うる星やつら
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「あんた結局いつラムちゃんに告白するの?」
ボキリと嫌な音がした。カフェオレを一口含んで飲み込んだ後にポツリと呟いたその言葉は、どうやらメガネに大分効いたらしい。後ろ姿しか見えないが、無惨な姿になった鉛筆が床を転がっているからだ。
「なっ………なっ………なぁっ………!!!!」
「わぁお。言葉を失うほど効いちゃった?」
「何を抜かしとんじゃ己はーーーーっっ!!!!!!!!」
わーっ!!!!と飛沫を飛ばしながら叫ばれてしまい、壁に後退りしながら縮こまってしまう。私が驚きに表情を固めている一方、メガネはゼー、ゼー、と肩で息をしていた。
「………ビックリしたぁ。怒鳴ることないじゃない」
「なぁにが『怒鳴ることないじゃない』だこのバカ女!!!!」
わざとらしく私の真似までしながら激昴するメガネをどうどう、と抑えてみるが逆効果だったらしく、手を振り払われた。
「いいか!!俺のラムさんに向けるこの熱い思いは、さながら天を貫く光のように果てがなく、未だ確定されることの無い銀河イチを誇る惑星よりも巨大なものなのだ!!」
「だからその思いをラムちゃんに伝えたら……」
「ちがぁぁぁぁう!!!!!!」
こいつ血管切れるんじゃなかろうか、と思うような甲高い声で叫びながら、メガネはなお続ける。
「この思いをラムさんにぶつけることは容易い…今この場で逆立ちをするよりも容易いものだ。だがしかし!!俺のこの強い愛はラムさんを必ず困らせてしまう!!」
「…諸星くんがいるから?」
「そ〜〜ぅ!!!!ラムさんは…実に…実に不快かつ天地がひっくりかえっても認めたくはないが……あたるのことを愛しておる………そんなラムさんにこの高ぶる想いをぶつけようとも、きっと彼女の心に重石が如くのしかかるのみで、応えてもらうことは出来んだろう……」
大粒の涙を流し、ぐっと握った手を空高く翳しながら、メガネは大変な演説を終えるかのように一礼をした。相変わらず言い回しは古臭く面倒くさかったが言いたいことはよく分かった。メガネはラムちゃんの諸星くんへの愛は本物だと認めているということだ。そして自分の愛はラムちゃんに届くことは無い、ということも。
「じゃあラムちゃんが諸星くんに愛想つかしたら?」
「告白する」
冷静に呟くようにそう言われ、思わずずっこけてしまった。
「あ、あっそう………ハッキリしてるわねあんた……」
体勢を直しながら呆れ声でそう言うと、メガネはじっ…とこちらを見つめてきた。
「お前はどうなのだ」
「は?」
「好きな男の一人や二人おらんのか?うちのクラスならほれ、面堂とか」
「……あんたって男はもう…」
よりによってお前がそれを聞くのか、と頭を抱えてしまう。あれ?この男私のことで嫉妬してなかったっけ?夢だった?
「…仮に私が面堂くんのことが好きで、告白OKされたらあんたどうすんの?」
「ハッ、笑わせるな。あの面堂がお前を見初める訳がなかろう」
「仮にって言ってるでしょ!!…どうなのよ」
そう聞くとメガネは目を瞬かせたあと、うーむと考え込んだ。
「面堂とお前が…つまり街にデートに行ったり、家でいちゃついたり、学校でこれみよがしに接吻をしたりするということか……?」
「いや、うん……そこまではしないけど絶対……」
「そんな…………そんなこと………」
指折り数えながら行き過ぎた妄想を呟いていたかと思うと、また身震いをしだした。そろそろ鼓膜が破れそうなので、耳に人差し指を入れる。
「そんなことさせるものかぁーーっっっ!!!!なまえの純潔は渡さーーーん!!!!」
「あんたは私のなんなんだ一体!!!!!」
流石に純潔だのなんだのと言われたので言い返してしまった。しかしメガネは私を無視して「おのれ面堂……!!許さァん!!!!あんなボンボン野郎には何があろうと渡さん!成敗しちゃる!!」などと喚き続けている。
「……言っときますけどね、あんたに私の彼氏どうこうを決める権利なんてないんだからね」
「そんな事は分かっとるわだァほ。ただ俺が気に食わんという話だ」
「余計悪いわ!!!!」
どうしてこの男はこう…変な所への思い切りが良いのだろうか。最早私の親かのように面堂への憎しみを燃やしているあたり、脈があるんだかないんだか分からない。まあ私はメガネのことなんてどうでもいいのだが。
「ふむ……そうだな」
「?」
散々喚いたかと思うと突然静かになるので拍子抜けしてしまう。メガネは何やら真剣な顔になると、私の方へ向き直り言い放った。
「いいか、俺のラムさんへの愛は揺るがん不動のものだ」
「さっき聞いたわよ」
「お前に向けるこの想いは、ラムさんへの愛とは違う。だが好意だ。ありがたく受けとっておけ」
あまりにも突然すぎる一言に、私はアホみたいに口をポカンと開けて固まった。「ありがたく受けとっておけ」?一体何様のつもりなのだろうか。
「……ああそう。でも私の好意が必ずしもあんたに向くわけじゃないからね?」
「なんっ…………!?」
「当たり前でしょ?好意は絶対に返さなきゃいけないものじゃないもの」
鼻を鳴らして言い切ると、最初は歯ぎしりをしていたメガネだったが、すぐに眉間のシワを緩め、ニヤリと不敵に笑った。それを見て少しゾクリとする。まるで狩人が獲物を見つけたかのような目付きだったからだ。
「………ふ、構わん。このメガネ、人様…ましてや女からの好意をねだるほど落ちぶれてはおらん!必ずやお前の好意を俺に向けさせてやる」
「………どうだか」
「そして今年のバレンタインはチョコレート0個という非常に屈辱的かつ敗北的な想いをせずにすむのだぁー!!ぶあっはっはっはっ!!!!!!」
突然高笑いをしたメガネに私は心底呆れてしまった。バレンタインだろうとなんだろうと、あんたみたいなラムちゃんオタクに対する好意なんて無に等しいわよ、と心の中で呟いて、その言葉回しがなんだかメガネに毒されている気がした私は、苦虫を噛み潰したような顔をする他無かった。
ボキリと嫌な音がした。カフェオレを一口含んで飲み込んだ後にポツリと呟いたその言葉は、どうやらメガネに大分効いたらしい。後ろ姿しか見えないが、無惨な姿になった鉛筆が床を転がっているからだ。
「なっ………なっ………なぁっ………!!!!」
「わぁお。言葉を失うほど効いちゃった?」
「何を抜かしとんじゃ己はーーーーっっ!!!!!!!!」
わーっ!!!!と飛沫を飛ばしながら叫ばれてしまい、壁に後退りしながら縮こまってしまう。私が驚きに表情を固めている一方、メガネはゼー、ゼー、と肩で息をしていた。
「………ビックリしたぁ。怒鳴ることないじゃない」
「なぁにが『怒鳴ることないじゃない』だこのバカ女!!!!」
わざとらしく私の真似までしながら激昴するメガネをどうどう、と抑えてみるが逆効果だったらしく、手を振り払われた。
「いいか!!俺のラムさんに向けるこの熱い思いは、さながら天を貫く光のように果てがなく、未だ確定されることの無い銀河イチを誇る惑星よりも巨大なものなのだ!!」
「だからその思いをラムちゃんに伝えたら……」
「ちがぁぁぁぁう!!!!!!」
こいつ血管切れるんじゃなかろうか、と思うような甲高い声で叫びながら、メガネはなお続ける。
「この思いをラムさんにぶつけることは容易い…今この場で逆立ちをするよりも容易いものだ。だがしかし!!俺のこの強い愛はラムさんを必ず困らせてしまう!!」
「…諸星くんがいるから?」
「そ〜〜ぅ!!!!ラムさんは…実に…実に不快かつ天地がひっくりかえっても認めたくはないが……あたるのことを愛しておる………そんなラムさんにこの高ぶる想いをぶつけようとも、きっと彼女の心に重石が如くのしかかるのみで、応えてもらうことは出来んだろう……」
大粒の涙を流し、ぐっと握った手を空高く翳しながら、メガネは大変な演説を終えるかのように一礼をした。相変わらず言い回しは古臭く面倒くさかったが言いたいことはよく分かった。メガネはラムちゃんの諸星くんへの愛は本物だと認めているということだ。そして自分の愛はラムちゃんに届くことは無い、ということも。
「じゃあラムちゃんが諸星くんに愛想つかしたら?」
「告白する」
冷静に呟くようにそう言われ、思わずずっこけてしまった。
「あ、あっそう………ハッキリしてるわねあんた……」
体勢を直しながら呆れ声でそう言うと、メガネはじっ…とこちらを見つめてきた。
「お前はどうなのだ」
「は?」
「好きな男の一人や二人おらんのか?うちのクラスならほれ、面堂とか」
「……あんたって男はもう…」
よりによってお前がそれを聞くのか、と頭を抱えてしまう。あれ?この男私のことで嫉妬してなかったっけ?夢だった?
「…仮に私が面堂くんのことが好きで、告白OKされたらあんたどうすんの?」
「ハッ、笑わせるな。あの面堂がお前を見初める訳がなかろう」
「仮にって言ってるでしょ!!…どうなのよ」
そう聞くとメガネは目を瞬かせたあと、うーむと考え込んだ。
「面堂とお前が…つまり街にデートに行ったり、家でいちゃついたり、学校でこれみよがしに接吻をしたりするということか……?」
「いや、うん……そこまではしないけど絶対……」
「そんな…………そんなこと………」
指折り数えながら行き過ぎた妄想を呟いていたかと思うと、また身震いをしだした。そろそろ鼓膜が破れそうなので、耳に人差し指を入れる。
「そんなことさせるものかぁーーっっっ!!!!なまえの純潔は渡さーーーん!!!!」
「あんたは私のなんなんだ一体!!!!!」
流石に純潔だのなんだのと言われたので言い返してしまった。しかしメガネは私を無視して「おのれ面堂……!!許さァん!!!!あんなボンボン野郎には何があろうと渡さん!成敗しちゃる!!」などと喚き続けている。
「……言っときますけどね、あんたに私の彼氏どうこうを決める権利なんてないんだからね」
「そんな事は分かっとるわだァほ。ただ俺が気に食わんという話だ」
「余計悪いわ!!!!」
どうしてこの男はこう…変な所への思い切りが良いのだろうか。最早私の親かのように面堂への憎しみを燃やしているあたり、脈があるんだかないんだか分からない。まあ私はメガネのことなんてどうでもいいのだが。
「ふむ……そうだな」
「?」
散々喚いたかと思うと突然静かになるので拍子抜けしてしまう。メガネは何やら真剣な顔になると、私の方へ向き直り言い放った。
「いいか、俺のラムさんへの愛は揺るがん不動のものだ」
「さっき聞いたわよ」
「お前に向けるこの想いは、ラムさんへの愛とは違う。だが好意だ。ありがたく受けとっておけ」
あまりにも突然すぎる一言に、私はアホみたいに口をポカンと開けて固まった。「ありがたく受けとっておけ」?一体何様のつもりなのだろうか。
「……ああそう。でも私の好意が必ずしもあんたに向くわけじゃないからね?」
「なんっ…………!?」
「当たり前でしょ?好意は絶対に返さなきゃいけないものじゃないもの」
鼻を鳴らして言い切ると、最初は歯ぎしりをしていたメガネだったが、すぐに眉間のシワを緩め、ニヤリと不敵に笑った。それを見て少しゾクリとする。まるで狩人が獲物を見つけたかのような目付きだったからだ。
「………ふ、構わん。このメガネ、人様…ましてや女からの好意をねだるほど落ちぶれてはおらん!必ずやお前の好意を俺に向けさせてやる」
「………どうだか」
「そして今年のバレンタインはチョコレート0個という非常に屈辱的かつ敗北的な想いをせずにすむのだぁー!!ぶあっはっはっはっ!!!!!!」
突然高笑いをしたメガネに私は心底呆れてしまった。バレンタインだろうとなんだろうと、あんたみたいなラムちゃんオタクに対する好意なんて無に等しいわよ、と心の中で呟いて、その言葉回しがなんだかメガネに毒されている気がした私は、苦虫を噛み潰したような顔をする他無かった。