このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

ぐんじんかぞく。

ベッドにすがりついて、ぴいぴいと泣く子供。シーツに顔をうずめてしゃくり上げるたび、癖のある茶色の髪がゆれる。
起き上がったコロネロはちいさく息を吐いて、子供の頭に手を置いた。
「……ツナ」
名を、愛称で呼ばれた綱吉は相変わらず泣き続けている。
「これ位で泣くんじゃねえ、コラ」
くしゃくしゃと髪を撫でると、ようやく綱吉は顔を上げる。泣き腫らした琥珀色の目が、コロネロを不安そうに見上げた。
「……おとーさん…」
大きな瞳から、ぽろぽろと涙がこぼれる。コロネロは呆れたように笑い掛け、その雫を指で拭った。
「…おとーさん、しんじゃやだ……っ」
「んな簡単に俺が死ぬわけねえだろコラ」
こん、とコロネロにしてはかなり控えめに叩く――もはや撫でるに等しい――すると綱吉は目じりに新たな涙を浮かべて頷いた。
「うん…」
「ラルが帰ってくるまでリボーンとこに居ろ、いいな?」
「…………えー」
「それとも一人でうちに帰るか?」
「……うー、わかった。でもあしたもおみまいきていい?」
「ああ、でもリボーンに連れてきてもらえ、いいかコラ」
綱吉はすこしむくれているが、話はまとまったらしい。
少し離れた場所で、黙って二人の会話を見ていたリボーンは短く嘆息して綱吉を抱き上げた。
「馬鹿が、ツナ泣かしたくないなら最初からヘマすんじゃねえ、」
「……分かってるぞコラ」
旧友の厳しい言葉に眉をしかめたコロネロはふと思い出して聞いた。
現在門外顧問の任務で出張中の、綱吉の母親は――
「ラルには連絡したのか?」
「ああ、三日で終わらせてくるってほざいてたぞ」
「早くて後五日かかるんじゃねえのかコラ」
むりじゃねえの、それ。
思わずコロネロは突っ込んだ。軍務ならまだどうにかなりそうな気もするが、ボンゴレの任務でそれは可能なのか。
出かける前に聞いていた予定を指折り数えて聞くと、リボーンはにやりと笑って一言。
「ツナが応援したからおかーさんは頑張るそーだ」
親馬鹿はどっちもだ、と。暗に言われたようだった。
「…………三日か」
「だな」
長いような、短いような時間。
リボーンに預けるのは幾分癪に障る気もするが、綱吉の護衛ということも考えれば彼が適任だった。
「いい子にしてんだぞコラ」
「うん、またあしたね、おとーさん」
やはり子供は、相変わらず泣きそうな顔で手を振った。

8/25ページ
スキ