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FF7BC

▪️大切なコ



「何ニヤニヤしてんだよ、と」
レノは、手元を見つめてニコニコしている新人に声をかける。

「おっと。これはなかなかアレだな。長いお付き合いってやつか?」

手の中に収まるものを見て、レノは大げさにおどけて言う。

「そうですね。軍事学校に入ってすぐくらいからのお付き合いです」
「ふーん。旧知の仲ってやつか」
「消耗品だからといろいろ乗り換えてた時期もあるんですが…このコは、イイコです」

ふふっ、と小首を傾げて笑う新人。
その仕草で、金色の髪がサラリと揺れる。
その様子が思いがけず艶っぽく見えて、レノは思わず頬を掻く。

「あー…なんていうかさ、ゴツすぎないか?
女子はもっと華奢な方が好きなんじゃないのかよ?」
「細身なのは…かわいいな?とは、思います」
「じゃあ、乗り換えたらいいじゃないかよ、と」

レノの言葉に、新人は少し考えて答える。

「火傷しちゃうので」
「なるほどな」
「それに、このコは…」

神羅軍事学校に入って、すぐのこと。
妹がおこづかいをためて、プレゼントしてくれた。
耐衝撃性や防水性はもちろん、気温が高くても火傷をしないようになどリサーチを重ねこだわって選んでいたと、軍事学校の教官である父からこっそり教えてもらった。

「だから、とても大切なコなんです」

乗り換えるなんてできません。
そう言いながら、新人は手の中のその時計を撫でた。
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