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FF7BC

◾︎日常


光が反射しないように注意しつつ、小さな手鏡を使って建物の中を盗み見る。
軍事学校で学んだ技術が、仕事に活きることを、少しだけうれしく思う。

偵察を終えて手鏡をしまい、少し離れたところで待機している赤髪の先輩を見る。

(敵、5、ライフル所持)

目を合わせて、ハンドシグナルで知らせると、先輩が頷く。

それに呼応して自分も頷いてから、手元の愛銃を握り直す。
マガジンをグリップの下から差し入れ、スライドを引いて撃鉄を起こす。
敵に悟られないように、静かに。

準備を終えて、もう一度先輩に目を向ける。
先輩は突入に備え、入り口に何か仕掛けがないかを確認している。

何もない、という仕草をする先輩にOKサインを送る。
銃のセーフティを、そっと外す。

先輩と目を合わせ、タイミングを計る。
入り口の扉を先輩が開けるのと同時に体を割り込ませ、引き金を引く。
人質はいないから気兼ねなく撃てるが、1つのマガジンに装填できる弾の数は、そう多くはない。
先程確認した、だいたいの敵の位置に銃口を向ける。

銃声が響いて、初弾が敵の1人に命中する。
突然のことに騒然となる室内に、先輩も突入する。
先輩は室内の左側から、自分は室内の右側から。

襲撃に気づいて動き出した敵を目視し、銃口を向けて引き金を素早く引く。
ダブルタップのタンタンという音が小気味よく響く。
最初に狙うのは足と腹部。
応戦する間もなく、倒れる敵。
そして、頭部に狙いを定めて引き金を引く。

敵の攻撃が、耳元をかすめる。
動じてはいけない。
無駄な動きはしない。
それは、自分の命が危険になることを意味する行為だから。

冷静に、訓練通りに。

「ほい完了、と」

おどけたその声に、ハッとする。
いつの間に交換したのか、足元に、空になったマガジンが落ちている。

「行くぞ、新人ちゃん」

頭をワシワシと撫でられる。
先輩は、最近よくこういうことをする。
そんなにこだわりもないのでヘアスタイルが崩れちゃうとまでは思わないが、身だしなみ程度には気にはなる。
鳥の巣みたいな頭でタークスだなんて、ちょっと格好悪いもの。
手櫛で、ささっと髪をなで付ける。

「レノさん、待ってください」

さっさと先に進む先輩の後に続く。

今日も残業にならないといいな。
早く帰って、銃のお手入れがしたいな。
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