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ナルトと愉快な仲間たち

「とまぁ、こんな事がガイ君に起こったわけだ。アン時は本当にハラハラしたのを覚えてるなぁ~…」
「へぇー。ガイ先生も意外と苦労したんですねー。」
「さすがガイ先生です!聞いてるだけで手に汗が滲み出てきました!!」
「…ふん。」

ここは木の葉の里。忍び達と一般人が行き交う賑やかな里の一旦に、黒い長めの髪を後ろに束にして結んでいる二十代半ばの顔立ちが綺麗な一人の忍びが、ガイ班の子達と仲良く昔話で盛り上がっていたのには訳があった。

珍しくガイが風邪を引き、その代わりにその班の担任に配置されたのがこの男だった。

「所で、まだ自己紹介してませんので、さきにこちらから名乗っておきます! 僕の名前はロック・リーと言います。好きな物は辛い物とカレー、夢は忍術を使えなくても立派な忍びになることです!!」

この時、黒髪の男が目を細め穏やかに笑ったのに誰も気づかなかった。

「まったく、リーは…私はテンテンと言います。」
「日向ネジ。」

そしてそっぽを向くネジをテンテンは呆れた顔でやれやれと首を振り、二人とも情熱が足りませんと説教を始めるリー。

そしてそれを見つめる黒髪の男。しばらく口論が続き、ただ微笑んでいた黒髪の男が背後に黒いオーラを背負い始めた頃、口喧嘩をしていた三人が急に黙った。

「…まだ俺が名乗ってないのに、良く無視して口喧嘩なんてやってくれたね?」

フフフ…と笑うその様はまるであの漆黒の影のようだ。

「そ、そう言えば僕達、まだ貴方の名前も聞かないままで喧嘩をしてしまいましたね。見苦しい所をお見せしました。すみませんでした。」

グッジョブ!! よく最初に謝ってくれたリー!
とテンテンはその時、心の奥でリーに感謝したと言う。

「まぁ、謝ってくれたし。いいよ。許してあげる。」

そう言いながらニッコリと微笑む黒髪の男。

「じゃあ、改めて始めまして。ガイ君の風邪が治るまで君達の担任をやらせてもらう事になりました、数楽カズキです。宜しく。」
「ええ?! あなたがカズキさん?!」
「ガイ先生の同級生だったんですか!」
「まあね。」

へへへ…と笑う子供っぽい仕草とは裏腹に開けた目は鋭かった。

「さて、これから任務へ行くはずだったんだけど…急遽変更してガイ君のお見舞いに行こうか。」
「行きましょう! ぜひ!!」
「ええ? 別にいいですよ。ただの風邪でしょう? それに行って邪魔したりしたらダメなんじゃ?」
「くだらん。」
「イラっ…」

バコン!!

辺りに凄い衝撃が走り、砂埃が舞う。収まった時に皆が見たのは、カズキが地面をパンチで殴りつけていて、直径二メートルの範囲がひび割れて無残な事になっていた。もはやクレーターレベル。

「俺の些細な気づかいに変な異論は無いね? 俺に刃向かう愚の骨頂な奴も居ないね??」

そうニッコリと笑いながら手をゴキゴキ鳴らすカズキに三人は首を大いに縦に振ったという。

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「?」

自分の住んでいるアパートの部屋でガイは目を覚ました。数日間、一応、寝込んでいたにも拘らず熱も体のダルさも吐き気さえも中々治まってくれない。

「参ったな…」

今まで病気に掛かったことが無かったためどうすれば良いのか分からない。とりあえず筋トレすれば直るかもと思って実際にしてみたが事態は悪化。食事をいっぱい取れば直るかもと思いながら食べ過ぎて逆に全部、吐いた。

頭痛が酷くて足元がフラフラする中、木の葉病院へ行くとドクターストップがかかり、しばらく任務も担任も休む事になってしまった。

しかしジッと大人しく出来ないのがガイであり、なおも修行しようとしたために暗部まで配置され、どこかへ出かけようとすれば直ぐに暗部が取り押さえて鎮静剤を打ってきたり。

それが嫌で起きた瞬間に外へ行き、捕まりそうになってその暗部と戦ったりと色々してしまい、しまいには安静剤と鎮静剤の強力な物を三時間おきに打たれてしまい、結局家にこうして収まってることにした。

しかし、一人で(正確に言うと暗部が見張ってるが)家に留まった事があまり無いのでどうも慣れない。

「茶でも飲むかな…」

お茶を作ろうとして台所に立つと背後に人の気配がした。

「何をしてるんですか。」

見張りをしている暗部だ。

「あ、いや…お茶を飲もうと…」

するとベットへ戻されてしまう。

「ダメです。アナタ、あまり家に留まった事なかったでしょう。お茶っ葉切れてますよ。」

溜息混じりに文句を言われる。

「どうしてジッとしてくださらないんですか。私達に迷惑かけまくりなんですから大人しくそこで寝ててください。」
「いや、その、喉が渇いて…」

そう言えばガイは咳き込んでしまう。

「まったく。医療班の誰かが付いてくれれば良いんですけど、生憎アナタの相手はしたくないと皆が言ってました。街中であんなに暴れたからですね。あんた、病人の癖してなんて力持ってんですか。」

布団を被り、申し訳ない、と小さく呟くガイ。

ああ、あの時と変わらないなぁ。俺は。
皆に嫌われ妬まれ…ずっと一人なのが嫌だった。
だからカカシを勝手に永遠のライバルと決めつけ
競い合って…あいつは嫌々ながらも付き合ってくれて…

「なぁ、カカシの班はどうしてる?」
「ナルトと言う子と、カズハさんとサクラと言う子でパーティ組んで長い休みを取り、カカシ先輩とサスケは修行に行ってますが、それがなにか?」
「カカシはな…良い奴なんだよ。」
「ええ。知ってます。私、彼の後輩ですし、何回か組んで任務もしましたし…」
「優しいんだ…でも、あいつはまだ過去に捕らわれてる…」
「え? どう言う事ですか?」
「そのまんま…ケホッ! ゴホゲホ!」

ガイの咳き込む姿を見て、時計を見る。そろそろクスリの時間だなと暗部は思い、机の上にある三種類の薬を取り出し、ガイに与えた。

「いやぁ、何から何までスマンナ。世話になるよ…そうだ! 何かお礼を…」
「何もいりません。迷惑かけたくなければ早く直すために体を休めるなり寝るなりしてください。」
「…う、うむ。そうだな…けほけほ!」

はぁ。と大きな溜息をしながらガイのベットの近くに置いてあった椅子に腰掛ける。

「眠くならないんですか?」
「普段が普段だからかもしれんな…体はダルイが、眠くは無い。」
「どんな普段ですか、それ…」

あははとガイは笑う。

「俺の普段は…普通とは違うからな。」

暗部がガイを意外そうに見つめれば、そこには弱々しくベットに転がるジャージ姿のガイ。(こんなときまでそのジャージかよと、彼女は必死にその言葉を飲み込んだ。)顔は熱のために若干赤くなっていて目は普段の強い光は無く、淡く潤んでいるだけ。

「そう、ならざるを得なかった。ですか。」

そう暗部が聞けば、そうだな。と弱く苦笑うガイ。いつもの力強く暑苦しいまでの気迫の欠片もなかった。
そう、そこには何もない、忍びでも上忍でもない、ただの弱々しい男が居るだけだ。

「強さを追い求めて止まった事が無かったからなぁ…」

目を細めながら何かを思い出したのか急に言葉に力が無くなっていった。

「いつからそんなになったんですか?」
「え?」
「いつから、アナタはこんなに止まれなくなったんですか?」

その言葉に驚いて声も出せないガイ。しばらく暗部を見つめる。暗部さながらの服に、撫子のような長く美しい紫色の髪。顔には猫のような白く斜めに赤い筋が三本入った面。声は透き通った凛とした声。
そこまで分析してガイはフフ…と笑った。

「…今のセリフといい、君の長い撫子色の髪といい…ソックリでびっくりしたよ…」
「……どういうことですか?」

そう聞いてもガイの返事は無かった。代わりに気持ちの良い寝息が聞こえた。

「寝たんですか…」

しかし、やっぱり知っておきたかった。とその暗部は思う。どうしてこんなにもガイは強さを求めて体を壊して風邪ひいてもなお、止まれなくなったのだろうか。

「ずるいじゃないですか。あんなに強い癖してこんなに弱いところを私に見せるなんて。」

何を隠そう、街中で暴れた時、ガイを止めるために彼と戦ったのがこの暗部の彼女だったのだ。

「超眉毛(スーパーアイブラウズ)の癖に。」

するとクスクスとドアの方で笑い声がする。躊躇無くドアを開ければそこには

「ああ、すみません。お取り込み中だったのでここで待たせてもらいました。」

謝ってるにも関わらずその態度に全くかみ合ってない黒髪の男と何やらガムテープでぐるぐる巻きにされたオカッパ頭の子、苦笑いしているお団子の子と、それ全てを見ながら大きな溜息をしている白眼の子がそこにいた。

「数楽さん、いたのなら遠慮せずに入ってきたら良かったじゃないですか。彼、寂しがってましたよ? 誰も見舞いに来てくれないって。」
「どうだか? 結構、楽しんでたんじゃない? 君が相手をしてくれたからガイ君、あんなにユッタリ寝てるし。」
「たしかに、あんな風に安らかに眠る先生を見たことがありません。」
「そうよね。任務中でも里の中でも誰かが近づけば瞬時に目を開けて攻撃態勢になるのに。」
「言われて見ればそうだな。こんな無防備なガイは始めてみる。」

冗談はよしてください。と暗部は言い、サッと消えていった。

「ん…あれ? カズキに…リーにテンテン、ネジも…お前ら任務はどうしたんだ?」

ガイが目を覚まし、まだ熱があるため体を起こさずに皆を見ながら不思議そうにしている。

「皆、ガイ君のこと心配してお見舞いに来たんだよ。どう?体の調子は。」
「見ての通りだ。復旧にはまだまだ時間が掛かりそうだ…」
「でも、珍しいですよね。ガイ先生が風邪をひくなんて。」

そう言うテンテンを困った顔で見つめるガイ。それをジッと見つめるカズキ。

「ねぇ、もしかしてガイ君、まだあの時の失恋が応えてるの?」

カズキが何気なく発した疑問を聞いたガイは驚きすぎて咳がでてしまった。

「え? 失恋??」
「あれ? もしかして図星だった?」
「言うなカズキ。たのむから。」

弱々しく頼んでくる彼を見てもなお、カズキは止めなかった。むしろ酷くなってる。

「気になるかい? 君達??」

その言葉にほぼ全員が首を縦に振った。そして始まるはガイの失恋物語。

それはガイが下忍になって順調に任務をこなし始めた頃だった。いつものように、班で行動し、任務の草むしりをしている最中、巨大な肉食動物、【ハングリラ】が現れたのだった。

ハングリラ→大きな熊みたいな体と野鼠のでかい頭と鋭い歯をもった化物。

もちろん、正義感の強いガイがそいつと戦いを始めた。最初はガイの攻撃が効いて化物も逃げ腰になっていたが、急にガイの動きについていけるようになって、苦戦しながらも退却させたが、草むらからもう一匹現れて油断していたガイはそのまま攻撃を食らって地面へ。

大きく口を開けながらガイを一飲みしようとした化物を、一発で仕留めたのが撫子色の髪で緑眼を持つ、一人のくの一だった。

それから恋に落ちてしまったガイはその子に猛烈にアタックしまくったが、全てかわされ、プレゼントも受け取らず、挙句の果てに『私に勝ったら付き合ってあげる』と言う口車に乗せられ、コテンパンになってボロ負けした。

ガイに倒せなかった怪物を一発でしとめた彼女に、ガイが勝てる分けがない。

そして最後にどうしてもと、薔薇の花束をその子に渡そうとして、何故か酷く心外したその子は今度はガイを殺す気で攻撃を仕掛けた。上忍三人で何とか食い止める事に成功してその子はどこか遠いところに配置された。

ボコボコに殴られ気を失っていたガイが病院で目を覚まして、その子の行く末を聞いてから、人が変わったみたいに家にもあまり留まる事がなくなった。

「と、言うワケなんだよ。どうして薔薇の花束でそんなに激怒したのか、そしてどうしてその後ガイくんが壊れたように修行や無茶な特訓をし始めたのか全く分からないけどね。」

そう言いながらガイの方を見るカズキ。

「まったく、どうしてそこまで見ていたかのように語れるんだ。カズキは。」

するとイタズラっぽく笑うカズキ。

「だって見てたもの。姉さん達と一緒に。」
「な?! なんでだ??!!」
「え? 面白そうだったから。」

その答えを聞いて項垂れるガイ。

「それで? どうしてその子は薔薇の花束でそんなに怒ったの?」

すると力なくガイは答えた。

「戦いに敗れて、最後の最後に、俺の気持ちだけでも形にして彼女に伝えたくて…三十六本の赤(あか)に白斑(はくはん)の薔薇を送ったんだ…聞いた話によると【愛の告白は三十六本の赤い薔薇】が定番らしい。」
「それで? 何が彼女の機嫌をそこねて、君を殺す一歩手前までやっちゃったのかな?」
「…送った薔薇の種類がいけなかったらしい…」

すると今度はテンテンが興味を示して聞いた。

「どんな種類の薔薇だったんですか?」

するとさらに項垂れるガイ。大きな疲れた溜息をしながら悲しそうに呟いた。

「赤に白斑の薔薇の種類はヨーク・アンド・ランカスター。花言葉は【戦争、いさかい】だ。」
「「「うーわー…」」」

皆がかわいそうなものを見る目でガイを見る。

「その事故が元で彼女は木の葉から追い出され、暗部の監視つきで今も不自由な生活を送っているのだ。考えても見ろ。俺がちゃんと花言葉とか調べていれば…それか、あの勝負に負けた時点で諦めていれば…彼女も腕の立つ立派な忍びになっていただろうに…」
「ああ、だからガイ君…」
「…俺が強ければもっと違う結末があったかもしれなかったし。あれは未熟な俺が招いた結果だ。だから、強くなろうとした。二度と同じ過ちを繰り返さないために。」

少ししてシンミリしていた所にいきなり違う声が聞こえてきた。

「あー、だから薔薇が苦手なんて言ってたんですね。」

山中いのがそこに居た。

「何故、君がいる?」
「え? カズキさんに呼ばれたんですよ。はい。お見舞いのフルーツです。」

そう言ってフルーツタップリの籠をベットの隅に置いた。

「留守かもと思って入るのためらってたんですけど、暗部の方が勝手に入ってくださいって言うもので…しかも後半の失恋話、聞こえてました。」

その事を聞いて「あー、今日は厄日だ…」と言いながら顔に手を置くガイ。耳まで赤かったのはきっと熱だけのせいじゃない。

「そういえば、何故ガイ先生は、滅多に引かないような風邪をひいたんですか?」
「ぐお!」

何故だかリーの質問に手を上げながら驚き、一向に応えようとしないガイを見てニタ~リと不気味に笑うカズキ。

「リー君、良い所に気が付いたね。」
「か、カズキ、何だその黒い笑顔は!? まさか、お前…」
「うん、見てた。」
「どうやってだ?! 任務の最中だったのにどうやって見れたんだお前は?!」

大声出した後に咳き込み始めたガイを他所に、カズキはニタリと笑いながら楽しそうに答えた。

「企業秘密。分かっちゃったら、もう見守れないだろう?」
「どうしてお前は俺の事をストーキングするのだ?! 昔からずっと…」
「嫌だなぁ。大切に思う仲間だからに決まってるじゃない。下種な奴等だったら絶対こんなことしないよ?」

そう。これはカズキに認められた者しか味わえない、迷惑で気品の欠片も無いストーカー行為。

「君が言わないんだったら、俺が言うけど?」
「止めてくれ…分かった、俺が言うから…いや、あからさまにつまらなさそうな顔をするな。」
「それで? 一体任務中に何が起こったんですか?」
「…テンテンもか…いやな? S級任務を終えて帰路につく途中に泥棒が出てな。一般人から服を盗んだらしくて、一応退治して服を返しに行ったまでは良かったんだが…」
「被害者が女の人で、しかも入浴の時のマンマだったから、他の女性達に勘違いされて追い掛け回され、挙句の果てに滝つぼに落ちてそのまま流されて、やっとの思いで丸太にしがみ付いたは良いけど、このままじゃ木の葉へ帰れなくなる。だからチャクラで激しい流れの川の上に立ち、壁を登り、やっとで地上に降り立ったは良かったけど、ちょうどそこがお金持ちの家の庭で…」
「どこまで見てたんだお前は!!」
「え? 全部だけど?」

またもやガックリ項垂れるガイ。

「それで?」
「…追い出されてまた川に落ちたんだ。その時に頭を打ってしまい、気がついたら見知らぬ地帯に付いててな。木の葉と連絡をしようとしたのだが、出来なかった。なんやかんやでその川をたどり、木の葉まで帰り着いたは良かったが…さきに書類やらをかたずけていたら、体が冷え切ってしまってな。」
「鼻水たらしながらモクモクと任務をこなしていって、気がついた時は風邪が酷くなってたってわけだね?」

そう微笑みながらガイを見るカズキ。

「ああ、まぁ、そんなとこだ…」

しばらくして皆はガイの下を離れ、任務へ行こうとした。その時だ。急にカズキが苦しみだしたのだ。

「え? ど、どうしたんですか?!」

驚きながらも質問したテンテンに彼は歪ませた顔で焦ったように言い始めた。

「…姉さんが…怪我をしたみたいだ…」
「え? わ、わかるんですか?!」
「まあね…数楽一族の双子だけの取り得だから…」
「双子?」

珍しくネジが食いついてきた

「それはどう言う事だ?」
「そう言う事だよネジ君。数楽一族の双子は何らかの繋がりがある。俺の双子の姉、カズハに何か良くない事が起こったみたいだ。火影様に連絡してくる。君達は今日の任務無しで。」

そう言い残し、彼は煙と共に消えた。

「ねぇ、カズハさんって、三日前に、ナルトとサクラって子と一緒に長い休みを取った人でしょ? 彼女に何かあったってことは、後の三人も…」

テンテンがそう言えば二人ともしかめっ面をしたまま動かない。

「数楽一族…たしか、特別な血系限界を持ってる一族だったはずだ。下手な上忍より強いために、誰も手出ししないはずだが…」
「ネジも知ってるんですか、数楽一族のこと。」
「ん? お前も何か知っているのか、リー。」
「ええ。風の噂で知ってから、少し調べてみたんですよ。数楽一族は、全てにおいてパーフェクトで、機密事情になっていて中々分からなかったんですが…一週間前、変な書類が火影亭から盗み出されたらしくて…偶然にも道端にその書類の一枚が落ちているのを僕が見つけたんです。その時に読んでしまいました。」
「それで? そこに書いてあったんでしょう?その一族の事が。」

「ええ。一部だけでしたが、驚きましたよ。数楽一族の血系限界の能力の一つ。計算(Calculation)と呼ばれる異空間に転位して、計算による核分裂かくぶんれつを行い、攻撃パターン、術のスピードをマスターしてしまうそうです。そして、その空間の中では何日も居ても現実では一分にも満たないそうです。その計算で未来におきうる出来事とかも計算してしまうなどと書いてありましたね」
「つまり、計算のような能力…なんだな?」
「そうですね。正確には【楽に数字を使いこなす者】と書いて数楽と言うそうです。戦いにおいて彼らはその空間を瞬時に出して相手の攻撃、術など全て計算してその空間から出て相手をコテンパンにするそうです。その空間が出ても普通の人は気配もその空間が現れた事も分からないまま終わるそうです…その技にも幾つか種類があるみたいですが…後は秘密暗号で記してあったので分からなかったんです。暗部が来て即座に持ってかれましたし…」
「それが能力の一部…そんな最強な一族に怪我を負わせたって…どれだけ強いのよその敵は…」
「分かりません。ですが…只者じゃないですね。」
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