デザート・キングダム
「次の人、入りたまえ!」
「やっほー」
「次の人、入りたまえ!」
「ちょっ、無視すんな!」
「姫君、此処が何処でどういった人が訪れる場所か分かっているのかね?」
「もっちろん!」
「言ってみたまえ」
「モスキーノ総合病院の心理カウンセラーのイシュマールが居るとこで悩みがある奴が来るとこ」
「正解だ。では帰りたまえ」
「何でよ!?」
「自分自身で言ったではないか。悩みがある奴が来るとこ、とね。君には悩みがないだろう?ああ、この言い方は間違いだね。例え君のように超ポジティブで考えなしだろうと些細な悩みや問題を抱いている事だろう。だがしかし!私の診察室を訪れる程の大きな悩みなどないだろう。という訳で、帰りたまえ」
「そういやあウンバラ来なかった?」
「私の話は無視か。まあいい。どうやら待ち患者は居ないようだから、次の患者が来るまでは姫の相手をしてあげようではないか。さて、先程の質問に答えよう。ウンバラ君は肉体を得た実感をレジェッタ君とヴィ君に叩き込まれていたよ。ああ、それからウンバラ君が何か言っていたな。肉体を得たと同時にフィルターが無くなったとか姫君の生着替えにドッキドキとか」
「はぁっ!?え、じゃあ今朝何か視線感じんなあって思ったら見られてたってわけ!!?ウンバラ後でぶん殴る」
「そうしたまえ」
「まあウンバラの事は置いといて」
「切替が早いな」
「シャロンの様子が最近おかしいんだけど何か知らない?」
「宰相殿が?先程この診察室を訪れたが、別段おかしなそぶりは見られなかったが。一体どうおかしいと言うのかね?」
「んー。シャロン、最近やたら私に甘かったり厳しかったりなんか口煩いっていうか。こないだも私がセラと部屋で話してたらシャロンが来てセラをいつも通り強制連行したんだけど、その後私のとこに来て『あまり異性を部屋に招くのは感心しない』って説教されたのよ」
「…それはまさかアレか?いやいやいやいやまさか宰相殿にかぎってそんなことはあるまい…とは言えないな。そうなると厄介だが敵が増えたと考えておくのが妥当か。となるとセラ君、宰相殿、ヴィ君、レジェッタ君、ウンバラ君か。手強い敵ができてしまったな」
「何ブツブツ言ってんの?」
「まあ宰相殿の事は気にしないでおきたまえ。それで、他に用はないのかね」
「ない!」
「そうか。なら帰りたまえ」
「え~。用がないとイシュマールに会いに来ちゃだめなの?」
「…それはどういう意図が…いや、何も考えてはいないのだろう。そうだそうに決まっているだから落ち着け私の心臓あんな台詞にときめいてどうする」
「またブツブツ言ってるし。で、来ちゃだめなの?だめならもう来ないけど」
「駄目とは言っていないだろう駄目とは」
「なら来ていいのね。よし!いい暇つぶし場所確保!」
「私の僅かな胸の高鳴りを返してくれ!」
「は?」
「いや何でもない」
「そ。んー、今日はもう帰ろっかな。じゃあまた来るね、イシュマール!」
「姫は本当に淡泊だな」
「そっかな?ま、いいじゃん」
「本当に淡泊過ぎるな」
「次来る時は何か悩み事抱えて来るから。じゃ!」
スタスタスタ
バタン
「それでは次は一生こないんじゃないのかね?」
翌日
「来ちゃった」
「早過ぎる!」
「何よー。いいじゃん別に」
「はあっ…まあいい。で、何をしに来たのかね姫君」
「ただイシュマールに会いたくなったから来ただけだよ?」
「君は何故そういった台詞を躊躇いもなく言えるのか甚だ疑問だよ」
「ホントの事を言うのに何で躊躇わなきゃいけないのよ」
「本当に少しは自分の台詞を鑑みて欲しいものだね」
「でさ、今日は相談したい事があるんだけど」
「私の忠告を聞きたまえ!」
「や、聞いたって実際出来ないと思うから。ああでも一応、何か言ってんな~くらいには耳に入ってきてるよ?」
「それは全くフォローになってない!!」
「あはは。で、相談ってのはまたシャロンの事なんだけど」
「笑って流すんじゃない!まったく、姫に常識的な会話を期待する私が愚かなのだろうか?まあいい、とりあえず姫の相談を聞こうじゃないか。さあ、話したまえ」
「うん。昨日シャロンがやたら口煩いって言ったのは当然覚えてるよね?」
「勿論だよ。一言一句間違えず復唱出来るが聞きたいかね?」
「や、覚えてんならいいから。でさ、今日ここに来る前に偶然シャロンに会ったんだけど、何か言いたそうにしてたのに言わなくてさ。気になって『どうしたの?』って聞いたんだけど『いや、それは私が口を出す事ではないからな。ただ、早くパレスに帰って来てくれ』って。いったい何なんだろ?イシュマールわかる?」
「ああ。一つ、よく分かったことがあるよ。…姫は相当鈍いな」
「どこがよ!それはあれか、よくわかんないけど鈍いの直せって言いたいのか?!」
「いや、その鈍さに私達(他の攻略対象者)は救われているのだからそのままの君でいてくれ」
「それは誉めてんの?貶してんの?」
「まあ、誉め言葉と思ってくれて構わないよ」
「そう。ならそう思っとくわ。で、シャロンのことはどうなの?」
「昨日も言ったが、宰相殿の事は気にしなくていいだろう」
「んー、でもさ、気になるんだけど」
「一切合切気にしなくていい!」
「(ビクッ)うい!」
「わかればいい。さて、今日は患者が少なく暇なようだから、ゆっくりしていきたまえ」
「え、いいの?」
「ああ、いいとも」
「でもシャロンに早く帰って来いって言われてるから帰るね。じゃ!」
タタタ
バタン
「……くっ!」
おまけ
「ただいま~!」
「!…おかえり姫君。もう少し遅いかと思っていたが、早かったな」
「だってシャロンが早く帰って来いっていったからさ」
「姫…」
「あ、シャロンが笑った!」
「え?」
「シャロン、たまにしか笑わないからレアなもん見れたなー。ラッキー」
「何だか不本意な言われ方だな。…まあ姫が喜ぶなら良しとしよう」
「私、シャロンの笑顔好きだよ!」
「…そう、か。なら、君の前では笑顔でいられるよう努力しよう」
「え、いいよ努力とかしなくて」
「…何故かな?」
「シャロンが笑ってなかったら、私が笑わせてあげるから!」
「姫…」
「やっほー」
「次の人、入りたまえ!」
「ちょっ、無視すんな!」
「姫君、此処が何処でどういった人が訪れる場所か分かっているのかね?」
「もっちろん!」
「言ってみたまえ」
「モスキーノ総合病院の心理カウンセラーのイシュマールが居るとこで悩みがある奴が来るとこ」
「正解だ。では帰りたまえ」
「何でよ!?」
「自分自身で言ったではないか。悩みがある奴が来るとこ、とね。君には悩みがないだろう?ああ、この言い方は間違いだね。例え君のように超ポジティブで考えなしだろうと些細な悩みや問題を抱いている事だろう。だがしかし!私の診察室を訪れる程の大きな悩みなどないだろう。という訳で、帰りたまえ」
「そういやあウンバラ来なかった?」
「私の話は無視か。まあいい。どうやら待ち患者は居ないようだから、次の患者が来るまでは姫の相手をしてあげようではないか。さて、先程の質問に答えよう。ウンバラ君は肉体を得た実感をレジェッタ君とヴィ君に叩き込まれていたよ。ああ、それからウンバラ君が何か言っていたな。肉体を得たと同時にフィルターが無くなったとか姫君の生着替えにドッキドキとか」
「はぁっ!?え、じゃあ今朝何か視線感じんなあって思ったら見られてたってわけ!!?ウンバラ後でぶん殴る」
「そうしたまえ」
「まあウンバラの事は置いといて」
「切替が早いな」
「シャロンの様子が最近おかしいんだけど何か知らない?」
「宰相殿が?先程この診察室を訪れたが、別段おかしなそぶりは見られなかったが。一体どうおかしいと言うのかね?」
「んー。シャロン、最近やたら私に甘かったり厳しかったりなんか口煩いっていうか。こないだも私がセラと部屋で話してたらシャロンが来てセラをいつも通り強制連行したんだけど、その後私のとこに来て『あまり異性を部屋に招くのは感心しない』って説教されたのよ」
「…それはまさかアレか?いやいやいやいやまさか宰相殿にかぎってそんなことはあるまい…とは言えないな。そうなると厄介だが敵が増えたと考えておくのが妥当か。となるとセラ君、宰相殿、ヴィ君、レジェッタ君、ウンバラ君か。手強い敵ができてしまったな」
「何ブツブツ言ってんの?」
「まあ宰相殿の事は気にしないでおきたまえ。それで、他に用はないのかね」
「ない!」
「そうか。なら帰りたまえ」
「え~。用がないとイシュマールに会いに来ちゃだめなの?」
「…それはどういう意図が…いや、何も考えてはいないのだろう。そうだそうに決まっているだから落ち着け私の心臓あんな台詞にときめいてどうする」
「またブツブツ言ってるし。で、来ちゃだめなの?だめならもう来ないけど」
「駄目とは言っていないだろう駄目とは」
「なら来ていいのね。よし!いい暇つぶし場所確保!」
「私の僅かな胸の高鳴りを返してくれ!」
「は?」
「いや何でもない」
「そ。んー、今日はもう帰ろっかな。じゃあまた来るね、イシュマール!」
「姫は本当に淡泊だな」
「そっかな?ま、いいじゃん」
「本当に淡泊過ぎるな」
「次来る時は何か悩み事抱えて来るから。じゃ!」
スタスタスタ
バタン
「それでは次は一生こないんじゃないのかね?」
翌日
「来ちゃった」
「早過ぎる!」
「何よー。いいじゃん別に」
「はあっ…まあいい。で、何をしに来たのかね姫君」
「ただイシュマールに会いたくなったから来ただけだよ?」
「君は何故そういった台詞を躊躇いもなく言えるのか甚だ疑問だよ」
「ホントの事を言うのに何で躊躇わなきゃいけないのよ」
「本当に少しは自分の台詞を鑑みて欲しいものだね」
「でさ、今日は相談したい事があるんだけど」
「私の忠告を聞きたまえ!」
「や、聞いたって実際出来ないと思うから。ああでも一応、何か言ってんな~くらいには耳に入ってきてるよ?」
「それは全くフォローになってない!!」
「あはは。で、相談ってのはまたシャロンの事なんだけど」
「笑って流すんじゃない!まったく、姫に常識的な会話を期待する私が愚かなのだろうか?まあいい、とりあえず姫の相談を聞こうじゃないか。さあ、話したまえ」
「うん。昨日シャロンがやたら口煩いって言ったのは当然覚えてるよね?」
「勿論だよ。一言一句間違えず復唱出来るが聞きたいかね?」
「や、覚えてんならいいから。でさ、今日ここに来る前に偶然シャロンに会ったんだけど、何か言いたそうにしてたのに言わなくてさ。気になって『どうしたの?』って聞いたんだけど『いや、それは私が口を出す事ではないからな。ただ、早くパレスに帰って来てくれ』って。いったい何なんだろ?イシュマールわかる?」
「ああ。一つ、よく分かったことがあるよ。…姫は相当鈍いな」
「どこがよ!それはあれか、よくわかんないけど鈍いの直せって言いたいのか?!」
「いや、その鈍さに私達(他の攻略対象者)は救われているのだからそのままの君でいてくれ」
「それは誉めてんの?貶してんの?」
「まあ、誉め言葉と思ってくれて構わないよ」
「そう。ならそう思っとくわ。で、シャロンのことはどうなの?」
「昨日も言ったが、宰相殿の事は気にしなくていいだろう」
「んー、でもさ、気になるんだけど」
「一切合切気にしなくていい!」
「(ビクッ)うい!」
「わかればいい。さて、今日は患者が少なく暇なようだから、ゆっくりしていきたまえ」
「え、いいの?」
「ああ、いいとも」
「でもシャロンに早く帰って来いって言われてるから帰るね。じゃ!」
タタタ
バタン
「……くっ!」
おまけ
「ただいま~!」
「!…おかえり姫君。もう少し遅いかと思っていたが、早かったな」
「だってシャロンが早く帰って来いっていったからさ」
「姫…」
「あ、シャロンが笑った!」
「え?」
「シャロン、たまにしか笑わないからレアなもん見れたなー。ラッキー」
「何だか不本意な言われ方だな。…まあ姫が喜ぶなら良しとしよう」
「私、シャロンの笑顔好きだよ!」
「…そう、か。なら、君の前では笑顔でいられるよう努力しよう」
「え、いいよ努力とかしなくて」
「…何故かな?」
「シャロンが笑ってなかったら、私が笑わせてあげるから!」
「姫…」