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FF7BC

■先輩のおしごと


『急いでヘリポートに来い』

静まり返る室内に響く短い着信音が、メッセージが届いたことを知らせる。
文面を確認して、勢いのまま席を立つ。
椅子がガタっと音を立てる。
最低限の装備を持って、エレベーターに飛び乗る。
銃のマガジンを確認しつつ、階数の表示に目をやる。
高速エレベーターは、すぐに目的の階に到着した。

ヘリポートへの扉を開けると同時だった。
ドンという衝撃と、眩い光。
目が眩まないように反射で顔を背けつつ、何事かと銃を構える。

と、頭にポンと被さるような重み。
よく知ったその重みに、おもわず深いため息をつく。
銃を下ろしながら、頭に乗せられた手の主を振り返る。

「レノさん…」
「ハッピーニューイヤー!」

響く炸裂音と色とりどりの光の中、ニヤニヤと笑う赤毛の先輩が言う。

何度この先輩の策に、こんな形でひっかかったろうか。
今年最後なのか今年最初なのか、思わず腕時計を確認する。

「今年もよろしくお願いします、レノさん」

時計は、0時を2分過ぎようとすることを示していた。

「花火独占、ですね」

次々と打ち上がる花火に、自然と目線が行く。

「タークスくらいしか来られない穴場だから、覚えとけよ、と」

これも新人教育の一環なんだと、神妙な面持ちで言うレノに、適当に相槌を打つ。
新人の信じていない様子を感じたのか、レノは少し肩をすくめる。
そんな先輩の様子がおかしくて、ふふっと笑いかけたところで、その足元にビニールの袋があることに気づく。

「飲むか?」

目線の先に気づいたのか、しゃがみこむ先輩。

「レノさん。職務中の飲酒は」
「ジュースだよ、と」

言葉を遮るように投げて寄越されたものを、受け止める。
手の中を確認すると、なるほどジュースの缶だ。

「すみません」
「今年もよろしくな、まじめちゃん」

謝る新人に、レノは頭をポンポンとしながら笑って答えた。








「…あの、ところでこれ炭酸飲料じゃないですか?」
「気をつけて開ければ大丈夫だぞ、と。多分な」



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