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ナルトと愉快な仲間たち

 瞬時の判断はシカマルが指示を出した。先頭に立ち、幾つかクナイを弾き、その弾いたクナイを使い、ネジが自身がまだ練習中の技でさらに広範囲に弾き返す。

 その直後にテンテンがさらに数多の武器で武器を攻撃。ヒナタは白眼で正確にクナイの位置を確認、シノがそれを蟲たちで落とし、キバも赤丸と開発中の術、身体の捻りを利用して回転。
 クナイを跳ね返す。

 リーはチャクラで高質化した足技で落とし、サスケとカカシはクナイ戦法忍術を用いて周りをガードした。
 いのはチャクラで何かをしてクナイを弾いたのは分かったが、何をしたかまでは、まだ分からずにいた。
 そして言わずもだが、チョウジは自身の手を部分倍化の術+チャクラ高質化で相手の攻撃を弾き返した。

シカマルは面倒そうに、しかしそのニヤケているにもかかわらず自分へと放たれる威圧感に、何故だか冷や汗をかいていた。

何故俺だけその扱い…? ちゃんと仕事したよな俺…?

不思議に思ったシカマルがあまりの彼女の恐ろしさに、疑問の言葉を飲み込んだのはもはや必至だった。

「それで、状況はどうっすか」

シカマルがダルそうに、しかしカズハが機嫌を損なわないように気を使いながら聞く

「見ての通り」

カズハは相手を睨む。相手もカズハたちを睨む。
すると何を思ったか、突如カズハは手を上げて言い放った。

「手短に事のあらすじを話すから皆集合!」

そうして、円陣を組み、ひそひそと話し始めた。相手があまりの緊迫感のなさにコケたのは別の話。

「じつは、かくかくしかじか」

おいおい、そんなマンガみたいな説明で分かるわけ…

「…なるほど。とにかくナルトはあっち側にまかせておけばいいって事っすね」

ええええ?! 分かっちゃったののぉぉお?!

コクンと頷いたシカマルと他全員に敵一同華麗に心の中で突っ込んだ。

「そう。私達はこっちに集中して、敵を絶対にナルトのほうに向かわせないこと。」

「全面的に徹底的にヤリ合おうって分けっすね」

そのシカマルの言葉にカズハはニンマリ笑った。

「違うわよシカマルくん」

そして、鞘を少し斜めに構えながら自分も身を少しかがめる。

「全面的にぶっ潰すんだよ跡形もなく。二度と這い上がれないようにネ」

カズハの恐ろしいまでの殺気が放たれた。

「今までのようには行かないわよ…ふふふ。身体もあったまってきたしそろそろ…」
「姉さんいい加減にして」

バシンとはりせんで思いっきりカズハの頭をカズキが叩く。
その彼の大胆な行動に一同目を真ん丸くさせた。

ていうかどこから持ってきたんだ。つか、どこから出てきたあのハリセン?!

「…ったぁ! なにするのよカズキ!」

ゆるんだ彼女の殺気がまた放出された。それを見てカズキは呆れた顔をした。

「その殺気だよ。敵を怯むために放っているんだったらまだいいとして、僕らの味方の下忍たちまで巻き込むような事はしないでよ。ほら、姉さんのせいで半分が今にも気絶しそうじゃないか。まだ慣れてない者にはキツイんだよ? 日向のあの子なんて体中震えて顔を青くしているし、キバ君も赤丸くんも恐怖で顔が引きつっている。いのも僅かに震えているし、戦力を大幅に削るってどういう神経しているのさ?」

 いつになく静かに語るカズキをみて、同期のカカシはすぐに彼が怒っているのだと確信できた。だってほら、目が鋭いし、睨んでいるし、おまけに顔に影がいつもよりかかってるし!

「だ、だって久々に刀を使っているから…!」
「なにその言い訳? 力を制御できない下忍みたいな理由つけないでくれるかな? みっともないから。」

子供じゃあるまいし。そう付け加えたカズキを思いっきり睨むカズハ。

「あんたこそ何その言い方?? ちょっと殺気が味方のほうまで行って刺激されたからって怒っちゃって。あんたこそみっともないわよ」

そこで深呼吸をしたカズキが真剣に、かつ闘気を抑えずに言い放った。

「姉さん、俺はいつも姉さんを慕っているし、尊敬してるよ? でも今のは我慢できないな。仮にも忍びなのなら冷静に物事を判断しようね? それともそこまで頭が回らなくなったのかな姉さんは?? いつもの冷静沈着に判断する格好良い俺の誇る素敵な姉さんはどこなのかな??」

 その言葉にカズハがうっ…と言葉を詰まらせ、顔をしかめながら溜息をした。
 彼の闘気は本物だし、最悪な事態はまだ逃れてない。
 ナルトを本気で助けたいのなら、一旦頭を冷やして冷静に判断しなければ、助けるどころか、逆にやられる。

 カズハは深呼吸をした。そして汗ばんだ顔を服で拭い、またもため息をした。しかし今度は焦りが消え、本来の落ち着きを取り戻した冷静沈着な顔だった。

「わーかったわーかった。私がわるぅござんした!」

 弟にそこまで言われなければ気づかなかった姉は情けないけれど、もっと情けないのは、その弟に信頼されているのに、その言葉に耳を貸さないことだ。それに…

「弟にそこまで言われて応じない姉は姉じゃない。私はさっきの似非紳士を叩くからミトはボルサリーノを被った奴をお願い。下忍諸君らは他の抜け忍カスどもをよろしくね」

皆が相槌をうった。

 そして刀を瞬時に抜き取りながら敵陣に突っ込んだカズハ。数人が切られ倒れふす。優雅に地面へ着地したカズハは恐ろしくも美しいその瞳と優美な髪を風になびかせながら、言い放った。

「ひれ伏せ雑魚ども。」

 ニンマリ笑った毒を含むその顔に他の抜け忍が顔を青くした。高飛車な風格に凛とした空気。冷徹さも滲み出ているというのに、人を引きつけるような誘惑の眼差しに綺麗な整っている顔つき。
 しかしけっして優しいだけではなく、そこに残酷さもある。そこにいるのは、そう、まるで…

恐怖の女王。

「あれ?カズハ、似非紳士は?」

ミトが何かに気づきカズハに聞けば、彼女は一瞬きょとんとした。

「え?」

 どうやら敵を切り伏せることに集中するあまり、本当の相手を見失っていた。
 辺りをチャクラを使いながら相手の気配を探る。途端にカズハは後ろを振り向く。
 嫌な予感が的中したかと、焦った様子でミトが振り向きざまに足にチャクラを込めて早く移動しようとした。

「そうはさせない」

数本のクナイが彼めがけて飛んできた。回避しようと後ろへ跳ぶがそこには数枚の起爆札。

「しまっ…」
「まずは一人目。チェックメイト…」

辺りに衝撃が響いた。先ずは老人一人。男が呟く。

「ミト!!」
「他人の心配している暇があると思うか?」

 ボルサリーノの男はカズハの後ろへときていた。とっさに身体をひねり手裏剣を投げつけるカズハ。
 相手が距離をとった頃合を見はかって、サスケが聞いてきた。他の下忍たちはあまりに凄い攻防に唖然としていた。

「か、カカシ…なんなんだこの戦い…」

カカシは苦笑し、カズハやカズキを見た。

「ね? ハイスペックなレベルの戦いを繰り広げるだろ? あれでカズハさんが身体鈍ってなければすぐにでも終わらせられたんだろうけどね」
「あれで身体鈍ってるのか?!」
「ああ。あんなもんじゃないぞ~数楽カズハって人は」
「ちんたらブツブツ言ってないで早く誰かナルトのほうへ行って!!」

カズハが敵のボルサリーノ男と交戦している最中に大声を出した。

「似非紳士がいつの間にか屋敷に侵入しているのよ!!」
「なにっ?!」
「俺がいくからカカシはそこにいて下忍たちの力になってあげてよ」

 今にも飛び出そうとするカカシを、カズキは手で制しながら、自分はナルトがいる屋敷へと向かう。
 その時、抜け忍の中の一人が前へと出て煙だまを投げつけてきた。すると横から飛び出てきたのはサスケ。目が血走っている。何コイツコワイ。

「こんなもん…」

サスケが軽くクナイで切ろうとした瞬間にカズキが大声で止めた。

「っ! ちがうこれは毒ガス玉だ!! 皆離れろ! 吸うな!!」

 そしてさらに数人の抜け忍を通してしまう。その直後に毒ガス入りの煙だまは破裂し、毒ガスが屋敷を取り囲んだ。中には入らないように工夫されている。

「ちくしょう! いくら中にサクラがいるからって、数人はやべぇじゃねぇか!」

サスケが悔しげに叫ぶ

「しかも毒ガスがあそこの周りを取り囲むうちは俺達は入れないし」

カカシが頭をかく。

「カズキ、どうする?」

 完全に裏の裏をかかれた。予想だにしなかった出来事に下忍はおろか、カカシでさえ少し焦ってしまっている。
 その中でカズキは嫌に冷静沈着で、しかし声がいつもより低く顔の影が濃い。

「…俺達のできることをするだけだ」

いつもより一段に怒ってらっしゃる?!

 カカシは頭をまたかいて、ため息して、カズキを見つめた。そして、顔つきを真剣そのものにして。

「だな。じゃ、まずは皆でこいつら叩きますか」

 カカシとカズキが前へ一歩出る。カズキはポニーテールの長髪の紐をキュッと結び直し、カカシは手袋をはめ直す。

「一人あたりざっと38人相手する事になるかなカズキ?」
「大体あってると思うよ。500人は居そうだしね。」
「おいおい、マジかよ…38人を相手にすんのか…」
「しかし、それしか方法はないだろう。何故なら俺達の担当上忍二人が分析した結果だからだ。」
「が、がんばってナルトくんを、た、助けなきゃ…」

 キバ、シノそしてヒナタはすぐに戦闘を開始した。普段は奥手の彼らが早くに先手をとったことにあっけにとられていたが、皆すぐに自分のやるべきことに集中し始める。

「…負けてられませんね」
「…たしかにそれは不本意だな」
「じゃあ、私達もいくわよ!」

リー、ネジそしてテンテンも敵前へ移行する。
それに続き他の皆も集い、各地の敵の前へ。

一同の戦闘が始まった。
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