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ナルトと愉快な仲間たち

「サクラちゃん、改めてよろしくだってばよ!」

ナルトがそう元気良く同じ班のサクラに話しかけ、手を前に出すが、サクラと呼ばれたピンクの髪の子はナルトの手を叩き落しながら睨んだ。

「ウザイのよ。どっか行ってそのまま消えてろ。」
「ガーン!!そんなの無いってばよ!いきなりヒデェよサクラちゃん!!」
「ていうか、ちゃん付けするな。馴れ馴れしく寄るな。名前で呼ぶな。」

なんとも恐ろしいまでの拒絶。ナルトは渋々引き下がる。

「...お前も宜しくってばよー。うちは」

そう言いながらトボトボ前を行くナルトの手を掴み引っ張りあげたのは

「...名前で呼べ。ウスラトンカチ。」
「まぁーたその名で呼びやがって!!別にいいだろ!!どうせ同じ名前なんだしよ!!」
「...」
「ていうか、手離しやがれ!」
「は?」
「いやいや、は?じゃなくて!手!お前が掴んでる俺の手離せ!!」
「何言ってんだ、お前。放すわけねぇだろが。」
「なに言っちゃテンのこいつ?!話せよ黒ずくめ野郎!!」


するとサスケは一層ナルトの手を引き目の前まで引っ張り上げた。鼻と鼻とが近い。しかもニヤリとうっすら笑ってる。

何なんだってばよこいつ?!

「...前に俺の顔をのぞき見て、言った言葉をもう一回言いやがれ。そうしたら放してやってもいい。」
「な、なに馬鹿なこと言って...!」
「いいのか?」

サスケが更に引き寄せる。黒い瞳が光る。

「...長引くだけ不利になるぞ?...あのバカピンクが見てる...変な噂が流れても俺は知らんぞ。」

「え...ええ?!」

ナルトは今、パニックに陥っていた。

なんだってばよコレ?!なんでサスケがこんな事するんだ?!
サスケってば人苛めるの好きなのか?
それでこんなのって!はたから見たら絶対変な事になっちゃってるかも...
あれ?さっきサクラちゃんが見てるとか言ったよな?!

「タイムリミットまで十。」

カウントダウン始めやがった!!

「九」

って、何で俺の頭を違う手で押さえるんだ?!逃げられねぇじゃねーか!!

「八」

引き寄せんな引き寄せんな!!このままじゃ何かやばい!!

「七」
「...二人ともなーにやってんの?」

知らないやる気の無い男の低い声がした。

「六」

誰か来たのにまだ続けんの?!

ぶちっ

「ふっざけんなぁああああ!!プチ変態がぁぁああ!!!」

大声一つしながら空いていた手を思いっ切りサスケの顔へ。もちろん避けられたのだがその次のナルトの空中回し蹴りに足を救われカカト落としを見事肩に食らった。

「いてぇじゃねーか!」

サスケも今ので火がついたらしい。次々とパンチ、キックを繰り出すが、ナルトは器用に避けながら攻撃してくる。
たちまち教室の中は二人の元生徒二人によって戦場と化した。

「はい、ストップー。」

そう言いながらナルトは抱えてサスケは頭を手で押さえると言う形で喧嘩を止めさせたさっきの男がいた。

「喧嘩するほど仲良いって言うけど、やりすぎでしょ。お前たちの第一印象最悪。俺、ハッキリ言ってお前ら嫌いだな。」

そう言うことを呟くお前も嫌いだ。と、この時三人はかつて無いほど強く思ったと言う。
屋上へと場所を移した後、自己紹介をすることとなった。

「さっきから何?」

とナルトがサクラに聞くと

「べつに」

と言いながらナルトをガン見してくる。屋上に着くまでずっとだ。かなりウザイ。

「はい、じゃあ黄色い奴から自己紹介はじめてー。」
「「意義あり!!」」

そう言い放ったのはナルトとサクラだった。
声が重なって二人とも変に顔を見合わせたが、すぐにフイッと逸らす。

「何?なんか文句でもアンの?」
「「アリアリよ(だってばよ)!!」」
「一応聞くけど...何?」
「「先生から自己紹介してください(しろってば)!!」」

またも重なる声。そしてキッと睨み合う。

「アンタ何?嫌味??何でアタシと声揃えんの?」
「ウルサイってばよ!!誰がピンクバカと好き好んで声合わせるか!!」
「なんですってぇ?!」

ドコ!!

「...へぇ。力だけはあるんだな。」

サクラの右ストレートキックを両の腕をクロスしながら受け止めたナルト。

「...アタシも驚いたわ...アタシのキックを止めたやつなんて、女ノ一クラスには居なかったから...今のは大の大人でも軽く数メートルは吹っ飛ぶほどの威力...見直したわ。」

さっきまでの重苦しい雰囲気が何故か和やかムードになろうとしつつある。

「俺も見直した。改めて自己紹介するってばよ。俺の名前は『うずまきナルト』。趣味はラーメン屋めぐりで好きな食べ物はイルカ先生とカズハ姉ちゃんと一緒 に食べるラーメン!!夢は...火影を超えること!!あと、もう一つ好きな事あるけど...ちょっと言いずらいかな...」

「火影を超えるって、どうやって?」

今まで黙っていたカカシが聞いてきた。対するサスケも若干興味をもっていた。クールを装ってて面に出さないように必死なのが皆に一目両全。ハッキリ言って露骨だ。

「俺さ、歌って、世界を救えると思うんだ。」

気恥ずかしくも真っ直ぐと言い放つナルトの目は一段と輝いていた。凛とした空気が漂う。

「だから夢は世界を歌で救う事!!歌が俺を救い上げたように、皆を救える歌を歌う事が俺の夢だってばよ!!」

そしたら火影をも超えるだろ?!とはにかむような笑顔がまぶしかった。まるでお日様のようにキラキラしててポカポカ暖かいような笑顔。そこに居る三人はしばしの間ナルトを見つめていた。

「か、かわいいっ!!」

そう言ってサクラはナルトに抱きついた。目がハートになってる。

「何この可愛い生き物?!お持ち帰りしたい!!」
「ちょ?!は、はなせってばよーー!!」

死に物狂いでサクラから回避したナルト。恐怖で顔が青くなってる。

「アタシも改めて自己紹介するわ。名前は春野サクラ。趣味は修行とか本を読む事。好きな食べ物は甘い物かしらね。餡蜜、羊かん、団子...夢とも言わないけど、目標はあるわ。世界一強い心を持つ事。可愛いモノにめっちゃ弱いから、好きな物はナルトの笑顔かな。」
「...おとなしそうに見えて結構大胆なのね。」
「死んだ魚のような目で髪型もおかしい、初日で遅刻をする、まるで駄目な道を素で行くようなおっさんには言われたくないわ。」
「...気に入った。」
「サスケ君?」

今度はサスケが変な空気に呑まれたよ...なんなのこいつら。と、一人嘆くカカシ。

「さっきの蹴りのスピード、威力...偽りの無い信念...気に入ったぜ春野サクラ。俺はうちはサスケ。嫌いな物は沢山あって喋るのがメンドクセぇが趣味は修行。好きな物は強い意志と目を持つ者、あと歌。夢は...今出来たな。」
「なに?その今出来たって言う夢。」
「俺も何か興味あるってば!」

目を閉じながら深く息をするサスケ。やがて開けられた黒い瞳は揺るがない決心の炎が灯っていた。

「掛け替えのない大切なモノを...守り通す事だ。」

あの復讐者がここまで思考を変えるとは...驚きだ。一体何が発端で復讐をやめたのだろうか。とカカシは思考におぼれていたが、皆の目線がてめぇも早くしろと脅してくるので彼もしはじめた。

「俺の名前は、はたけカカシ。好きなモンは喋る気ないな。嫌いなモンは~いいたくないね。趣味は~...語るほどのものでもないな。」

自己紹介になってねぇえええ!!!

そして後にサバイバルに突入。三人は力を合わせて大勝利し、なんとかこの試験でうかり、下忍へ昇格。
そこそこ任務もこなし始め、ある任務の草むしりで事は起きた。

「え?俺の歌が聞きたい??」

疲れた体を木陰で休ませていた頃に、カカシとサクラに言われた。

「歌で世界を救うんだろ?いっぺん聞いてみたいなと思っててさ。」
「そうよ。私の可愛いナルトがどんな歌歌えるのか気になってたの。」

そこへサスケが割って入ってきた。

「...どうせ下手で恥ずかしくて歌えないんだろ?これじゃあ、火影を超えるのも無理なんじゃねーか?」

そこに『なにおぉおう?!だったら歌ってやるってばよ!』と言ってしまったナルトであった。

今更恥ずかしいもクソもないってばよ!!

そう意気込みながら必死に恥ずかしさと戦っていた。

「早くしてー。俺って結構短気じゃないけど待つの苦手なの~」
「人を簡単に待たせる癖して何を言うか。」

そんな会話を苦笑いで見つめるナルトは息を大きく吸い込み吐き出した。
今日の歌は疲れてるから和むような歌。優しくて暖かい歌がいいだろう。
そう思いながらユックリ目を閉じる。

そんなナルトの様子に気ずき、サクラは騒ぐカカシを殴り飛ばし無理やり黙らせた。サスケはマダカまだかとソワソワしてる。ハッキリ言ってカッコイイが似合わない男になってきている。キャラ崩壊だ。

~ナルトの歌タイム~


ウインディロード

旅に出よう。風と共にゆったりと
空の向こうにある様々な景色を見に行こう。
閉じ込められてる籠の中から
溢れる空色をこの地に届ける

耳を澄ませば鳥の歌声
風に身を任せれば荒む気持ちも
何もかも優しく包んでくれる
さぁ、走るのを止めてユックリ歩こう

世界に散らばる色取り取りの景色
一瞬の色の世界をこの目で確かめよう
一人ひとり、違う色をもって
この世界に優しい色をつけよう


歌い終わり、ナルトがふぅと溜息を吐きながら皆の方を見上げると、そこには目を輝かせたサクラ、優しい眼差しで見るカカシ(ハッキリ言ってきもい)、ぼ~っと口をあんぐり開けた間抜け顔したサスケがいた。

「あれ、そんなに下手...だったか?」

と自信なさ下に説いてみると顔がその内外れるんじゃない?と思うほどブンブン横に振る三人。

「ナルト、アナタはアタシの歌姫ねっ!」

グッと親指を突き出し舌を見せながら極上のスマイルを浮かべるサクラ。

「う、うたひめって...」
「お前なんでそんなに歌上手いのに隠してたの?すっごい感動しちゃったよ俺。」

と、ニッコリ満足そうに言うカカシ。

「...!...!!」

と、かける言葉が見つからず焦りまくってるサスケ。

「ありがとだってばよ!!」

そのナルトスマイルに当てられたサクラが暴走し、草むしり以後の疲労がナルトに溜まってたとさ。

「...反則だろ...あの笑顔...」

と、一人呟く黒髪くん。若干頬が赤い。

「あーらら。サスケってもしかしてそっちの気があったんだ?」
「はぁ?何言ってやがるんだ変態教師。」
「ちょっとそれ酷いでしょ。」
「二人とも変態だろうが。チビヒマにあんな笑顔貰って!!」

二人は背後から悪寒と共に恐怖心を広げるようなその声を聞いた。振り返れば鬼のようなギョソウをしたカズハ。

「覚悟しやがれ。」

そう言いながらニコリと笑う様はもう、鬼に金棒。

その日の夜、なんとも哀れな姿になってフラフラと里を歩く二人を、里の皆は暖かく見守っていた。
何故なら彼らはカズハがどの位ラブナルトか知っているから。関わるとそのとばっちりが来る。

「何で俺まで...」
「うるせぇ。変態。黙れ。」
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