴も」
片手づつ持ち替えて一気に同時に広げる
「何もかも」
煙が立ち篭った
「私の大切なものを壊そうとする奴ら」
そこには、召喚された二つの影
「ウザイのよ」
桜の花弁が舞うその空間で、サクラが呼び出したのはなんと青鬼と赤鬼。
青鬼は女らしく、綺麗な豪華な緑色の着物に、水色の長い髪。
赤鬼は男でガタイ良く、朱色の着物に髪は短髪でオレンジ。手には金棒のような刀。
「なんだ? もう俺らを呼び出したんか」
「絶対に二度と呼び出さないと言ってたのにねぇ」
「うるさい。状況が変わったの。護りたいものがあると、何にでも縋りたくなるの。まぁ、あんたらには縋ってないけど。」
「おいおい、春野一族といってもミックスのお前を評価しているから俺らはお前に従ってるんだぜ?」
「そうよサクラさん? 努力が人一倍で、ミックスなのに春野一族の才を誇るのだから、ちょくちょく私達を出してくれたっていいじゃない?」
「…一言も二言も多いのよあんたたちは。いくわよ。春野一族の主として戦うのは不本意だけど、嫌だけど嫌いだけど!!」
二匹の鬼はサクラの前へ出た。
「…何なんだお前は? 春野一族など、聞いたことがないぞ」
「あたりまえよ!! 力封印して、争わないように普通の市民として暮らしてたんだから!!」
「はぁ?! 隠れてたのか??」
「そうよ。世界のバランスが~とか煩い事を言われてるの。でも、私は護るものがあるのに護れないのはもうヤなの。だから覚悟しなさい。」
それに、今はシナさん以外誰もいないし、戦いが終わった後、幻術の応用で記憶変更しとけばいいし。
結果オーライ!!
「いけ!
赤鬼がイエッサー! といいつつ前へ走る。が、目の前の鬼が消えて、気がつけば敵陣全て切り刻まれていた。
「なんなんだこいつはぁ!!」
エニシが杖を振り上げ、今度は相棒の言文も召喚
「え?! こ、言文…どうしたんだその傷?!」
相棒はすでに虫の息だった。
「…けっして…侮っていたわけでも、油断していた分けでもない…」
だが、敵わなかった…
「おいおい…お前はあの文字一族だろ? 数楽一族に劣らないのに…」
「…どうやら…お前もヤバイ状態らしいな…」
そう呟くと彼らの周りに文字が大量に発生し、二人を囲んだ。
「防御だ。その間、お前は転送のじゅんびを」
「させるとお思いで?」
いつの間にかそこには青鬼。
たちまち文字は凍ってしまい、そしてその中の二人も…
「サクラの花が早々に散る時…それはその木に住まう鬼が、魂を呼ぶために起こす現象と言われているのですよ。そうして、魅入られたものたちは不運にも死に、そして鬼の下へと吸い寄せられてしまう…」
「最初のサクラが封印をといたのはただの幻術とかそういうんじゃねぇ。あれは俺らの力を封じていた巻物だ。あまりにも強力で危ねぇために、春野一族は自ら力を封じて戦いから身を引いたが…本当に護るべき戦いのとき、その力は復活する」
桜の花弁はいつの間にか消えていた。
「ホント…使う気まったくなかったのにな…」
「残念がるなよ。お前のようなガキ、本当は捻りつぶして俺らは開放されて自由にもなれるんだぜ? それをどうして俺らはしないで、お前に付き従っていると思ってんだ?」
「あなたを認めているからですよ?」
「…うん。ありがとう。」
元気出せよ。
そう言って赤鬼は消えていった。
また何かあったら、呼び出してくださいね
青鬼も消えていった。
その瞬間結界が解かれた。
「やっとできたわ。これでナルトくんは大丈夫。」
「シナさん…あの」
「私はなにも見てないわ」
「え?」
フフフと、優しくシナは笑った。
「だから、今のは貴方の実力で倒した。凄い戦いだったけど、私は最後で大詰めだったからどうなったかまでは見届けられなかった…」
見ていなかったわけはない。だが、これは…
「黙っていてくれるって…いうこと?」
「ふふふ。だから、私はなにもみてないってばね。あ」
「え? 今のはどっかで聞いた事あるような口癖…」
「サクラーー!!」
「シナーー!!」
サスケが急いで走ってきた。その隣のカズハもだ。
「よかったー無事で! どうなることかとおもっ…あれ。ここに一定の時間で物凄い巨大なチャクラの渦を感じたんだけど…なにもいないし」
「な、なんでこいつら凍ってるんだ?!」
サスケの驚いた声で他にゾロゾロとついた皆もそちらを見た。
「…この氷、チャクラで出来てるぞ…しかも人間には不可能な精密さだ。一体何があったんだサクラ?」
カカシが写輪眼を出しながら解説、そして質問してきた。
サクラは言葉に詰まった。言いたくない。こんな力のことなど知れたら一族の迷惑になりかねないし、なによりペナルティをかされる。
面倒な事になりそうだし…第一あの力は一族の力だ。そんなものにサクラは縋ったことを後悔していた。
自分の力じゃない。
彼女はそういうのが最悪てきに嫌いなのだ。
それにバレたくない。
「わかりません。」
「あのね、サクラ。そんな唇突き出して悔しそうな顔しても無駄。本当のこと言ってみな?」
「が…」
「「「が?」」」
皆がサクラに注目している。苦手なんだよこういうシチュエーション。
「がんばったら…できました。」
「「「はぁ?!」」」
「でも覚えてません」
「なにいってんのよ…サクラ~。先生の目見て言って。」
「い、いやです。先生の目、なんかキモい」
「ええ?! なにそれ何気に傷つく!!」
「キモいしウザい」
「トドメ刺さないでぇぇええ!!」
わーわー騒いでいるあちら側とは打って変わって、カズハとカズキ、シナはナルトの容体を確かめていた。
「うん。もう大丈夫。しっかり術は解いてある」
「ふぅ。よかったぁ。でも、本当は何があったの? シナは見ていたんでしょ? どうやってサクラがあの強敵を倒したのか」
シナは困ったような顔で笑った。
「いくらカズハでも、今回ばかりは私は言わないわ。その内、時が来ればあの子から言ってくるでしょうし…なにより、今はそっとしておいたほうがいいと思うの。あの子自身、嫌がっている能力のようだったし…今回は無理に使ったとしか」
「そう…シナがそう言うんだったら…追求しないけど」
「ところで」
カズキが指を窓のところへ指した
「あれは…?」
「「…」」
「あはは。やぁ。なんとかなったみたいだね。間に合わなくってごめん。敵の攻撃結構強くてさ」
「「…もしかしてミト…のつもり?」」
「へ?」
その時、グットタイミングでわーわー騒いでいた皆が振り返る。
その中でもっとも目を見開き驚き固まったのは…カカシ。
「…せんせい…?」
「へ?」
そこにいたのは、金髪の輝く髪に、ブルーサファイアのような深い海の色の瞳、スラっとした身長にキリッとした顔立ちの、微笑が素敵なお兄さんてきな誰かが居た。
「あ」
「あちゃー…」
「へ、変化したんだよ。敵を欺くために」
ボンと、煙が上がり、そこに現れたのはあの老人ミト。
「なぁんだ。もれなく誰かに似ていたからひょっとしたらって思ったけど、そんな事ありえないわよね!」
サクラがほっと胸を撫で下ろしながら言った。
「…」
カカシは無言でミトを透視。やがて、何かを考え始めたのか目をずらし、座れる所を探して座った。
「…」
そのカカシを見て何かを考えるサスケ。
場は変な沈黙が支配した。
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
「ん…」
やがてナルトが目を覚ました。
「…あれ。何で皆ここにいるんだってばよ?」
彼が発した一言はそれだった。
「カズキさんと、お前を手助けして来いと任務がきてな。それより身体は大丈夫なのかナルト?」
「シカマル! うん。もう平気。それに、なんかわかんねぇけど、わかったからさ!!」
「は?」
「なんか知んねぇけど、もうすぐで里に帰ってくるから、あと少しの辛抱だって言ってた」
「誰がだよ?」
シカマルに聞かれて、はた。と考え込み、そしてニッカと笑ったナルト。
「わかんねぇ。」
無駄に笑顔だった。
「お前なぁ。」
「なぁんかさ、夢の中で誰かがいっぱい話してくれたんだけどさぁ。俺ってば目覚めたら忘れてて。あ、でも優しい感じは覚えてる。懐かしいポカポカする暖かさだった。」
そして、もう真っ暗な夜にポカンと浮かぶ月を見た。
「会えたら、思い出すって言ってたような気がしたな…早く会えねぇかなぁ…」
一人黄昏ながらぼ~とするナルトを他所に、カカシもまた、何かを考えていた。