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Ciao,il mio iride

またレオンが脱走した。
いつの間に来たの。思わず聞いてしまったツナは、勿論返答しないレオンの背を撫でて、帰んなきゃ駄目だよ、と諭す。
とりあえず戻さなきゃと雲雀の研究室に向かい、彼女は無機質な分厚い扉をノックした。そして返事を待つ。
「…………あれ?」
思わずツナは疑問符を浮かべた。確かに、返事があった気がする。けれどその声が、雲雀のものではないように感じられた。
そっと、扉を開ける。
「雲雀さん、いらっしゃいますか……あれ、コロネロ?」
のぞきこんだそこに黒髪の研究者の姿は無かった。代わりに居た金髪の子供の名を思わずツナは呼ぶ。雲雀が居る普段では空だった籠にはこの間コロネロの頭に乗っていた鳥が入っている。
「ツナか、雲雀はいないぜコラ」
「そうなの?」
「呼び出されたらしい、さっき出てったんだコラ。すれちがわなかったか?」
「ううん、会わなかったよ」
「窓から出て行ったからな……」
(あのひとなにもの……)
まだ知らない雲雀の一面にツナはあっけに取られた。骸といい雲雀といい研究者たちは変わり者揃いとは思っていたが、その度合いはツナの想像以上らしい。
ところで、とツナはコロネロの後ろに、隠れるように立つ子供を見た。初めて会うよね、記憶を確認しながら彼女は問う。
「…………その子も、アルコバレーノ?」
すると黒髪の赤子はふるふると首を振って答えた。
「俺はラル・ミルチ。アルコバレーノのなりそこないだ」
アルコバレーノについては骸から一応の説明は受けたが、なりそこないという言葉に覚えはない。けれど柔らかそうな頬には痛々しいやけどの様な傷跡があるし、胸から下がるおしゃぶりは何だか濁った灰色だし、何かややこしい事情でもあるんだろう。
そう勝手に考えながらツナはにこりと笑った。
「オレは沢田ツナ。よろしく、ラルちゃん」
二人の子供の動きが、そろってぴたりと止まる。
「…………ちゃん…?」
「だって、女の子だろ?」
「何で分かったんだコラ」
この歳の見た目じゃ男も女も変わらねーだろコラ、とコロネロは言うが、ツナは笑顔を浮かべたまま首を傾けた。
「……なんとなく?何か、可愛さが違うんだよなー」
言われ慣れないのか、ラルは頬を赤くして下を向く。その動きすらやっぱり女の子は可愛いなあと思いながら、ツナは子供たちと雲雀の帰りを待った。




山積みの書類を抱え戻ってきた雲雀に、ツナはさっそく疑問をぶつけてみた。
「なりそこないについて?」
「あー、はい。アルコバレーノについては六道先生に聞いたんですけど……」
そう。書類の山を幾つかの束に仕分けしながら軽く首を動かし、雲雀は答える。
「不完全に呪いを掛けられた者のことだよ。見た感じは同じだけど、当人たちに言わせたら別物らしい」
「らしいって……」
「なりそこない自体、今までに産まれたことが無かったから。彼女は僕等としてもなかなか興味深いケースだ」
納得したツナは頷き、ふと浮かんだ新たな疑問を口にする。
「ところで、ラルちゃんのマザーって……」
「…………」
問いかけにラルは口を真一文字に閉ざして答えなかった。その横で、コロネロが幼子の姿に似合わぬ深い溜息を吐く。
「僕が教えてあげようか?」
「雲雀!」
提案した雲雀を刺すような視線で睨みつけ、ラルは怒鳴った。そんな彼女を待て、とコロネロが宥める。
「隠してどうすんだコラ。ツナはリボーンのマザーで、六道んとこにも出入りしてんだ。
あのオッドアイ野郎、いつ話すか分かんねえぞコラ」
「…………好きにしろ」
ぷい、とそっぽを向いたラルの態度を了解と捉えたのか、雲雀が真実を告げた。
「彼らは――コロネロとラル・ミルチは笹川京子をマザーに持つ双子だよ」
「え!?」
色合いだけで考えても、顔立ちを見比べても、全く二人は似ていない。
けれど、確かに京子は二つのタグを持っていた。それらを手の中に包んで、悲しそうに笑っていた。
「……似てない…」
呆然としたツナの呟きを雲雀はあっさりと流す。
「遺伝子上は完全に他人だからね」
「へ……?」
「彼らが双子って言うのは同時に生まれた、って点だけ。アルコバレーノ達は、確率論を持ち出したり今まで産まれなかったのがおかしいだとか、何だかんだ言っている」
「たまたま京子と相性がよかったんだコラ」
確率と相性の良さが揃えば、いつでもラルが産まれるはずだった、それをアルコバレーノたちは理解していたらしい。
「ま、次からは別に産まれられるだろーなコラ」
「またお前と兄弟なんて御免だ」
軽口を叩きながら、それでもラルは浮かない表情のままだった。




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実は大番狂わせの色だったラルの登場です。ツンデレツンデレ(呪文)
その辺の関連でマザーの変更と相成りましたが……今考えたらこれでよかったのかも。

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