うる星やつら
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男の子ってどうしてあんなに馬鹿なのかしらね、とごちたしのぶを横目に、私はお弁当の卵焼きを口に含んだ。頬杖をつくしのぶが見ているのは、竜之介くんや女の子たちにデレデレする諸星くんと、それに激怒するラムちゃん、そして「ラムさんというものがありながらお前は…!」と掴みかかる面堂くんとラム親衛隊たち、といういつも通りの日常風景だ。
「諸星くんの守備範囲って広いよね」
しのぶからの質問を全く無視してそう言うと、しのぶは私は睨みつけた。
「ちょっと、私の話聞いてる?」
「聞いてる聞いてる。諸星くんのことが気になるって話でしょ?」
「全っっっ然ちがぁう!!」
しのぶは激昴して机を思い切り叩いているが、私からすれば未練タラタラの元カノにしか見えないのだ。仕方がない。
「あたるくんにはもう幻滅したの!なんとも思ってないわよ」
「ふーーん」
「あんたホントに分かってるんでしょうね…?」
ついにバキバキととんでもない音をたてて箸を折り始めてしまったので、焦った私は何度も頷く。キレたしのぶには逆らわないが吉だ。
「で、でもしのぶが幻滅するのも分かるわ。諸星くんったら私にまでナンパしてきたのよ?」
何となく話題を変えたかったが特に思いつかなかったので、身の上ばなしをしてみる。すると食い付いたのはしのぶではなく、たまたま近い場所にいたメガネだった。
「なぁにぃ!?おい、あたる!!どういう事だ貴様!!なまえにまで手を出したのか!?」
「え?なまえちゃん?あ、なまえちゃんだ〜!こっち来て一緒にお喋りしようよ〜、あ、しのぶも!」
「なんで私がついで扱いなのよ……!」
傍観していたはずなのにいつの間にか巻き込まれていた。これが諸星くんの凄いところだなぁなんて呑気に考えながら、ついで扱いされて今にも暴れそうなしのぶをどうどう、と抑える。
「悪いけどお断り。私を巻き込まないでよね諸星くん」
「あ〜んつれなぁい!でもそんななまえちゃんも好・き♡」
「ダ〜リン〜!?!?」
「諸星ぃ〜!!」
ハートマークを撒き散らしながら言う諸星くんにラムちゃんも周りも大激怒だ。ようやるわ…と思いながら、私は唐揚げを口に入れた。
その日の帰り。四人で喋りながら帰路に着こうとしていると、後ろから現れたメガネに「おい」と声を掛けられた。他の仲間たちは随分と後ろを歩いているようだ。
「お前ら、なまえ借りてくぞ」
「えっ、ちょっと何…!?」
有無を言わさず腕を引かれ、私は早足のメガネに引っ張られるようにして歩く羽目になった。
「ちょっ…と!離してよ!」
「おお、悪い」
さっきまで何やら思い詰めたような顔をしていたくせに、ケロッとした声でそう言われ腕を離された。一体なんだというのだろうか。
「お前、あたるにちょっかい掛けられたのだろう?」
「え?……うん」
「何をされたんじゃ」
「何って………なんでそんなことアンタに教えなきゃいけないのよ」
せっかくみんなで楽しく喋っていたのを邪魔されたのも相まって、つい冷たく接してしまった。するとメガネは何やら苛立ちを顕にしており、「いいから教えろ」と脅迫めいた言い方で聞いてきた。
「…………お茶にいかないかってあんみつ屋に引っ張られそうになっただけよ。すぐ振り払ったしラムちゃんがお仕置きに来たから、そこで終わり」
渋々答えると、メガネはふぅむ…と一考してから「本当にそれだけだな?」と聞いてきた。
「それだけよ!大体なんであんたにそんなこと教えなきゃなんないの!?」
「何を言う!俺とお前の仲だろうが!」
「仲って何よ!前に一緒の委員しただけでしょ!?」
そう、前にたまたま一緒の委員になってそこから話すようになった。メガネとはそれだけの仲の筈だ。
「だけとはなんだだけとは!いいか、この高校時代における委員会という枠組みの中で男女が組まされるというのはだな、男女間の隔たりを無くすのが最もながら共に同じことに取り組むことによって芽生える一体感、食い違う意見から生まれる衝突、学校の為にと努力できる心、それらを学ぶことによって我らは同じ学び舎の学童なのだということを…」
「はいはいはいもういいよご高説は!つまり何が言いたいのよ!」
ベラベラとメガネお得意のご高説が始まってしまったので無理矢理遮ると、「お前は少しは黙って話しを聞けんのか!」と怒り出した、が、私は全く動じずメガネをジト目で見つめる。暫くすると口を閉じたあとムズムズと動かしながら、ボソリと先程とは比べ物にならないほど小さな声で言った。
「……お前があたると共にいるのが気に食わん」
「…はい?」
「いいやあたるだけではない!面堂も、他の男もお前と談笑しておる姿が目に入るだけで……もぉ〜堪らん!苛立ちが溢れてくる!」
「………………」
「お前がそいつに向けて微笑みかけた時など、身体中がゾワゾワしてとんでもない不快感だった!どうしてくれるんじゃ!!」
「…いや知らないけど…」
まさかの答えに私は唖然としてしまう。だって、それって多分…そういう事だ。でもそんな、有り得ない…と思わずかぶりを振る。だってメガネはラムちゃん親衛隊で、その中でも特にラムちゃんに心酔してるんだから。
「あのさぁ…それってつまり、他の男子に嫉妬したってこと?」
頼まれてもいないのにペラペラとその時の心情をしゃべり続けるメガネにおずおずとそう聞いた。するとどうだろうか。ピタリと喋ることをやめ、開いた口が塞がらないというように驚いた顔で私を見てきた。
「…………んなっ………なにをぉ〜〜!?!?ラムさんならいざ知らず、何故俺がお前の事で嫉妬せねばならんのだ!!」
「だってさっきの話しってそういう意味じゃないの?」
「断じてちがぁう!俺が不快感を感じたのはお前が八方美人が如く辺りに笑顔を振り撒いとるからで…!」
「別に八方美人にしてるつもりはないけど…まあ確かにメガネの前で笑うことはあんまり無かったかもね」
「なん………なん………!!」
はくはくと口を開閉しながら、メガネは両手で胸を抱えている。表情豊かだなぁなんて呑気に考えつつ、もうこれ以上話しても意味は無いだろうと振り返ってしのぶ達の元へ帰ろうとした。
「待て!!」
ガシリと音がするほど強く腕を掴まれ、足が止まる。なんなのもう!とメガネを見ると、見たこともないほど真っ赤な顔をして、眉をひくつかせ、汗を流していた。
「…やはり、嫉妬…だったのかもしれん」
「…だから?」
「…………」
黙りこくったメガネは何やら深呼吸をした後、意を決したように言った
「俺以外の男に、気安く笑顔を向けるな」
「…………………」
彼氏でもあるまいし、信じられない!と一喝出来そうな発言。だが私はそれを切り捨てることが、なぜか出来なかった。
「………でもアンタ、ラムちゃんが好きなんでしょ?」
「当たり前だ!ラムさんは俺の心のオアシス!無くてはならない存在!」
「じゃあ私なんてどうでもいいじゃない」
「良くない!お前も無くてはならん存在だ!!」
まさか言い切られるとは思っておらず、私の頬にも羞恥の熱が灯る。心の奥底がムズムズする。なんでメガネなんかにこんな感情を抱かなくてはいけないんだ?
「……あ、そ。考えておいてあげるわ」
「あ、ま、待て!なまえ」
恥ずかしさから逃げ出したくなってしまい、メガネの手を振り切って私はしのぶ達の所へ戻った。
「おかえりなさい、なまえ。…アラ?あんた顔赤いわよ?」
「……走ったからよ」
次の日から、メガネに話しかけに行くようになったのは、また別のお話。
「諸星くんの守備範囲って広いよね」
しのぶからの質問を全く無視してそう言うと、しのぶは私は睨みつけた。
「ちょっと、私の話聞いてる?」
「聞いてる聞いてる。諸星くんのことが気になるって話でしょ?」
「全っっっ然ちがぁう!!」
しのぶは激昴して机を思い切り叩いているが、私からすれば未練タラタラの元カノにしか見えないのだ。仕方がない。
「あたるくんにはもう幻滅したの!なんとも思ってないわよ」
「ふーーん」
「あんたホントに分かってるんでしょうね…?」
ついにバキバキととんでもない音をたてて箸を折り始めてしまったので、焦った私は何度も頷く。キレたしのぶには逆らわないが吉だ。
「で、でもしのぶが幻滅するのも分かるわ。諸星くんったら私にまでナンパしてきたのよ?」
何となく話題を変えたかったが特に思いつかなかったので、身の上ばなしをしてみる。すると食い付いたのはしのぶではなく、たまたま近い場所にいたメガネだった。
「なぁにぃ!?おい、あたる!!どういう事だ貴様!!なまえにまで手を出したのか!?」
「え?なまえちゃん?あ、なまえちゃんだ〜!こっち来て一緒にお喋りしようよ〜、あ、しのぶも!」
「なんで私がついで扱いなのよ……!」
傍観していたはずなのにいつの間にか巻き込まれていた。これが諸星くんの凄いところだなぁなんて呑気に考えながら、ついで扱いされて今にも暴れそうなしのぶをどうどう、と抑える。
「悪いけどお断り。私を巻き込まないでよね諸星くん」
「あ〜んつれなぁい!でもそんななまえちゃんも好・き♡」
「ダ〜リン〜!?!?」
「諸星ぃ〜!!」
ハートマークを撒き散らしながら言う諸星くんにラムちゃんも周りも大激怒だ。ようやるわ…と思いながら、私は唐揚げを口に入れた。
その日の帰り。四人で喋りながら帰路に着こうとしていると、後ろから現れたメガネに「おい」と声を掛けられた。他の仲間たちは随分と後ろを歩いているようだ。
「お前ら、なまえ借りてくぞ」
「えっ、ちょっと何…!?」
有無を言わさず腕を引かれ、私は早足のメガネに引っ張られるようにして歩く羽目になった。
「ちょっ…と!離してよ!」
「おお、悪い」
さっきまで何やら思い詰めたような顔をしていたくせに、ケロッとした声でそう言われ腕を離された。一体なんだというのだろうか。
「お前、あたるにちょっかい掛けられたのだろう?」
「え?……うん」
「何をされたんじゃ」
「何って………なんでそんなことアンタに教えなきゃいけないのよ」
せっかくみんなで楽しく喋っていたのを邪魔されたのも相まって、つい冷たく接してしまった。するとメガネは何やら苛立ちを顕にしており、「いいから教えろ」と脅迫めいた言い方で聞いてきた。
「…………お茶にいかないかってあんみつ屋に引っ張られそうになっただけよ。すぐ振り払ったしラムちゃんがお仕置きに来たから、そこで終わり」
渋々答えると、メガネはふぅむ…と一考してから「本当にそれだけだな?」と聞いてきた。
「それだけよ!大体なんであんたにそんなこと教えなきゃなんないの!?」
「何を言う!俺とお前の仲だろうが!」
「仲って何よ!前に一緒の委員しただけでしょ!?」
そう、前にたまたま一緒の委員になってそこから話すようになった。メガネとはそれだけの仲の筈だ。
「だけとはなんだだけとは!いいか、この高校時代における委員会という枠組みの中で男女が組まされるというのはだな、男女間の隔たりを無くすのが最もながら共に同じことに取り組むことによって芽生える一体感、食い違う意見から生まれる衝突、学校の為にと努力できる心、それらを学ぶことによって我らは同じ学び舎の学童なのだということを…」
「はいはいはいもういいよご高説は!つまり何が言いたいのよ!」
ベラベラとメガネお得意のご高説が始まってしまったので無理矢理遮ると、「お前は少しは黙って話しを聞けんのか!」と怒り出した、が、私は全く動じずメガネをジト目で見つめる。暫くすると口を閉じたあとムズムズと動かしながら、ボソリと先程とは比べ物にならないほど小さな声で言った。
「……お前があたると共にいるのが気に食わん」
「…はい?」
「いいやあたるだけではない!面堂も、他の男もお前と談笑しておる姿が目に入るだけで……もぉ〜堪らん!苛立ちが溢れてくる!」
「………………」
「お前がそいつに向けて微笑みかけた時など、身体中がゾワゾワしてとんでもない不快感だった!どうしてくれるんじゃ!!」
「…いや知らないけど…」
まさかの答えに私は唖然としてしまう。だって、それって多分…そういう事だ。でもそんな、有り得ない…と思わずかぶりを振る。だってメガネはラムちゃん親衛隊で、その中でも特にラムちゃんに心酔してるんだから。
「あのさぁ…それってつまり、他の男子に嫉妬したってこと?」
頼まれてもいないのにペラペラとその時の心情をしゃべり続けるメガネにおずおずとそう聞いた。するとどうだろうか。ピタリと喋ることをやめ、開いた口が塞がらないというように驚いた顔で私を見てきた。
「…………んなっ………なにをぉ〜〜!?!?ラムさんならいざ知らず、何故俺がお前の事で嫉妬せねばならんのだ!!」
「だってさっきの話しってそういう意味じゃないの?」
「断じてちがぁう!俺が不快感を感じたのはお前が八方美人が如く辺りに笑顔を振り撒いとるからで…!」
「別に八方美人にしてるつもりはないけど…まあ確かにメガネの前で笑うことはあんまり無かったかもね」
「なん………なん………!!」
はくはくと口を開閉しながら、メガネは両手で胸を抱えている。表情豊かだなぁなんて呑気に考えつつ、もうこれ以上話しても意味は無いだろうと振り返ってしのぶ達の元へ帰ろうとした。
「待て!!」
ガシリと音がするほど強く腕を掴まれ、足が止まる。なんなのもう!とメガネを見ると、見たこともないほど真っ赤な顔をして、眉をひくつかせ、汗を流していた。
「…やはり、嫉妬…だったのかもしれん」
「…だから?」
「…………」
黙りこくったメガネは何やら深呼吸をした後、意を決したように言った
「俺以外の男に、気安く笑顔を向けるな」
「…………………」
彼氏でもあるまいし、信じられない!と一喝出来そうな発言。だが私はそれを切り捨てることが、なぜか出来なかった。
「………でもアンタ、ラムちゃんが好きなんでしょ?」
「当たり前だ!ラムさんは俺の心のオアシス!無くてはならない存在!」
「じゃあ私なんてどうでもいいじゃない」
「良くない!お前も無くてはならん存在だ!!」
まさか言い切られるとは思っておらず、私の頬にも羞恥の熱が灯る。心の奥底がムズムズする。なんでメガネなんかにこんな感情を抱かなくてはいけないんだ?
「……あ、そ。考えておいてあげるわ」
「あ、ま、待て!なまえ」
恥ずかしさから逃げ出したくなってしまい、メガネの手を振り切って私はしのぶ達の所へ戻った。
「おかえりなさい、なまえ。…アラ?あんた顔赤いわよ?」
「……走ったからよ」
次の日から、メガネに話しかけに行くようになったのは、また別のお話。
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