英雄の笑顔、悪者の涙

【その37:ささやかだけど、確かな「つながり」】

「……コレ一体に、案外と手間取ったな」
 ふぅと溜息を吐きながら、カニス・ファミリアーリスは足元で山になっている大量の木の葉と、その中に半ば埋もれるように存在している修道服を見つめて呟いた。
 その脇にいる次狼も、ぐいと額に浮いた汗を袖で拭いながら、同じ物を見下ろしている。
「こんなの見た事ないけど……新種かな?」
「多分、な。それも、ひどく厄介な存在をベースにして作られた物だろう」
 ラモンの問いに、何かに気付いたらしい白刀が言葉を返す。そして木の葉の山の中に埋もれていた小さな欠片を拾い上げると、それを他の面々に見せた。
 それは、小さな……小指の爪程の大きさの、ガラス片と思しき物体。色は濃い青をしており、所々で罅が入っている。
「それ……まさ、か?」
「そのまさか、だろうな」
 ぎょっと目を見開いた力に淡々と答えつつ、白刀はその欠片をぎゅっと握り潰す。
 小さいとは言え……そして罅だらけとは言えガラス片だ。鋭利な先端が彼女の掌から与えられる圧力に抵抗し、その肌を破る。だが、彼女自身はそんな事を気に留めず、更に圧力をかけ続け……やがて手の中で個体の感触がなくなったのだろう。すっと開いた手の中には、うっすらと「緑白色」の血が付着した、「欠片だった粉」が乗っていた。
「ここまですれば、利用される事もあるまい」
「だが……あれがその中にあったのならば、『奴』は……」
「『恋人』に回収され、そして改修されていると考えるのが妥当だな」
 風に乗ってどこかへ消えていく粉を見つめながら、次狼とファミリアーリスが呻くような声で言葉を放つ。
 ラモンと力も、あの欠片の正体に気がついているのだろう。彼らの言葉に、心底嫌そうな表情を浮かべている。
「面倒、くさい」
「同感。つまりそれって、『あいつ』がまたやってくるかもって事でしょ?」
「その通りだ。だが……恐らくはまだ完全に改修出来ていないのだろう」
「何で?」
「改修できていたなら、あの『二人一組』を好む『恋人』の事だ。この『修道服の姫』と一緒に、『改修した奴』、もしくはそれに似た者も送ってきただろうからな」
 ラモンの問いに返しながら、白刀は、まるでここには用がないと言いたげにすたすたと「目的地」へ向って歩を進めた。
 それに倣うように、他の面々も彼女の半歩分後ろを歩き……そして、ふいに天を見上げた。
 まるで、空から何者かがやってくるのを待っているかのような目で。
「ねえねえ、お兄さん達は間に合うと思う?」
「間に合わせるさ。あいつらは、自分達でも気付かぬうちに奇跡を起こすような連中だからな」
「そうだ。そしてそれこそが人間という生き物の『強み』でもある」
 ラモンの、ふと浮かんだ問いに、次狼とファミリアーリスはニヤリと笑みを浮かべて答え……しかし、互いに似たような考えを持っている事を気に入らないのか、グルルと低く唸ってはきつく睨みあう。
「……貴様に翔一達の『強み』が分るとは思えんがな、狼男」
「貴様こそ、ただ盲目的に同意しただけじゃないのか、犬」
「従順と言って欲しいな。と言っても、共存という手段を知らん貴様には言うだけ無駄か」
「俺は、俺の誇りと友情にかけて、音也や幸太郎を信頼している。ああ、誇りなど微塵もない犬に言っても無駄か」
 バチバチと、二人の間に火花が散る。
 そんな二人に、力が困惑したような表情を浮かべているのだが、止める気はないのだろう。うーむ、と唸った後、彼は先頭を歩く白刀に声をかけた。
「……止めないの、か?」
「止めた所ですぐに再開するだけだ」
「放置決定なんだ?」
「同族嫌悪をするような連中に構っていたら、日が暮れる」
『誰がこいつと同族だ!?』
 白刀の言葉が聞こえていたのか、二人は顔を白刀の方へ向けると、異口同音に叫ぶ。
 が、言われた方はそれを無視して、それまでと変わらぬ歩調で歩みを進める。
 それが更に癪に障るのか、二人は彼女の両脇を固めるように並ぶと、両脇でギャンギャンと怒鳴り続けた。
 が……やはり彼らの言葉を聞き流しながら。
 白刀は目的地……「東京タワー」へ向って歩くのであった。

 西暦一九八六年。
 暴れるギガンデスを前に、デンライナーの戦闘車両の一つであるイスルギに乗り込んだ翔一は、相手の撹乱を担当していた。
 戦闘車両とは言うが、この車両には幸太郎が操るゴウカや、ユウスケが向かったイカヅチ、天道が向かったレッコウのような、「これと言った武装」は存在していないのだ。
 強いて挙げるなら亀の形をした飛行メカであるレドームが武装と言えなくもないだろうが、「イスルギ自体が攻撃する」と言う訳ではない。本体で撹乱し、レドームで攻撃、というスタイルが主なのだろう。
「氷川さんが使っていたアレみたいに、なーんにも考えないで……って訳には行きませんよね」
 運転しながら、どこか緊張感の薄い声で呟く翔一。
 だが、実際の所は出している声ほど余裕がある訳ではない。
 ギガンデスの足元で戦う響鬼とテディ、そしてゆりの三人を巻き込まぬように運転しつつ、ギガンデスの攻撃をかわし、更には他の車両の攻撃の目くらまし役を買っているのだ。咄嗟の判断力と行動力、そして気遣いを必要とする、最も大変な車両に乗り込んだと言っても過言ではない。
 更に気にかかっているのは、何故か翔一の隣に立っている少年、ラモンの存在だ。
 彼が「人間ではない何者か」である事は分っているが、何分にも見た目は自身の友人である美杉太一と同年代。気を使ってしまうのは、彼の優しさ故であろう。
 その一方で、ラモンの方はその気遣いに気付いていないのか、翔一を見つめながら心底不思議そうに問いかけた。
「ねえねえ。どうして僕達を助けてくれたの? どうして僕達を助けてくれるの? 僕達は人間じゃないのにさ」
「え? うーん、そうだなぁ……」
 ギガンデスの攻撃をかわしつつ、ラモンの突然の問いについて考える。
 「人間でない事」は、翔一にとって助けない理由にはならない。だが、改めて問われると悩んでしまう。
 「皆の居場所を守る為」というのは「戦う理由」であって、「助ける理由」ではない気がする。勿論、理由の一つとして挙げられるのだが、どうにも翔一の中でしっくりと来ない。
 どうして、助けたいと……否、「助けなければ」と思ったのか。
 そう考えた瞬間、実にあっさりと翔一の中で答えが出た。いや、答えは最初から「そこ」にあった。それに気付かず、色々な理屈を捏ねていたから、見えなかっただけだ。
 それに気付くと、翔一はアギトという仮面の下でにっこりと笑い……
「生きてるから……じゃないかな」
「……え?」
「君は、精一杯生きてる。だから、助けたいって思った」
「それだけ?」
「『理由』って、理屈じゃないと思うんだ。答えは凄くシンプルなのに、わざわざ難しくしようとしてしまう。料理もそうだけど、ドレッシングやソースでゴテゴテ飾り付けすぎるよりも、シンプルに素材だけって時の方が、美味しかったりするでしょう?」
 精一杯の回避を見せながら、翔一はいつもと変わらぬ口調で言の葉を紡ぐ。
 それに、ラモンが何を思っているのかは分らない。ただじっと、興味深そうに翔一の顔を見つめ……そしてくすくすと笑いながら言葉を放つ。
「……そっか。生きてるからなんだ……」
「? 俺、おかしな事言ったかな?」
「ううん。それがお兄さんの答えなんでしょ?」
 そう言ったかと思うと、ラモンはその姿を「マーマン族のバッシャー」へと戻し……そしてくるりと踵を返すと、軽く翔一の方へ振り返って声をかけた。
「じゃあ、僕も助けるよ。お兄さんは生きてる……今、ここに存在しているから」
「へ?」
「だから……あの亀の形した機械で、一緒に撹乱してあげるね」
 そう言うと、彼はさっさとイスルギの後部に納まっているレドームへと飛び乗って撹乱に向かうのであった。
 一方、それをイカヅチに乗っていたユウスケと力が、驚きの表情でそれを見つめる。
 ユウスケは、「キバの世界」で出会った親衛隊の一人と同じ姿をしている事に。そして力は、彼が自ら危険に飛び込むような真似をした事に。
「援護、しないと」
「わかってる。……揺れるぞ!」
 力の言葉に、ユウスケは大きく頷いて光線による射撃を行なう。
 基本的にはレドームの上から高圧の水を放っているラモンへの援護射撃だが、援護ではない射撃も織り交ぜつつギガンデスの体を射抜く。
 普段バイクを駆る時とは勝手が違うが、それでも何とかなっているのは、友人と旅を続けて、様々な事を体験した結果だろうか。……その旅の中でも、バイクを使って電車を操縦するという経験はなかったが。
 そこまで考えて、ふとユウスケは力の顔を見上げる。
 彼の事をよく知っている訳ではない。むしろ何故彼がこの車両に乗り込んできたのか不思議なくらいだ。
 そんな事を思った瞬間、ギガンデスが大きく吼えたと同時に、纏わりつくイスルギとレドームを振り払うように体を捩った。
 イスルギもレドームもその直撃を免れた物の、生まれた風圧に押されたらしく、よろりとバランスを崩す。
 列車ですらそうなのだ。生身のままレドームに乗っているラモンが耐え切れる謂れはない。
「危ない!」
 吹き飛ばされる。そう思い、イカヅチで彼を拾うべくユウスケはハンドルをきつく握り直す。だが。
「行くな」
 低い声と共に、力の……否、「フランケン族のドッガ」の大きな手が、ユウスケの手の上に乗って、ハンドルを切ろうとするのを、己の怪力で止める。
 力の変化した姿と、彼がとった行動の両方に驚きつつ、ユウスケはぎょっと彼の顔を見上げると、怒鳴るような声を放った。
「何やってるんだよ!? 友達だろ!?」
「友達……違う」
「え?」
「ラモンは俺の、大事なつながり。だから、助けない」
 フルフルと首を横に振って、力は静かに言葉を紡ぐ。
 言いながらも、勝手にギガンデスに向って光線を浴びせている分、大柄でゆっくりとした印象を受ける見た目とは違って、抜け目なく、狡猾な性格なのかも知れない。
 そんな事を心の片隅で思いながら、ユウスケはクウガの仮面の下で怪訝その物の表情を浮かべて首を傾げる。
 大事なつながりだと言う割に、助けようとしない矛盾も、友達ではないと言いながら、大事だと口にしている理由も、ユウスケには理解し難い。
 失くしたくないつながりを持つ人。それを、友達というのだと思っているユウスケにしてみれば、力の言動は矛盾だらけだ。
「大事ならどうして見捨てるような事を……」
「見捨てるのも、違う。知ってるだけ」
「知ってる……?」
「ラモンは、種族の為に生き残る。俺も、同じ。だから分る。……ラモンは、自分が死ぬような危険は、しない」
 先程までと全く変わらぬ口調でそう言うと、力は強引にハンドルを切ってイカヅチをギガンデスに寄せて光線を放つ。
 その光線は、熱でギガンデスの角を焼き、光で目を灼いたらしい。焼き切られた角は地に落ちる寸前で細かな砂となって宙を舞い、光に眩んだ目はこちらを見失ったらしく、ギガンデスの悔しげな声が響いた。
 その隙に、先程吹き飛ばされたイスルギとレドームは体勢を立て直し、再びギガンデスを翻弄するように動き回った。それを見て、力の口から小さな安堵の溜息が漏れた。
 何だかんだ言いつつも、力は結局の所、ラモンを心配していたのだろう。そう思うと、ユウスケはくすりと小さく笑い……
「素直じゃないのか、それとも自分の気持ちにも気付いてないのか……俺の周りって、そういう奴ばかりなのかな?」
 常に不遜な態度を取る親友を思い出しながら、小さくそう呟いて、再度光線を放つのだった。
 そしてその光線に並ぶようにして、天道はレッコウを走らせ、先頭と両脇に設置された斧でギガンデスの胴を薙ぎ斬る。
 先程のイカヅチの一撃で目を灼かれたせいだろうか、ギガンデスはこちらに気付く様子もなく、ただ斬られるがままになっている。
 だが……
「硬いな」
「ああ。付ける事が出来ても、かすり傷程度だ」
 くるりと車両を転回させつつ、天道は隣で渋面を浮かべて呟いた音也に向って言葉を返す。運転している天道は勿論、ただ同乗しているだけの音也にも、ギガンデスの並々ならぬ硬度を実感する事が出来る。
 斧をぶつけた時の鈍い音や反動……そう言った物がダイレクトに伝わってくる。
 光線主体のイカヅチとは違い、レッコウの戦闘様式は接近戦の直接攻撃型。イクサやカブトも似たような戦闘スタイルなだけに、今回の敵が少々厄介な相手である事は、車体を通じて伝わる手応えからも感じられた。
 牛のような見目に反して、体の硬さは甲殻類の持つ外殻に近しい印象を受ける。全く傷をつけられない訳ではないが、致命傷には程遠い。
 イカヅチの光線で角を焼き切れたのを見る限り、熱には弱いのかも知れないが……生憎とそう言った武器は、こちらにはない。ただひたすら、レッコウの斧を使って小さな傷をつけていくしかなかった。
 ……とは言え。「天の道を往き、総てを司る男」と「紅蓮の炎で愛の音を奏でる者」という「我が道を真っ直ぐに突っ走る二人組」である。単純に傷をつけている訳がない。
 彼らは、探しているのだ。
 どんな生き物にも存在する、弱い部分……俗に言う「アキレスの踵」を。と同時に、自分達がつけた小さな傷は、地上で「足止め」を行なっている響鬼達にとって攻撃の的にもなる。
 いかに硬く、そして頑健な作りであったとしても、そこへ攻撃を集中させれば大きな痛手となる。レッコウは「列車」という巨体ゆえに「同じ部位をしつこく攻撃する」のには向いていないが、地上にいる彼らならば、威力は小さいだろうが小回りが利く分簡単に出来る。
 実際、こちらの意図は地上にいる三人にも伝わっているのだろう。小さくつけた傷をなぞるように、響鬼の音撃、テディの銃撃、そしてゆりの斬撃が続く。その度にギガンデスは苦しげに呻き、その場から離れようと体をくねらせる。
 だが、その進行方向へは、他の車両による威嚇射撃が放たれ、ギガンデスも思うようには進めない。小さなダメージが蓄積し、ギガンデス自体の動きも鈍ってきている。
 そして……レッコウの先頭にある巨大な「斧」が、最初に響鬼が焦がした足……奇しくもゆりがファンガイアスレイヤーで薙いだのと、全く同じ箇所を薙いだ瞬間。
 明らかに今までとは異なる手応えを感じたのと、ギガンデスの絶叫が響いたのは同時だった。
「ふっ。やはり、運命の女神は俺の側にいるらしい」
「俺が……いや、俺達が望めば、全て望む通りに事が動く」
 ふ、と二人は不敵に笑い、そして再びギガンデスの体を薙ぎ……
「ついて来れるなら、見逃すな」
「加速していく俺達の運命を!」
 天道、音也の順で言うと同時に、レッコウは加速し、ギガンデスの足を完全に切り落とした。
 足を失った事でバランスを崩し、ギガンデスの体がドスリと大きな音を立ててその場に倒れる。
 そしてそれを機と捕えた幸太郎は、トドメの集中砲火を浴びせにかかった。
「……分らんな」
「何が!?」
 いつの間に運転席に潜り込んでいたのか、次狼が幸太郎の後ろでポツリと呟きを落とす。
 そんな彼の方を振り返るでもなく、幸太郎はイスルギ、レッコウ、イカヅチと連結、全ての武装のコントロールを得ると、そのまま倒れたギガンデスに向ってフリーエネルギーをチャージして駆ける。
「お前が……いや、お前達人間が、そこまでして戦う理由が、だ。見ず知らずの他人を助け、それを守るような戦いをする事が、俺には理解出来ん」
「そんなの……決まってるだろ? それが俺に出来る、精一杯の事だからだ!」
 やはり、前を見たまま。だが声だけは次狼に向けるように幸太郎ははっきりと言葉を紡いだ。
 同時に、デンライナーが加速する。フリーエネルギーが何らかの要因で過剰になっているのか、その車体を金色に染めた。その姿は、まるで一条の矢のように見える。
「……誰かを犠牲にするなんて戦い方、俺には……俺達には出来ないって、それだけだから」
「性分、という奴か」
「かも知れない。少なくとも、ここに乗ってる連中は誰かを見捨てる事が出来ない、お人よしばっかりだ。……俺も、それから……あんたも含めて」
「……俺も、だと?」
「そうじゃなきゃ、力とラモン……だっけ? あいつらに『乗れ』なんて言わなかったはずだ」
 更にデンライナーを加速させながら言った幸太郎に、次狼は口元に軽い苦笑を浮かべる。
 力もラモンも、自分と置かれた境遇が似ているだけだ。だからつい手を差し伸べてしまう。お人好し、と言われるのは心外だ。
 そう思う反面、幸太郎の言葉に納得している自分もいる。いくら境遇が似ていても、所詮は異種族。助ける義務も義理もない。それなのに、助けてしまった。
 それはつまり、幸太郎の言うように……自分もまた、「お人好し」だからではないのか。そう考えると、いくつか心当たりもあるような気がして、次狼はくっ、と小さな笑い声をもらす。
 そもそも、この運転席に来てしまっている事自体が、自身が「お人好し」である証拠ではないのか。
 自身は知らん振りをして食堂車で待っていれば良いものを、そうはせずにここにいる。それは多分、心配だったからではないだろうか。
 自分の人生の十分の一にも満たない時間しか生きていない「人間」が、赤の他人である自分達の為に戦っているという事実が。
「そう……かも知れん」
 認めたくはないが、と小さく付け加えつつ、次狼は目の前でハンドルを握る青い戦士の横に並び立つ。
 自分がここに立ったからと言って、どうなる訳でもない。だがそれでも、並びたいと思った。
 それこそが、「今、自分に出来る事」だと思ったから。
「一気に貫くぞ」
「ああ。これで、終わりだ!」
 フリーエネルギーの矢と化したデンライナーが駆ける。その先にあるのは、転び、未だ動けぬギガンデスの口。
 そこからは怨嗟と憎悪のこもった咆哮が漏れ、更にその奥には、小さな……本当に小さな紫色の光が見えた。
「アレが、こいつの核だな」
 野性の勘か、次狼が呟く。そしてそれを聞いた幸太郎も黙って頷きを返した。
 幸太郎にも……いや、デンライナーに乗っている者達にも伝わったのだろう。あの光こそが、マーチヘアイマジンを「壊した」元凶だと言う事が。
「うおぉぉぉぉぉっ!」
 それは誰の口から漏れた気合の声か。
 デンライナーは真っ直ぐにその「核」をギガンデスの体ごと貫き……そして、宙にその身を現した瞬間。
 暴れていたギガンデスの体は、大量の砂となって消えたのであった。
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